2020/07/22更新版
Foundation Design_F15_202007
本書について
本書は、社会と共創するマスタリーに関連する人たちがファウンデーションデザインを自身が実施したり、他社に対して伴走するための実践ガイドブックである。本書はアップデートされ続けるため、永遠のβ版である。
はじめに
この文書は、社会と共創するマスタリーの概念を理解し、自身が体現することに動機のある人向けに執筆されている。
(支援の全体像)
(ファウンデーションデザインを「実践する」とはどういう意味か)
第一章:ファウンデーションデザインとは
社会と共創するマスタリーにとってのFDとは
個人が人生を通して学習し続ける目的や目標を紡ぎ出し、そこから派生し関連する組織や特定業務の目的や目標を設定し、それらと現状の差分を明らかにすることで、個人が社会と共創し学習しつづけるための土台を設計・再構築する取り組み
社会と共創するマスタリー(資料)とは、長期持続可能な自己統制、幸福、社会貢献の獲得を目的として、実践を続けるにつれ社会との接点が増え続ける唯一無二のテーマに沿った学習をし続けること。これはREAPRAが複雑性が高い産業におけるマーケットリーダーを創出するために、REAPRAの構成員や投資先起業家、メンバーの各個人が体現すべき思考と行動の様式であることから、「REAPRA Way」と呼ぶこともある。現時点で既に社会へのインパクトが体系化されている概念をフォローし、コモディティ化したケイパビリティを高めるのではなく、世の中に存在しない唯一無二の概念を構築することを意図してありとあらゆる方策を実践し、学習し続けること自体を報酬と感じるために、本人がそのテーマに対して内発的に動機付いているか、長期に渡り学習し続ける必然があるかが最も重要である。内発的動機ではない動機の例として、責任感、他者からの承認欲求、高い地位や報酬などが挙げられる。(注※こういった動機を初動で持つことが悪いという意味ではない)
また、複雑性の高い社会に身を晒しながら学習し続ける過程においては、大きなストレスを感じたり、目を背けたくなるようなアクシデントが起こってしまう可能性も十分に存在する。それでも長期的に学習を続けていく動機を保ち続けられるテーマの紡ぎ出しおよび、現在地とのギャップや本質的課題を認知した上での自己向き合いが必要である。
ファウンデーションデザインという活動は、下記を目的としている。
- 社会と共創するマスタリーを理解する
- 個人が長期にわたり学習し続けたいテーマ、成したい姿を紡ぎ出す
- 個人が現在保有しているアイデンティティや学習姿勢の構造理解を進める
- 成したい姿と現状のギャップを知り、今後向き合っていくべき本質的課題を特定する
- 本質的課題へ向き合い続けるための学習支援の方向性の合意形成をおこなう
また、上記要素は時間とともに、実践を通して変化し続けるものである性質上、ファウンデーションデザインは一度行ったら終わりのものではなく、定期的に振り返り更新し、運用しつづけていくものである。
ゼロイチ起業家にとってのFD
「産業のマーケットリーダーを創出する」ことを目的とし、REAPRAが投資・支援の対象としているのは「将来大きくなるが複雑性から足元は小さい」領域である。すなわちマーケットリーダーへの道筋は不透明であり、長期に渡り継続学習をすることで複雑性を紐解くことでしか勝ち筋を見いだせない領域。そういった領域の特性だからこそ、強固なオペレーションによる強い足腰をベースとした経験学習サイクルを持続的に高速で回す文化はゼロイチにおける競合優位性の源泉となる。領域自体が不透明なため、わかりやすいターゲット(IPO、エグジット、売上何億円)から逆算して既存の経験や枠組みから確からしいだろうと思われる勝ちパターンを愚直に実行するスタイルでは大きなインパクトを残しづらい。逆にそういった領域においては、競合よりも優れた勝ちパターンを見つけて競合より早く実現するための資金力、経験豊富な人材、枠組みのクリエイティビティ、先達からのアドバイス、そこから生まれたアセットなどが優位性になりやすい
将来大きくなるが複雑性の高さから足元が小さく、実践を通した経験学習を続けることでしか勝ち筋を見いだせない領域を機会と捉えるのであれば、理想とすべき組織の状態は、構成員が内発的動機をベースに、企業のミッション・ビジョンの何かしらの塊に強く動機を持っており、その前提下で継続的学習を続けることが自分の人生にとっても非常に有意義であると信じれている状態
- 産業のマーケットリーダー創造へ向けた個人および組織の継続学習の土台を作る目的でファウンデーションデザインを実施する(まだ解像度が低い?)
- ゼロイチ期における企業のミッション・ビジョンはファウンダー自身のアイデンティティからくる価値観に強く影響を受けるため、組織や、組織の構成員に対するファウンデーションデザインを高い粒度で実施するためには、ファウンダー自身がファウンデーションデザインを通して継続学習の土台を作ることと、そのプロセス自体に納得感を持っていることは非常に重要である
- また、副次的な効用として
- ミッション・ビジョンが語りやすくなる
- 長期のキャリア設計に対して前向きになる
会社と個人のミッション、ビジョンを設定し、どこがアラインし、どこが離れるのか。世代を跨ぐ長期の課題を設定し、会社が永続的に続いていくものとの前提を置き、起業家も一過程でしかない企業を作る。ゼロイチだが、長期で産業を作り出すことを踏まえ、長い時間軸をセットする、(0511岡内追記)
PBF部分でカバーできること、FDでカバーしなければいけないことを分けたい、結局01起業家にとってのFDの定義はなにか?
第二章:ファウンデーションデザインの構成要素
(2020年7月再整理)
社会と共創するマスタリーのステータスマップとFD
各個人の「社会と共創するマスタリー」の進捗を客観的に把握し、
ステージ1: 社会と共創するマスタリーの概念理解と動機の紡ぎ出し
サブステージ 1-a
サブステージ1-b
サブステージ1-c
サブステージ1-d
ステージ2:社会と共創するアジェンダにおける個人と会社のMission・Visionの紡ぎ出しと重ね合わせ(≒CCwSマスタリーテーマが紡ぎ出せている)
ステージ3:足元の役割(1st business)紡ぎ出しとストレッチターゲットの設定
ステージ4:ストレッチオペレーション運用
第三章:ファウンデーションデザインの進め方
- 第三章では、第二章の理論や情報を踏まえて具体的にファウンデーションデザインを進めていく方法について書いていく
- ファウンデーションデザインとは、個人が人生を通して学習し続ける目的や目標を紡ぎ出し、そこから派生し関連する組織や特定業務の目的や目標を設定し、それらと現状の差分を明らかにすることで、個人が社会と共創し学習しつづけるための土台を設計・再構築する取り組み である
- その実践のためには、相手と建設的に対話を続けられる関係性を構築することが必要である。心理的安全性が担保されたうえで、相手がより深く話したいと思うコミュニケーションを注意深く行い、その本心と裏にあるメンタルモデルを洞察し、本人が目標や目的と現状との差分により深く気付けるように促していく。また、その深まりを生むために事前に充分な準備をすることが重要である
- 以下に主な留意点を記載する
(関係性) 建設的に対話を進めるための関係性の構築
レディネスの醸成、信頼関係の構築、ストラクチャーの確認
- レディネス
- 学習や習得を行う場合に、学習者側に、学ぶために必要な条件や環境が整っている状態
- 例)起業家であれば、事業のキャッシュフローが回っており、起業家のコンディションが整ってるかどうか
- 学習や習得を行う場合に、学習者側に、学ぶために必要な条件や環境が整っている状態
- トラスト
- トラストとは、人には見せたくない弱みや自分の内側を開示できるだけの心理的安全性を相手との関係性において感じること。
- FDでは、その前の関係性いかんにかかわらず、つまり初対面であっても、自分の弱みを開示しても良いと感じてもらうだけの「トラスト構築」が必要である
- トラスト構築を丁寧にしないと、語る側の捉えている範囲で語りが収束してしまい、FDで捉えたいと考えているCCwSマスタリーの熟達の道を歩む上での律速ポイントのあぶり出しができない可能性が高い本音で話せる”トラストを構築”。自己開示(こちらがまず弱さを見せる)、心理的安全性の担保、現状のコンディション確認など
- 自己開示をすることに対して、語る側に真にレディネスがあるかどうか、語る側が向き合えるようにするために、「自己開示を多くできる方がよい一方で自己開示には限界がある」という旨を伝えるとよい。(0619中島追記)
- 自己開示は多くすべきとの旨だけを伝えると、本当は自己開示することにレディネスがないにも関わらず自己開示を強いるが故に、語る側自身が本音ではないはずのことを本音かのように話してしまうリスクを回避する目的。(0619中島追記)
- なぜ自己開示をする必要があるのか、何を伝えればよいのか:自己開示の目的としてはトラスト構築、起業家のテーマ設定、そしてREAPRAが介入することにより何が成し遂げられるのかを伝えること(先達者のFDの全体構造)。具体的には、自己向き合いする(不快な部分(シャドー、弱さ、苦手)と向き合わないといけない)ことと深堀しつづけることの重要性が伝えられたら良い。恐れや囚われの認知をするためのFDで、深堀が足りていないことで起こり得る結果を伝える。(0709諸岡追記)
- トラストの有無の確認(0623嘉手納追記)
- 音源を聞いただけでは確認が難しい。音声に現れない部分(うなずき・姿勢など)もトラストの構築に大きく関わってくる。(0629嘉手納追記)
- 発言量の比をチェックする。こちら側が話しすぎるとどうしても相手は受け身になってしまう。反論しづらい状態を作らない。(関係性が対等になってくるといい?)(0629嘉手納追記)
- 発話や反応(0623嘉手納追記)
- 実施者の発言中の相手の反応
- 枕詞?(i.e. これ言うと〜と言われそうなんですけど)(0629嘉手納追記)
- 確認するための質問項目・コミュニケーション(0623嘉手納追記)
- どれくらい理解できているか、相手に言語化してもらう。(0629嘉手納追記)
- 複数の要素について一度に話しすぎない。相手が「確かにそうかも?」と偽納得してしまう可能性がある。(0629嘉手納追記)
- ストラクチャーの確認
- 対話の全体の繋がりを理解した上で、急がせることなく“より深く話したい”という動機を作り、踏み込める構造を合意
(それぞれがうまく行かないと、、ホラーストーリーを明記)
- レディネス
前提となる用語の確認 & 重要性の明記
- (場) 相手と深く対話できる場作り
- FD参加者の数
- 基本は1対1
- 人数が多い場合の留意点
- FDの場所
- コンフィデンシャルな話ができる場所
- その他
- 個人情報 センシティブに取り扱う
- 録音を注意を払う
- 管理に注意
- 時間
- FD参加者の数
- (発話者自身の準備)
- FDをする側の自我/発達段階
- FDをする側の発達段階以上のものは見れない N
- 自らの自我をりかいしたうえで引っ張られずに聞く
- 自らの実践を整理する 自らのシャドウを見つめる
- 自分に向き合う以上には自分に向き合えない
- FDをする側の自我/発達段階
- FD実施者に求められること
- 様々なキャリア、バックグラウンドに対する深い理解(0629嘉手納追記)
- 場数・経験(音源を聞くだけでも違う)(0629嘉手納追記)
- 相手への歩み寄り(質問→回答→回答の理解を言語化)(0629嘉手納追記)
- 自分の例を言語化する。相手への質問に対して、すぐに答えられなかったり、間があった場合に提示することで、相手も話しやすくなる。その意味で、実施者自身がFDをされているとより良い。(0629嘉手納追記)
- 事前説明として、当日まで何を用意してもらうか、セッションで何を実施するかをよりよく伝える。例えば、メモを用意してもらい、予めある程度言語化してもらったり、自分の録音を聞き直してもらったりすることで、議論がスムーズに進み、当日の効用を高められる。(0629嘉手納追記)
- (コミュニケーションの仕方)
- 話し方のポイント
- 丁寧に、
- 質問をしながら
- 言葉の定義を確認し、認識のギャップを埋める(0624 楠田追記)
- FDをする側が文脈に合った話をできているか、FDをされる側が話の流れについてこれているか、頻繁に確認をとる(0624 楠田追記)
- 感情が突き動かされた原因を深掘りする(本人がすぐさま想起する事柄以外にも要因はないか考えてもらうように誘導する)(0624 楠田追記)
- 相手に発話を促す(特に何か言いたそうな顔をしているときなど、相手の表情を読み取る)(0624 楠田追記)
- 深掘りする際はコンセンサスをとる(0624 楠田追記)
- あくまでも仮説という形で、本人の人生を断定しない(0624 楠田追記)
- 話し方のポイント
- (仮説・シナリオの事前検討)
- キャリアシートの事前レビュー
- これまでの会話で気になったこと(表情・コメント)
- 最近のコンディション
- こういった点から会話を深めるイメージをシミュレーションする
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