5章:社会と共創する熟達への道
ここまではじめにから4章まで読まれた方の中には、「理論的な話ばかりで難しい」「実際のビジネスとどう繋がっているのかわからない」といった感想を持たれる方もいるのではないだろうか? 本章1節では、Reapraが支援する起業家の方々へのインタビューを通じて、社会と共創するマスタリーとは何かについて、より具体的に伝えていく。 様々なエピソードから、1-4章で触れたReapraの研究実践との関連性を感じていただきたい。本章2節では、Reapra社員の社会と共創するマスタリーの歩みと題して、テクノロジー・セールス・ガバナンスをそれぞれ深めるReapra社員が執筆した文章を掲載した。それぞれの文章は、各人の現在地を反映したものとなっている。
今回インタビューにご協力いただいた起業家の方々は、現在様々な状況・ステータスにあるが、どの起業家の方も、日々変化する状況の中で産業創造を目指し、社会と共創するマスタリーを歩み続けている方々である。また、Reapra社員も、概念構築という営みを通じて社会と共創するマスタリーを歩み続けている。 是非、ご自身と照らし合わせながら、多種多様な状況にある起業家の葛藤や変化、各Reapra社員のマスタリーへの想いに注目して読み進めて欲しい。 何か1つでも、得るものがあれば幸いである。
1. 起業家の歩み
ケース1
2015年からタイにてホテル経営を行なってきたNewlegacy Hospitality Pte. Ltd.のCEO松田励氏(以下、“松田”として敬称略)。起業のタイミングや業界選択の理由から、今後の事業拡大の展望までのインタビューを行いました。タイという日本とは違った環境の選択や、そこにおける人との関わり方の変遷など、ユニークな環境がゆえの葛藤や自我の変容を中心に深掘りさせていただきました。 #タイ #自己向き合い #人向き合い #変容
編集 2015年のタイミングで起業をされたきっかけについて教えてください。
松田 2009年にホテルスクールを卒業してからずっとホテルの仕事ができていませんでした。「ホテルの仕事がしたいな」とウズウズしてるようなところで2014年後半に諸藤さんとシンガポールで再会して、食事をご一緒しました。それは単なる会食だったのですが、僕の記憶が確かなら、諸藤さんの方から「新しい業界を創っていく構想の中にホスピタリティ業界も入っているが、やる気ありますか?」とメールが来たと思います。僕の方から諸藤さんに「起業したいです」とか「投資してください」と言葉にしたわけではないのですが、会食の中の会話でホテルの仕事したいという思いが凄くにじみ出ていたのではないかなと思います。そのメールをいただいた後に私の方で事業計画を作成して、数週間後には実際に投資しよう、という話になりました。当時、中国ではエコノミーホテルのチェーンがトレンドで。すごいビジネスが中国ではあるんだなと感じていました。逆に、東南アジアでやっている人はいないなというのは同時に考えていました。中国のエコノミーホテルを見てこれを東南アジアでやりたいと思ったのと、諸藤さんとの再会が重なって起業する流れになったという感じです。
編集 元々は、どこかのタイミングで起業しようと考えられていたのですか?
松田 起業しようというのは、昔からあまり考えていなかったですね。自分とは関係無いことだと思っていました。2014年当時も、日本のホテル会社の外国法人で働くとかがいいなと思っていました。ただ、あまりそういうチャンスがなくて。そもそも日本のホテル会社で海外に法人のある会社がなくて。シンガポールのホテル会社で働くのも、トライはしたのですが、仕事が見つかりませんでした。当時すでに30歳過ぎていて妻と子供2人もいて、フロントデスクの仕事から再スタート、というわけにもいかなかったという個人的な事情もあります。また、シンガポールでホテルスクールを卒業したのがリーマンショックの直後で、採用が非常に細かったというのも影響が大きいですね。卒業した時が通常時であったら、シンガポールで大手ホテルオペレーターのアジア本社に普通に就職していたと思います。一年早かったり遅かったりしたら、普通に大手ホテルオペレーターで働いていて、全然違う人生だったでしょうね。
編集 なるほど、そのような背景があったのですね。では、実際に起業されてみて、葛藤されたことはたくさんあると思うのですが、いくつかお伺いしてもよろしいでしょうか?
松田 日本のコンサル業界で働いていたり、シンガポールの金融業界で働いてた経験が長かったので、それらとタイのホテル業界とのギャップがあまりにも大きかったというのが一言で言えば葛藤だと思います。タイに対するカルチャーショックとホテル業界に対するカルチャーショックの両方があって、実際のところ自分でもどちらのショックなのかわからないんですね。日本のコンサル業界から日本のホテル業界に移っても、カルチャーショックはあると思うんですけど、私の場合は業界とか、国が本当に180度違った。頭では分かっているけど身体がついて行かないということが結構ありました。
編集 具体的にどのような事が起こったのでしょうか?
松田 例えば、一番最初のホテルを開くときに、電話の内線の設定をしないといけなくて。何の番号をどこの電話に繋いで、その電話に誰かが出なかった時どこにどういう順番で転送するか、あるスタッフが僕に聞いてきたんです。僕としたらその時点で、「それくらい自分で考えてくれよ」って思ったのですが、しょうがないなので細かい内線の設計を手書きで紙に書いて渡しました。でも、何週間かしてもそれが設定されなくて。本人ははっきり言わないんですけど、その紙自体をなくしたようで。その紙の存在自体も覚えていたかどうかも怪しい感じがあって、ありえないなと思いました。こっちももう書いたこと覚えてないから、また一から考え直しなんですよ。普通に考えたら指示されたタスクはすぐにやるでしょとか、普通に考えたら社長が書いた紙無くさないでしょ、と。そのような問題が1日に何件も起こるわけです。ただ、こういう「普通に考えれば」と勝手に考えるのがとても良くないのです。向こうの方が「普通」なので。今考えれば、その人には手書きで指示をだして「よろしく」と言うこと自体が乱暴だったわけです。今なら、自分の手書きのメモを自分でも写真にとっておいて、定期的にフォローアップします。
編集 想像するに、様々な方法で問題を乗り越えられてきたと思うのですが、実際にどのようなことをされてきたのでしょうか?
松田 できない人に「なんでできないんだ」という風に言わないで、できるような方法を考えて、コミュニケーションするようにしたっていうのが一番の工夫だと思います。一応指示は出しておくけど、過度な期待はせず、実行されなかった時になぜされなかったのかを考えようということがよくありますね。
かつ、実行されなかった時に、イライラするのをやめたということですね。出来ない時にちょっととげのある言い方をしても、その人のプライドを傷つけるだけで、ますます事が進まなくなります。自分が1イライラすると向こうが3イライラするので、そういうことはあまりしなくなりましたね。自分の感情が動くと、それに輪を掛けて相手の感情が動いてしまう。仮に言っていることが正しくても、伝わらなくなっちゃうので。特にタイの文化では感情を表に出すということはすごく嫌われるので。「正しいことを熱心に雄弁に語る熱い人」が嫌われがちです。
編集 文化が違うと価値観も違うのでさらに大変ですね。事前に記入いただいた資料では、2017年10月から12月のジャッキーによる社員ヒアリングというところでも人向き合いという観点で葛藤があったと記入されていましたが、これは具体的にどんな事象があり、何を感じられたのですか?
松田 Reapraのジャッキーさんが本社の社員全員にヒアリングするという機会がありました。その時は日本人の幹部が自分を入れて3人いたので、僕個人に対してのフィードバックもあれば、日本人の幹部全体に対するものもありました。全体として、ネガティブフィードバックが多かったんです。僕個人へのフィードバックとしては、僕が社員のことを機能としてしか見ていないというのがありました。目標達成したいと強く思っている人だから、あまり社員のことを人として見てくれてない人だと。思い返してみれば、僕も過去の職場で「機能として見られているな」と感じた経験があったので、当時の同僚のことを回想しながら、あの人みたいな感じに見られているのかとか考えていましたね。
編集 フィードバックを受けて、そんな風には接してるつもりはなかったのだけどというギャップが大きかったのか、確かにという感覚だったのか。どういう感覚で受け止められたのですか?
松田 「そんなつもりじゃなかったのに」とは思わなかったですね。それよりも、わりと指摘が根本的すぎて、どういうふうに改善したらいいか分からないみたいな感じでした。社員に向き合っていないと言われても、向き合うにはどうしたらいいのか?というレベルだったと思います。
編集 その後、どういった形で社員と関わられていたとか、そこからどのような変化があったのかお伺いしたいです。
松田 自分自身が機能として見られているか、人間として見られてるかというところを感じていた時期を思い出して、機能としてではなく、人として見るような接し方を心掛けました。
でも、改めて過去を振り返った時に、自分自身が機能として見られてるか、人間として見られてるかというところで深く悩んだ経験はあまりなくて。何となくあの人とは働きやすかったな、あの人はちょっと苦手だったなとかはあったのですけど、自分の中でその視点はあまり重要でなかったというか。そう考えた時に、元々相手のことを見つめるということが苦手なのだなと思いました。自分自身は、自分が他者を見るよりも、他者に自分を見て欲しい人なのだということに気づけたのが出発点でした。
編集 ご自身のそのような特徴について、気付くきっかけとなった出来事は何かあるのでしょうか?
松田 ちょうどその時にそのコーチングを受けていたコーチから、自分自身も「機能」として見ているという指摘を受けました。「何かを実行して何かを達成するから価値がある。何かを達成しなかったら価値がない。」という見方を自分自身にもしてるから、相手に対してもそういう見方をするのが前提になっている、ということです。自分自身に対しても、相手に対しても、条件付きの愛じゃなくて、無条件の愛というのですかね。そういうのを出すべきなのだと言われたのは気づくきっかけにはありましたね。
編集 気づきを受けてご自身が変化された中で、周囲の反応に変化はありましたか?
松田 そんなに劇的に変わるわけではないですけど、いい方向に向かっている感覚はありました。お互いもう少し仕事以外の部分でも繋がってるような感覚が出てきたというか。会社がだんだん大きくなってくるとそういう感覚って薄くなっていくんだと思うんですけど、逆に強くなっていった感じはある。あと、感情的に断裂することは減ったと思います。2018年の7月に、日本人が2人辞めてから、管理職では辞めた人はいないと思うので。コアなメンバーはあまり変わらなくなりました。ただ、これは僕の社員に対する接し方が変わったから全部変わったということではないと思っています。事業をスタートした当時、僕があまりにも事業、ホテル、タイに関する知識がなかったので、夢だけ大きくて、実際に起きていることについては本当に理解していなかったんです。なので、何が大きく変わったかで言ったら、単純に自分の知識が大きく変わったのが1つ目。次に、社員への接し方が変わった。最後に、会社も大きくなって会社にいる人材も優秀になってきた。この3つが同時に起こったのだと思います。
編集 いろいろな変化が同時並行で起こっていたんですね。事前資料では、利益マインドの低さというのも葛藤の1つとして記載いただいていますが、これは、どのように現れたのでしょうか。ご自身の葛藤だったのでしょうか。
松田 葛藤ともレベル感が違うかもしれません。一言で言えば、自分でもびっくりするぐらい商売が下手だったんです。今はReapraの矢野さんがRMなのですが、初期の頃は今よりも諸藤さんと深く関わっていて。日常的に利益やキャッシュについて細かく聞かれるということってなかったのです。それは別に利益が大事じゃないと切り捨てるのとは違い、会社を経営する上では、それがいつも頭にあることがまあ前提だよね、ということだったと思います。その前提に追いつけずに金勘定が自分でもびっくりするぐらいできなかった。これは生い立ちからきている部分もあるとも思います。加えて、昔自分がいたコンサルの業界はどんぶり勘定なんですよね。もしPLをきちんと見る会社であれば多少そういう感覚を持てたりするのかなと思うんですけど。それ自体がそんなに難しいものだと思ってなかったし、苦手だということにすら気づいていなかったというところからのスタートでした。2018年にお金が無くなった時にリストラで10人くらい辞めてもらったんですが、その時に強く利益マインドの低さを感じました。当然部下とのコミュニケーションの仕方だったり、信頼関係に問題があるというのもあると思いますが、そのいろんな複合要因をひっくるめて苦手であることを体で実感しました。
編集 改めて、五年前のご自身と現在を見比べて、ご自身の自我が変容した部分を教えてください。
松田 あんまり腹を立てなくなったというのが一番大きいんじゃないかなと思います。イライラしづらくなったし、気が長くなった。もともとせっかちではあるんですけど、うまくいかないことに対してイライラしたりとかすることがだいぶ減った思うんですよね。家族内でも末っ子でしたし、自分から積極的に話しかけたり、飲み会に誘ったりとかは友達にすらしなかったです。最近はそういった受け身に愛されたいという側から、積極的に愛する側に多少は変わってきたという感じはありますね。
編集 ありがとうございます。最後に、松田さんの今後の展望についてお聞かせください。
松田 事業の広がりとしては色んな側面があるんですけど、規模が大きくなることがまず重要と考えています。どんどん規模が大きくなって店舗が増えていって、それが他の国にも増えているっていう形にしたい。昨日ちょうど社員と話した時にも、規模が重要だよな、という話をしていたんです。それを実行していくには当然色んなレベルでボトルネックがあるのですが、オペレーションがまだまだ弱いので、仕組み化が大きな課題です。属人的でないやり方でもっと効率の良いやり方ができるはずのところが、できていないのです。ホテル業界の常識を変えたいと言いつつ、いまだに普通のホテルのレベルにすら行ってない部分がある。きちんとオペレーションが強い会社で、きちんと規模も取れる会社にしていきたい。様々な国での事業展開をしていきたいというのがコロナの前からのイメージでした。これを65歳までにやりたいと思っていて、今44歳。創業からもう5年ぐらいたっちゃったんですけど、目標まであと20年以上あるので、5年ごとにフォーカスする国を変えながらずっと事業の広げていきたい。そう考えると、あと、何回転かできるんじゃないかなと思っていて、それをやりたいです。僕自身はずっとタイの本社にいるというよりは、自身が移って次の国の立ち上げっていうのをやっていくっていうのをやりたい。むしろもう今頃それをやってるはずだったのに、思ったようにはならずに遅くなっているというのが現実です。
編集 タイという日本と全く異なる環境での葛藤と、それに対する向き合い、そしてご自身の変容についてお話いただきました。私たちが日常で感じるものとは毛色の違う悩みや課題に挑む松田さんの姿勢は、まさに「社会との共創」そのものだと思います。新型コロナウイルスの影響により、松田さんの事業は大きな変容の途中だと思いますが、これからもReapraとして、松田さんのよりよい自己変容や事業成長を伴走させていただきたいと感じました。 本日はありがとうございました。
ケース2
移民という領域でビジネスを作っていこうとしている株式会社RAPPORTICのCEO 白石直哉氏 (以下、白石 敬称略)に2019年12月のReapraとの出会いから、現在Reapraから受けている支援について感じていることをインタビューしました。在学中に語学学校を起業されたり、大手ドラッグストアやヘルスケアテック系のスタートアップで働かれたりと、様々な経験をお持ちの白石氏。Reapraと出会った当初は、Reapraの社員として関わることを志望されていたそうですが、なぜ起業を選択されたのか、そして現在起業準備をされている中での葛藤についても伺いました。 #Reapraとの出会い #起業家支援 #PBF
編集 Reapraとの出会いは2019年12月だと伺っています。出会った時のReapraの印象についてお聞きしてもよろしいですか?
白石 フィーリングが合うと感じました。根本的に自分がやりたいと思っていた「社会貢献」というところで思想がマッチする感覚がありました。直前に所属していたヘルスケアテック系のスタートアップからの反動もあったのだと思います。その会社は六本木にオフィスがあり、資金調達も何度かしているいわゆる勢いのあるのスタートアップで、数億円の売上を想定する新規事業開発に携わりました。ところが、社長以外の従業員が自分たちのサービスに本当に熱狂しているように感じられない。そこに何か違和感を感じていました。もともと自分が抱いていたスタートアップに対するナイーブなイメージ、「社会にイノベーションをもたらす事に社員一丸となって熱量を持って取り組み、その実現の為に資金調達をして、Jカーブを駆け上がっていく」とは雰囲気が少し違っていて。その視点で改めて界隈を見渡した時にふと「果たしてこの登り方で本質的な課題に向き合い続けられるのか?」と疑問を感じ、そうであれば自分が実践したい在り方・登り方とは距離がある、という気持ちが大きくなりました。
一般にスタートアップは、社会に対して提示する概念の自体の新規性がそもそも高く、場合によっては顧客課題も顕在化していなかったり顧客教育も並行して必要な領域であるにも関わらず、CPFが完了している前提で自社プロダクトありきの絵を描いてしまったり、或いはピボットする勇気や体力がないがないのにも関わらずすぐに課題の存在を疑いたくなったり、投資家からの圧力で成果を急ぎ真の課題解決から逸れてしまったりしやすい構造があり、自社サービスを信じる力が問われると思います。
一方で私は、しなやかに事業開発を行う中でソリューションありきではない真の課題を特定して、それに対してきちんと向き合いPSFまでやりきって、社会に対し貢献していくということがやりたい。しかし、世の中はやはりソリューションありきの事業開発が主流で、私の願いはナイーブ過ぎるのではないか。このような葛藤を抱えていたところで、Reapraとの出会いがありました。出会いの当初は起業への向き合い方として、このような方法があるのかと驚きました。他のVCで求められた事業計画書もReapraの場合は全く見る気がなくて。社会に貢献するための強い信念であったり、起業家自身が学習し続けられるかというところに注目しているので、事業計画書を見ないという一貫した態度に、凄くぐっときました。このような背景があり、Reapraと一緒に起業することを決めました。
編集 Reapraと出会った時に、特に気になった概念や考え方があれば教えてください。
白石 他のVCでは、自分の能力の”can”の中でどこまで自分をうまく見せて資金調達するかみたいなところがありました。私はどちらかと言うと、自分の実力とやりたい社会貢献の間には明確なギャップが有り、常に成長し続けるしかないという観念を持っています。そんな中で”can”を大きく見せて事業を進めていくやり方は、自分にはあまり向いていないと考えていました。だから、実際に他のVCから資金調達の声がけもあったのですが、Reapraに社員として入社したいとお話を聞きに行きました。それは、他のVCから今の時点の自分が資金調達をしたところで、結局過去うまく事業を伸ばせなかった自分から大きく成長をしていないので、同じ結果になるだろうと思ったからです。自分が成長したいと思っていた部分はまだ十分に成長できていない感覚があったので、起業は今一旦ないなという風に選択肢から消していました。そんな時に、Reapraの産業創造の方法論に出会い、共感し、もう一度起業の選択肢が浮上してきました。
編集 Reapraから起業してみたらと言われた時に、心が動いた背景には何があったのでしょうか?
白石 心が動いたひとつのきっかけは、Reapraの社員か起業家っていうことを考えた時に、「社員の経験をする必要があるのか」という問いかけが佐藤さんと渡辺さんからあったことです。そもそも、社員として働いてみる必要はないかも、と。自分の中では、「勉強でどこまで目的にたどり着けるのですか?」という問いに変換されて聞こえていて。全体を俯瞰して勉強するためには、確かに教科書的な勉強はすごく役立ちますが、何かやりたいものがすでに決まっているとか、ある程度熱量があるのであれば、荒くても実践の中で学習していった方が深く、スピードもつけて学べるなというのは過去の自分の経験からも感じていました。まさにそういうことを言われたのかなと思いました。独力だと実力が足りず難しいのでさらに修業期間をと思っていましたが、Reapraはハンズオンで伴走してくれるというところもあったので、自分が起業に対して持っていた一番大きな不安もある程度解消しました。
編集 独力だと難しいというところでは何が難しいと考えられていたのでしょう?
白石 早く行きたいなら一人で行け、みたいなのありますよね。逆に遠くに行きたいならみんなで行けと。自分は遠くにいきたいと思っています。なので、チームでやりたかったのです。あとは自分がいつ死んでも残る価値貢献のシステムを作りたいという願いが元々ありました。それこそが社会に貢献することだとも思っていました。自分ひとりがお金を儲けるのは興味がなくて。そういうことよりも価値貢献をするシステムを作ることに関心があります。それを達成するには、一人でやるには少々無理があり、組織作りをしないと実現できないという実質的な問題がありました。過去の起業経験では、「組織を作るということは仲間を抱えることであり、最終的に全ての責任は自分が背負わなければならない」と自分に重圧をかけていました。全部自責的に考えていて、自分と会社を切り離して考えられませんでした。結果として、人間関係がうまくいかなかったという強い課題感が残っているので、これからは人向き合いというところに焦点を当てて学習していきたいと思っています。
編集 Reapraのハンズオン支援の存在が企業への大きな不安の解消につながったというお話がありましたが、Reapraの支援に対して、当初どのような印象を持っていましたか?
白石 最初の印象は、言っていることはわかるけど腹落ちしてないという感じでした。IFD、FDといった自己向き合いが本当にどこまで役に立つのかって言う、ビッグピクチャーが全く見えていなかったので。重要そうということだけが分かっていても、腹落ちはしていませんでした。次のフェーズにどのように役立つのかというのが見えない状態だけど、とりあえず信じてやってみようという感じでいましたね。
編集 その中でも信じてみようとか、信じることを選択したっていうにはどのような背景があったのですか?
白石 これには複数理由があります。1つは、新しいことや自分にできないことにチャレンジする時に、全部に対して納得するまで腹落ちしてからやるというのは稀なことだと思っていて。私は格闘技やダンス、あとは外国語学習に挑戦した経験がありますが、それらの経験から、成功するにはとりあえず信じてやってみることが大切だと学びました。分からなくてもまず信じてやってみるというのは1つ自分が持っていた成功体験からの構造だったと思います。
では、なぜ信じる対象になったか。1つはReapraの概念に共感したこと。もう1つは、プロ集団であなたを引っ張ってあげますよみたいな態度ではなく、一緒に頑張っていきましょうという態度に見えたからです。自らも常に学習と実践を続け、前に進むことを決めている人たちの集団は、少し横にそれることもあるかもしれないですけれども、正解に近づかないわけがない。Reapraが前に進もうと情熱を持って取り組んでいる集団に見えて、信頼してみようと思うに至りました。
編集 実際にIFDを受けてみての感想はいかがでしょう?
白石 この手法に対する信頼が増しました。なぜかと言うと、後戻りがあまりないなと思うからです。「本当にこれでいいんだっけ」といちいち巻き戻っていると、右往左往をするような気がしますが、IFDを通すと、揺るぎない部分がきちんと根底から積み上げることができると感じています。
過去に起業した時には、自分が成し遂げたいことと、会社で掲げているカンパニーミッションとの区別が付かなくなってしまっていました。責任感から、そのカンパニーミッションを自分のやりたいことに上書きし、なんとしてでも自分の人生で成し遂げなければならないと。自己洗脳が働き、自分のやりたいことや気持ちをないがしろにしていました。実際に、洗脳が外れた瞬間にはとても混乱しました。それはもう二度と経験したくないと思ってたので、今ReapraでFD・IFDというアクティビティーを経て、同じような経験をしなくて済むかなというところに信頼がありますね。もちろん定期的に振り返って、本当にこれで良いのかは毎回見ていきますが、それは自己理解の解像度が上がっていったりとか、自分の自我が揺れるにつれてアップデートしていくことであって。自分が自分を洗脳していたのが、洗脳が外れていきなり全く違う自分に気付いたみたいなことはあまりなさそうだと思っているので、そこには一定の信頼があります。
編集 ここからは、環境に焦点を当てて質問をさせてください。まず、なぜ白石さんはPBFを「移民」という分野に定められたのでしょうか?
白石 移民になった、という感覚です。例えば過去の起業の経緯で行くと、自分の中で「語学学習」っていう日本全体でさっさと乗り越えるべき”くだらない障壁”があり、それが沢山の人達の思いの実現の足を引っ張っていると感じました。ですので、どちらかというとゲイン領域 (※課題を解決するようなペインがある領域ではなく、現状をより良くしていく領域のこと) で、もっとこんなことがしたい、という熱い思いがある人たちに対してサービスを届けていました。その人たちにとってみれば、ソリューションが無いと語学学習が進まないのである意味でペインですが、社会全体として見ると、既に生活も成り立っていてその生活を良くしたいと考えているのでゲイン領域です。
一方で、日本を取り巻く移民環境の現状では、移民と日本人で互いに言葉が通じないことが明確なペインで、この二つは似たようなことを見ているのに問題の性質が全然違っていると感じていました。僕にとってはこれもまた「くだらない問題」で、人々がそのせいで力を発揮できないとか人生を楽しめないみたいなことがあるのは凄く嫌なんです。突然幼稚な言葉になってしまいますけど、嫌なんです。それを解消したいという思いに到り、「移民になった」という背景が一つ。もう一つは自分の年齢や残り時間みたいなことを考えても、薬剤師資格をもっていることや過去の起業領域・経験などのレバレッジが効くような業界から登った方がよりインパクトのある社会貢献を実現しやすいという思いが少なからずあって、全く今までやったこともない領域に対してアプローチしていくという怖さはあったと思います。この二つの別の構造があって、それが結局移民というところに落ち着いたのかなと思います。
編集 ペイン領域に点在するキーワードから移民に絞っていったのか、移民というキーワードが浮かび上がったか、でいうと、どちらでしょうか。
白石 後者に近いですね。実は、Howとしてはあんまりやりたくなかった領域なんです。過去の苦い起業経験から、当時取り組んでいた言語教育という領域に漠然とした苦手意識があります。本当は見たくなかった領域なのだけど、一旦足を突っ込んでしまい、その業界のまだ残されている深く広い課題を見てしまった。移民というPBFでも言語障壁は大きな課題の一つであり、自分には転用できる経験がある。例えば、具体的な言語の運用場面を想定した課題特定に基づいて効用を最大化する設計や、学習者と教育側双方の視点を考慮したプログラム開発、そのデリバリー部分の品質担保や自己改善が働くような提供側の教育スキームの開発などができる。あとはビジネス側の実力を身につければこの問題が解決できるかもしれない、と感じました。であれば、この問題をを見なかったことにはできない、という気持ちですね。あとはやはり自身の経験からレバレッジがかけられる領域であるがゆえに、移民に関して調べれば調べるほどソリューションのアイデアや業界としてやり込みが足りない「くだらない課題」にが沢山見えてきて、間違ってなさそうだ、やっぱり間違ってない、みたいな。今になって思えば、見たいものを見に行っていた側面はあったかもしれないです。
編集 ご自身のPBFに対する想いを教えてください。
白石 打ち手がたくさん見いだせることは純粋に良いことだと感じています。例えば、技能実習生の受け入れに関して言うと、送り出し側や受け入れ側、それを取り巻く支援団体が直接的に関わっており、実習生そのものだけではなく送出機関のポリシーや受入施設の現場・経営側の双方のマインドや組織課題なんかを伴う状況になるので、組織改革として切り出して取り組める余地もあるんです。こんな風に様々な問題が複数の領域に跨って存在していて、どれを解消しても一応前に進むだろうなっていう風に思えるぐらい、いろいろな打ち手があるというか。この点はすごくポジティブに捉えています。
あとは、結構人間に近い業界だと思っていて。自分がやった仕事が誰かの人生の幸せに繋がると信じやすいかなと思います。「私の事業があったから誰がどんな風に幸せになった」ということを必ずしも実感する必要はないですが、「この事業があるからこんな人がこんな風に幸せになれるだろう」っていう想像をしやすい領域を選べたと思っています。まとめると、移民という領域には絶対に人がいて、そこにもまた、見過ごせないくだらない問題が沢山存在しているので向き合っていきたいっていう思いで選んでいて、幸運なことにそこには現時点でも沢山の打ち手があるなと。例えひとつの事業で手詰まりになっても、それだけで領域に対するアプローチ全体が停止することは恐らく無いだろうなと思います。
編集 逆に不安な点はありますか。
白石 やはりPBFを選んだプロセスに対する不安はありますね。一発でバシッと選んでしまったことに対する不安があって。領域を選ぶ時に一度日本や世界の業界全体をミクロマクロでリサーチするとか、ある程度のプロセスを経ていれば、その不安も少なかったのかもしれないです。一方で自分はできる限りでやって、ここに落ちたっていう印象があります。色々見た上で選んでいると、領域に対するグリットが強くなると思いますね。色々見たけどここにしたじゃんっていう。市場選びとしても納得できていて、しかも全体をみるという作業を通してレビューすることもできるので、不安になればそのプロセスを繰り返せばいいっていう。私は、今は手段としてそれを持ってない。やってないので。不安になった時は、今も実際そうなんですけど、もしかしたらPBFとして自分に向いている領域が他にあるかもしれないのに検討すらしてないのではないかと感じますね。街中で石を投げて当たった人と結婚するみたいな、そういう感覚になります。
編集 起業自体がそもそも不安定で、将来が見えない状態で走らなければならないので、自分が選んでいる領域が正しいのかどうか不安になることも多いと思います。白石さんが迷った時には、白石さん自身が自ら根源を確認しにいける状態になることを目指して、伴走していきたいなと感じました。 本日はありがとうございました。
ケース3
2016年から旅行領域でビジネスをされている株式会社YOLOTのCEO 古田裕 氏 (以下、古田 敬称略)に、創業時の事業領域やその時の心境、ご自身の価値観の変化、そして今挑戦させている事業領域と今後についてインタビューしました。過去を振り返ることによって発見した自身の囚われがご自身の価値観の変化にどのように影響を及ぼしたのか、また、その価値観の変化がどのように事業に影響していったのかという部分を中心にお話頂きました。 #領域選びのポイント #自分との向き合い
編集 YOLOT創業期の事業領域についてお伺いしてもいよろしいでしょうか?
古田 元々の個人のライフミッションとして「誰しもが自分の可能性に挑戦できる社会を作る」というのを掲げています。YOLOTとしては「人生の原体験になるような体験機会を提供し、社会に貢献し続ける」がミッションです。僕自身が大学時に約70カ国を旅行した原体験が大きく影響し自分の人生が大きく変わってきたということがあって、身体性を伴う学習だったり、自身が普段いる場所から離れたりすることによって思考が深まり、新たな概念が獲得できるという経験をしました。いつか単に観光名所を巡るのではなく、そこに学習や新しい体験というものが付加価値として付いてるような旅行プランを販売したいなと思っており、2016年に立ち上げたのがEXUTRA(エクストラ)というサービスです。
EXUTRA(エクストラ)は、エクストリームトラベルの略で、日本人の富裕層向けアウトバウンドサービスです。彼らが海外へ行く時に、オーダーメイド型の旅行プランというのを作ってあげて、それを販売する。単価平均五十万で、一泊十万の宿の手配など、顧客のわがままを聞いてあげるご用聞きみたいなところからスタートしました。ただ、富裕層向けやエクストリームトラベルだけがやりたかったっていう訳ではありません。YOLOTとしては人生を変えるような体験機会の提供というのは、色々なセグメントに刺さると思っています。小中学校で言えば修学旅行のアップデートかもしれないですし、高齢者で言えば介護旅行、社会人で言えばスタディーツアーなのかもしれない。その中で初手として、少ないユーザーでも利益率をロックできて、業界内の繋がりたい人たちと繋がれそうということを考えた時に、富裕層向けから入るのが良いのではないかなと思って入りました。
編集 その頃、考えていたことやその時の自我の状態について教えてください。
古田 僕自身大きい囚われがいくつかあるのですが、この時期に顕著にあらわれていたのがお金への囚われでした。これには、幼少期が相対的に裕福ではなかったというのが背景にあります。事業も自己資金で始めているわけなので、リアルに自分のお金が減っていく感覚がありました。創業して3か月目でインターン生が8人になった時に、1日で10万円ぐらいお金が飛んでいく感覚が強くあり危機感を覚えました。人を雇うことは事業を伸ばすためには必要だと思いつつ、お金が減っていくのがとても怖くなったんです。出ていく分を補うために、個人でコンサルをして稼いでくるというのが癖として常態化していって、本業に集中できない時間が多くなってしまいました。インターン生に対しても、パフォーマンスに固執するというか、短期で人を見てしまう傾向にあったと思います。
編集 他にもご自身の癖として認識されているものはありますか?
古田 そうですね。僕元々DeNAっていうウェブ企業にいたので、ウェブ的な伸ばし方しか知らないっていうのがあって。先程のEXUTRA(エクストラ)というサービスをやっていく中でも、自分の得意なところばかりに力を入れていました。エフェクチュアルにと考えると、とにかく行動してみるとか、ウェブ以外でできることがあると思うのですが、当時の自分は自分の手触りがある事業領域で手触りのあることしかやらない状態が続いていました。社会人生活で染み付いてしまった癖みたいな感じですかね。 今もその癖が出てくる時があるので、向き合っていかないといけないなと思っています。
編集 少し視点を変えて、お話しできる範囲で構わないのですが、当時プライベートの部分で、どのような葛藤があったのかを教えていただけますか?
古田 振り返ってみるとプライベートと仕事を二項対立させる傾向がありました。これには私が10歳の時に父親を亡くしたことが強く影響しています。父が死んだ後、母親が掛け持ちで働かざるを得なくなり、それまでと生活スタイルが一変していきました。その経験から、仕事を頑張り過ぎると家庭がおろそかになる、家庭ばかりでもずっと貧乏なまま抜け出せない、という囚われが2019年まで自分の中に根強くありました。
これは、僕が社会人になった後も、起業する時の価値観にも強く影響していました。社会に対して貢献したい欲や、課題を解決したい欲はあるのですが、それを達成するためにはまず自分を満たしてあげないことには始まらないとか、結婚するにも家族を養えるぐらいの経済力がないことには結婚できないというように、自分に相当制限をかけていました。だから、起業する前にも、3億でエグジットしたいとか、一旦30歳までに成功したいですという話をよくしていたんだと思います。起業してからもそうで、価値の源泉が積み上がっていくようなアクションをするというよりかは、目先の単発で単価が大きそうなものを一発狙うみたいなのがあって。プロミシングな領域で、中長期で伸びていく領域でやっているはずなのに、施策がワンプロダクトよりに寄っていく傾向がありました。
編集 プライベートと仕事に対する考え方に変化が起きたきっかけはあったのでしょうか?
古田 2019年10月に、諸藤さんと話をしに福岡に行った時に、自身の社会の見方が変わった気がします。それまでの見え方だと、仕事とプライベートの2軸の天秤があり、どちらに重心を寄せるか、どのバランスで生きていくかを考えていたイメージでした。それが話をして行く中で、自分を中心とした同心円状に家族、仕事、社会などが広がっていくイメージに変わっていきました。プライベートも仕事もシームレスに繋がっていて、すべて相互に作用し合っているし、Reapraの経験学習的にいえば、家族や家庭から仕事に還元できることもあるし、仕事から家族と家庭に還元できることもあるだなとある種アハ体験をしたという感じです。自身の働き方に対する考え方や、起業家像にも変化がありました。元々思っていた起業家像は、朝から晩まで死に物狂いで働くという感じだったのですが、別にそうでなくてもよいなと。それは、バランスよく働くという意味ではなく、あらゆるところから学習できる起業家になりたいと思い始めました。自分自身が歩みたいと思う起業家像っていうのが見えてきたっていう感じですね。
編集 他にReapraとの関わりの中でご自身に起きた変化はありますか?
古田 時間軸を広げて考えることや、超長期で産業を作る・次世代に残る何かを作るという部分を考えていたら、必然的に思考が深くなりました。あらゆるものを考えないといけないので、自然と時間軸が広がったという感じですね。元々創業時の価値観では、3年先の自分のことしか考えていなくて。でも、Reapraとの対話の中では、基本的に会社が次世代に跨がることを前提とするので、何十年先で、自分以外の経営者も想定して社会に何ができるかという視点で考えるようになりました。そうするとそれまで自分が見ていた視点だと時間軸が全然足りなくて、超ロングで考えないとけないし、自分に向き合わされる回数が尋常じゃないなと思っていますね。
編集 現在取り組まれている介護旅行の事業をすることになった背景をお聞きしてもよろしいでしょうか。
古田 EXUTRA(エクストラ)はAgodaやExpediaのような旅行予約プラットフォームだったので、競合とはマーケティング予算をどこまで確保するかという札束の殴り合いになってしまって、ワンプロダクトっぽい勝負にならざるを得なかったんです。徐々にマーケ勝負みたいになっていったので、そこで付加価値を出し続けるのが難しいなと思ったんですよね。顧客は「サイトはどこで予約しようと変わらないから、基本安いところで予約します」という方が多いので、そうなってしまうと売り上げが数十億出たとしても、自分自身がやる意義があんまり感じられませんでした。一方で国内に目を向けてみると、日本の人口は減少していても、高齢者は25年間増加し続けていて、今は65歳以上のシニアだけで3500万人います。その人たちが余暇のために貯蓄していて、どこかに行きたいという思いを持っているアクティブシニアが多いというインサイトを得ました。でも実際には介護が必要な方は諦めてしまっていたり、そもそもこの領域でビジネスをオペレーション強く回している企業が少ないという現状を見て、プレーヤー型モデルだったら一番参入しやすいんじゃないかなと思って始めました。私自身、祖父が全盲で祖母が認知症だった背景もあり、自分自身がやる意義を強く感じています。
編集 補足として、プラットフォーム型やプレイヤー型と呼んでいるものがどういうものなのか、少しだけご紹介いただけますか。
古田 プラットフォーム型とは、いわゆる旅行の手配だけすれば済むような形で、自身がお客さんと一緒に旅行する必要はないものです。プレーヤー型と呼んでいるのは、受注型の企画旅行で、一緒にお客さんと旅行に行ったり、その旅行自体をより作り込んであげる必要があるもので、個別の案件に丁寧によりそうものです。
編集 ありがとうございます。結果的に事業領域をEXUTRA(エクストラ)から介護旅行にピボットすることになったのは、古田さんご自身の自我のどのような変化が要因となっているのですか。
古田 ピボットした感覚は実はそんなにないんです。先にもお話したように、YOLOTとしては人生を変えるような体験機会の提供というのを掲げており、色々なセグメントに刺さると思っています。同じミッションの下で対象となるセグメントを変えて、提供する価値をより個別カスタマイズ性の高いものに変えたっていう感じですね。介護旅行の事業を実際に初めてみると、これまでとは事業の手触り感の違いがありました。例えば、昨日もお問い合わせで、88歳ですい臓がんの父親を持つ女性のお客様から、「父の寿命が近くて年内もつかどうかなので最後に旅行に連れって行ってあげたい」というお問い合わせをもらって。お客さんは右上肢麻痺だったのですが、短い距離なら自足歩行ということだったので、左側に手すりがあるバリアフリーで、介助しながら入れる内湯があって、紅葉が綺麗な場所を巡るプランを作ったり、カメラマンの撮影を手配したり、とかっていうのをやってるんです。この事業を始める時点ではあまり考えていなかったんですが、実際には旅行の手配を通して売上が立つこと以上に幸福度が高まるというか、自分の事業が人の人生のためになっているのをめちゃめちゃ感じられるようになってきていますね。
編集 確かに今の話聞いてちょっと鳥肌が立ちました。すごいことだなと。引き続き、自我の部分についての質問なのですが、今年IFDを実施したことで何か変化はありましたか?
古田 そうですね、もともと相対的に人より自我について考えてきた方だと思うのですが、「なぜ相対的に人より自我について考えてきたのか」自体を考えるきっかけになったのがNewでした。もともと哲学的な問いをずっと考えてしまうことがあり、例えば生きる意味とはなんだろうとか、宇宙はなぜ存在しているのだろうとか、石に命はあるのかとか、ちっちゃい頃から考えてはあーでもない、こーでもないと考えていました。最近改めて哲学の勉強しているんですが、やっぱり面白いなって思っていますね。科学は物事がどう成り立っているかといったHowの部分が対象だと思うのですが、なぜあるものが在るかというWhyところに対する疑問は哲学だと思っています。哲学の分野では三千年ぐらいの歴史の中で色んな人が「生きる意味とは」って説いていて、めっちゃ面白いんですよね。IFDを通して、なぜ自分が在るのか、という思考回路になっているかを振り返る良い機会となりました。
編集 古田さんの中で結婚が大きな転機だったと伺ったのですが、ここで変わった価値観を具体的に教えてください。
古田 結婚に対する価値観がいい意味で変わったのが先ほどもお話しした2019年の10月ぐらいで、実際その二か月後ぐらいにプロポーズしてるんです。諸藤さんとのセッション以降、仕事とプライベートという二項対立ではなく、自分を起点にあらゆるものを取り込み学習し続けていくことが大切だし、そういう起業家になりたいなと思ったら「俺、結婚していいじゃん。」と思ったのを覚えています。
結婚をしてからは、夫婦で自分たちの子どもについての話す機会が増えまして、前まではReapraでいう百年続くとか永続するとかとかがずっと遠くに感じていて全然手触り感なかったのですが、自分の子どもってなると結構リアルで。2100年ぐらいだったら自分の子どもは生きるだろうなって考えると、こういう世界であってほしい、という願いが色濃くなってきました。あと変化としては、高齢者を見てこの人も誰かの子どもなんだなって思うようになり、今まで生きてきた30年であまり思ったことはなかったんですが、より時間軸をリアリティを持って体感できるようになりましたね。80ぐらいのおばあちゃんを見ると、この人は戦後にきっとこういう時代背景で生まれたんだろうなとか、そう考えるようになりました。自分自身歴史が好きなので、脈々と繋がれてきた歴史を、なるべくより良い形で繋ぎたいなと以前より強く思っております。
編集 次は未来の話に移っていければと思っていて、今後のご自身の事業に対する向き合いポイントや、直近で描いている未来像があれば教えてください。
古田 大きい囚われがいくつかあるので、それに向き合いつつ、来年には単体事業で黒字まできちんと持っていく、そして多角化していきたいなと思います。「誰しもが自分の可能性に挑戦できる世界を創る」ために、「人生を変えるような原体験の提供」をやっているので、YOLOTを通して旅行をした人に「余命半年でもこんなこと出来るんだ」と感じてもらったり、家族にとっては「最後に一緒に旅行に行けたのが宝物の思い出」となるような旅行を提供したいです。介護旅行はすごく意味があることだと思っていますし、介護のみならずあらゆるセグメントに対して、よりよい方向に人生を変えるような原体験を提供していきたいなっていう風に思っています。
加えて、ゆくゆくで言うと僕自身の哲学的なテーマで「より良い生と死は何か」ってずっと考えていて、これを科学したいと考えています。例えば「かわいい子には旅をさせよ」とか「移動距離とクリエイティビティは比例する」ってよく言うじゃないですか。旅行に行って思考が広がったとか、学びが広がったとかまだ感覚的にしか伝わっていない旅の効用をきちんと大学とかと組んで共同研究とかして科学したいと思ってます。認知症予防と旅行回数の相関データとか、介護旅行と幸福度の関係とか、そういった実証データをもとに事業を作り込んできたいです。
編集 最後に、何か現時点で自我や事業に関してアップデートしようと考えていらっしゃることがあれば、お聞かせください。
古田 起業してから事業、そして自分に向き合っていく中で、コンディションが大きく浮き沈みすることがありましたが、少しずつ良い方向により自信をもって取り組めているなと思います。このコロナ禍で旅行業全体が大変な中ではありますが、ウェブ経由で個人のお客さんからお問い合わせをいただく機会も増えてきました。今までユーザー数や売上といった数値でしか満たされていなかったものが、世の中に必要な事業だとより実感を伴って誰かのためになっているイメージが見えてきています。これが組織として回るようになれば凄く幸せなことだと思ってるので、早くそこまで行きたいですね。そこに行けたらまた次の未来が見える気がしています。
編集 本日はありがとうございました。
順次公開予定
2. Reapra社員の社会と共創するマスタリーの歩み
ケース1. PBFにおける産業創造を目的とした長期持続的なテクノロジーの活用
執筆者:原永淳、浅倉真美、田中直輝、尾島恵太、岩野竜之介
はじめに
対象読者
本ドキュメントの想定している読者は、Reapraが想定するPBF(Promissiong business field)において、事業をこれから始める起業家、既に事業を行っている起業家、その会社の構成員を対象にする。また、その起業家と組織の支援者も対象となる。
なお構成員はテクノロジー人材だけに関わらず、テクノロジーを使ってPBFの領域でインパクトを出そうとする構成員全員を含む。
本概念化に至った背景
近年のテクノロジーの発展スピードはますます速くなっている。ニューノーマルという言葉が示すように、現代の人々にとってスマートフォンやインターネットを使わない生活は不可能に近い。このようにテクノロジーには不可逆性が伴なっており、さらにその発展スピードの速さから新しいものにキャッチアップしているか否かで情報格差がどんどん広がってきている。起業家にとってもこれは他人事ではなく、適切なテクノロジーの活用ができないと現代においてそれは大きな機会損失につながることになる。特に近年はその進歩から、仕組みを理解していなくても誰でもテクノロジーを扱えるようになっており、必ずしも適切とは言えない活用例も多く見られる。
例えば、起業家がテクノロジーを熟知していない場合、どのような課題を抱えることになるだろうか?抱える課題の中には、必ずしもテクノロジー関連(プログラミングやテクノロジーツールの使い方)の課題だけではなく、日々テクノロジーに向き合っているエンジニアやCTOと、それ以外の人材の間のテクノロジーの理解度のギャップにより副次的に生じる課題も含まれる。例えば以下のようなことが考えられる。
- テクノロジー人材の採用
- テクノロジー人材とのコミュニケーション
- オペレーションの効率化
このほかにも、テクノロジーの適切な扱いが分からずに利用することをためらったり、躊躇する一方、テクノロジーを一種の魔法のように捉えてなんでもテクノロジーで解決しようとしてしまうことも考えられる。
また、エンジニア出身の起業家であってもテクノロジーを過信してテクノロジー以外の領域、例えば市場感、全社戦略や事業戦略といった上位の戦略のつながりと理解、人材マネジメントなど一見テクノロジーとは関係しなそうなところを軽視することで、経営に課題を抱える例も存在する。テクノロジーに詳しい人も、そうでない人も適切な扱いについて学習していくことが必要となると考えられる。
さらに、PBFにおける起業家はPBFとそれ以外の領域でのテクノロジーの扱いの違いにも留意しなくてはいけない。テクノロジーを活用したビジネスモデルには主に
- 1:ビジネスモデル改良型
- 2:技術革新型
のふたつがある。ビジネスモデル改良型ではトレンドを起点としたインパクト創出を重視し、技術革新型では未来志向でありR&Dを重視する傾向が顕著になる。
テクノロジー活用の進んでいるアメリカでは、多くのスタートアップがかつてはビジネスモデルを改良することによりインパクトを出す傾向にあった。この型の企業はすでに非常に多く存在し参入する隙間を見つけるのが難しくなってきている。そのため、アメリカにおいてはすでに主流は技術革新型に移行しつつあるといえる。技術革新型はAIやブロックチェーンといった新しい技術を開発することでインパクトを出すものであり、シリコンバレーではこの種の企業が現在急増中である。
このようにテクノロジーを活用した産業創造には変化があり、ビジネスモデル改良型と技術革新型にはそれぞれ違った指向があるものの、課題を単純化して解決するという点において、テクノロジーを活用するというところに共通点を持つ。また斬新なアイデアから領域をディスラプトするようなビジネスが多く、そのために莫大な費用を用するうえ、ユーザーの教育が必要となるケースが多い。比較的短期でバリューを出すことを目指し、採用面においても人材育成に力を入れるというよりはすでにスキルセットを有するエンジニアの採用をする傾向にある。
それに対して、Reapraが対象とするようなPBFにおいては領域の複雑性が高いがゆえに、変数を絞り込んで単純化することは比較的難しく、多くの変数を取り込めるような状態を担保しながら、プロダクト開発や、テクノロジーの活用が必要となる。現在この領域においては、テクノロジーの活用は複雑性が高いが故に、先述したビジネネスモデルや先端テクノロジーでインパクトを出すというやり方が通用しづらく、遅れている。よって、その複雑性の高い市場のインサイトを得ると共に、オペレーションにおいては学習を通じて改善し続ける中で、同時にテクノロジーを適切に適用する必要が出てくる。
(※)参考
- 最小限のオペレーションから始めるとは、エントリービジネスにおいてはオペレーションを決め込まないテクノロジーの適用法が必要であり、PMFを達成するために少ない検証可能な小さいサイズでMVPを検証することが重要になる。そのイメージを表したものが下の2つの図である。
※イメージ1
※イメージ2
*注意
PBF領域のビジネスにおいてテクノロジーを活用してはいけないということではない。市場のインサイトを十分に得ていない状態において、テクノロジーを活用するという意思決定には注意がいるが、PBFにおいてもテクノロジー活用をするという意思決定が必要になるときもある。例えば上記の「イメージ2」において、3→4のステージにおいて自転車にエンジンを搭載してモーターバイクに発展させたのは、市場のインサイトを徐々に得ながら、適切な場面でテクノロジーを活用する意思決定をしたいい例だと考えられる。
上記の通り、PBFとそれ以外ではテクノロジーの扱いは異なる。しかし、テクノロジーの重要性が見直されている昨今でも、複雑性の高いPBFという領域におけるテクノロジーの扱い方に言及している理論は見当たらない。一般論のプロダクト開発や、DX(デジタルトランスフォーメーション)で適用できる部分は適用できるが、本ドキュメントでは、以下のような状態に近づくことを目的とする。
複雑性は時間軸とともに変化する。そしてテクノロジーはそれよりも激しく変化している。このような環境で正しい意思決定をするには、自我を認知して学習の習慣を改善しながら、テクノロジーの学習を継続し組織や個人のミッションに近づいていく必要がある。本ドキュメントを通して、将来なりたい姿に照らして学習の機会を意図的に設けることができるようになることを目的とする。
書き手の思い
読者がなりたい姿に近づいていくためには意図的に環境を作り上げながら学習していくことが大切です。この学習の姿勢はテクノロジーの学習においても同様に重要であり、本ドキュメントを通して、テクノロジー学習の手助けになればと願います。
自分の思い通りにやりたいという自我を抱えていた筆者は、一人でやりたいという思いとその中で没頭できるものとして多くの人に直接的に向き合ってインパクトを出すのではなく、テクノロジーというものを対象にして間接的に社会・人にインパクトを出す環境に身を置いてきました。
筆者の場合、インターネットブームという環境と上記の自我が、幸運にも世の中のニーズとマッチし、目の前の変化の早い課題を解決し続けることに没頭することで、エンジニアとしては成長し続けることができました。
その後、テクノロジーを使って何かインパクトを出したいと考え起業をしますが、この当時の目的は長期的なインパクトをだしたいというよりは、もっと短期的に効率的に世の中にインパクトを出し、結果として起業家として成功したいといったものであり、テクノロジーはそのための手段となっていました。その期間に、様々なビジネスモデルを試行錯誤しましたが、結局自身の自我から、毎回のチャレンジはプロダクトやテクノロジーといった閉じたユニバースの中では成長しましたが、外のユニバースとより共創できたかというとそうではなく、前回の焼き増しでしかなく、テクノロジーをより新しい環境に適用できたかというと、決して柔軟性が高かったとは言い難いです。
自分の癖から選ぶ環境と時代がマッチしたからエンジニアとしての成長が可能だったが、環境をリセットするたびに、落胆を味わい長期持続的な幸福感が得難かったのも事実です。この経験から自分の過去をしっかり認知して、自我をコントロールすることの重要性を実感しました。自分の自我を認識して、なりたい姿に照らしながら意思決定や環境に適用することが大切になります。
PBFにおける起業家は必ずしもテクノロジーを利用するのではなく、ときにはテクノロジーを利用しないという意思決定さえ迫られるかもしれません。そして、そのような意思決定をするにもまずはテクノロジーの解像度を上げる必要があります。テクノロジーに苦手意識がある人がいるかもしれませんが、自分にとって心地よい環境に閉じるのではなく、自我や学習の癖による機会損失を防ぎ、マスタリーテーマ・ライフミッションに近づいていく手助けになればと思います。筆者自身もまだ、本ドキュメントの作成プロセスを通して学習している段階ですが、読者にとっても良い学習の機会になると幸いです。
全体サマリー
各章とその対象読者
- 各対象読者に最終的に到達してほしいところ
- テクノロジー人材やテクノロジーに詳しい起業家
- テクノロジーを過信することなく、マーケティングやセールスなど組織全体の機能を理解することで視座を高めた発言・行動を取れるようにする
- テクノロジー領域以外の人材やテクノロジーに詳しくない起業家
- テクノロジーに対する思い込みを取り除く
- テクノロジーへの浅い理解から生じる適切とは言えないテクノロジーの扱いをなくすように学習する
- 起業家全体
- 自我にとらわれずにミッションの達成に向けて事業の推進を行えるようになる、あるいは難しいと理解しつつもそれにトライできるようになる
- 支援者
- テクノロジーという文脈において起業家を理解することで支援の質を上げる
全体の概観
- ※注意
- 第1章と第2章は一般的なテクノロジーの認識及びPBFにおけるテクノロジーの扱い方の理解に対するコンセンサスを作る土台部分
- 動機の形成
- 解釈に対するコンセンサス
- 6章7章のみが実践のパートではなく、実際の支援や起業家の活動を通してこのブック全体を常にアップデートしていく
- 第1章と第2章は一般的なテクノロジーの認識及びPBFにおけるテクノロジーの扱い方の理解に対するコンセンサスを作る土台部分
- 各章において読後に達成してほしい状態
- はじめに
- 本ドキュメントの全体像を把握し、すべてを読み終わった際にどうなっていたいかを描ける状態
- 第1章:現在におけるテクノロジーの重要性
- 一般的なテクノロジーの理解が深まっている状態
- 第2章:PBFとテクノロジー
- PBFにおけるテクノロジーの適用の概要が理解できている状態
- 第3章:起業家とテクノロジー
- 起業家が自身の自我と組織の自我を認知して、テクノロジーの学習を建設的に進められるような土台が整っている状態
- 第4章:テクノロジー人材とCCwS
- テクノロジー人材が、自身の自我と環境からどのようにテクノロジーを捉えているかの関係性を把握し、将来ありたいユニバースに向かって、学習を改善しながら熟達したいという動機がついている状態
- 第5章:テクノロジーと組織
- 組織の自我を認知し、全社戦略にテクノロジー戦略が埋め込まれている状態。
- 第6章:テクノロジー状態チェックシート
- 評価指標を理解し、チェックシートを用いて組織でのテクノロジーの評価をできる状態。
- 第7章:起業家および組織のサポート方法
- 起業家をサポートするREAPRAの構成員が起業家および組織のミッション達成に向けて、テクノロジーの観点を組み込めている状態。
- はじめに
ケース2. 次世代に拡張的に発展しうる組織づくりのための関連制度設計の探求(スタートアップ編) 〜 次世代に拡張的に発展していくための競争力の源泉としてのコーポレートガバナンスとは
執筆者: 松田竹生、中島慎治
序章
前書き
日本の高度成長真っ只中で第二次ベビーブーマー世代として生まれた私は、資本主義の光と影が交錯するような時代を生きてきたのだと思います。70年代から80年代にかけ、工業化の進展により日本の国際競争力が高まり、国の進む方向性として確固たる自信を深めていく世の中の空気感がある一方、画一的な教育システムを基礎に、その後の人生全般に渡り競争が埋め込まれ、相対優位を獲得する手段を身につけることが求められていく社会背景の中で幼少期から学生時代を過ごし、90年代に入り日本のバブル経済が崩壊した後に社会人になりました。社会に出た後、グローバルではインターネットの普及による情報化社会の更なる進展や中国の国家資本主義化を通じ、資本主義自体のありようは更に暴走していきます。その過程では、競争が競争を生み、終わりなき成長を勝ち負けで競う風潮が加速度的に進行し、貧富の差が際限なく広がり、社会の不満がマグマのように充満し続けてしまっているかもしれません。あくなき競争に盲目的になることで、機会に恵まれなかっただけの人達が再度チャレンジできるチャンスがなかったり、人間の尊厳さえも失われるような歪みが世界中で蔓延しているように見えます。
自分は競争のみに突き動かされた資本主義観の中で、自身が社会の中で相対的に優位なポジションで生存しなければという恐れを中心とする自我に駆動され、相対優位を構築する競争を続けてきた気がします。一方で、(途中でいくつかの挫折を経験しながらも)幸運にも致命傷に至る前に競争のゲームの中での優位性を味わうことができたこともあり、シンガポールに居住地を移した後、偶然の出会いが重なり、Reapraの創業に参画しました。Reapraで時間を過ごす中で、自身の競争を源泉にした原動力は年を重ねる毎に減衰し、本質的に世代や時代を超えるような長期持続的な組織、そしてそれを取り巻くステイクホルダーを含めた関連制度設計を、変化する社会と共創しながら探求することに自身の興味関心を強く持つようになりました。それは競争社会の中で相対優位を確立しなければという人生に対する恐れを持つ前に、両親に守られ、兄や友人達と野原を駆け巡りながら自身の好奇心を解放していた時期や、野球というスポーツから仲間や家族に感動を与えたり、与えられる喜びを分かち合うことで得ていた自己の本源的な欲求を思い出しているからなのかもしれません。
私は、ここまで社会を発展させた資本主義自体を否定するつもりもありませんし、お互いの能力を切磋琢磨して競うという意味での競争も一定必要だと思っていますが、行き過ぎた資本主義が修正され、社会の中でより多くの人が長期持続的な幸福感を得るために、私自身は”次世代に向け、感動を通じた喜びを分かち合えるような社会の創造”に貢献していきたいという想いを、次世代に拡張的に発展しうる組織作りのための関連制度設計の探求を通じて模索していきたいと思います。
(By Takeo Matsuda)
本書の想定読者
本書は、中長期で成長する蓋然性が高いものの、複雑性が故にまだ十分に顕在化しておらず、世代を跨ぐような大きな社会課題になりうる領域において、長期持続的に成長発展し、社会に貢献していくことを志向する起業家及びその組織構成員に向けて書かれています。「コーポレートガバナンス」は企業の持続可能性を高める源泉であり、本書が組織が透明性、公正性、長期効率性を担保しながら発展する仕組みを構築する一助になることを期待します。
本書の前提
本書は、創業起業家がゼロから法人を興し、事業を発展させる過程において、自身から次の世代へ繋ぐまでの期間を想定しており(所謂スタートアップから成長フェーズまで)、かつ日本国内の株式会社を中心に執筆されています。
ガバナンスポリシー
本ガバナンスポリシーは中長期で成長する蓋然性が高いが、複雑性が故にまだ十分に顕在化しておらず、将来に渡って世代を跨ぐような大きな社会課題になりうる領域において、長期持続的に成長発展し、社会に貢献していくことを志向する起業家及びその組織構成員に対し、その競争力の源泉の一つになる「コーポレートガバナンス」を考える上での基本原理を示すものです。
ここでコーポレートガバナンスとは「ミッション達成のため、企業運営の透明性・公正性・長期効率性を担保し、持続的発展(企業価値に限らない)を追求する仕組み」と定義します。
本ポリシーは、スタートアップガバナンスチェックリスト(別資料)によるアセスメントに先立ち、そもそも起業家及び組織が根幹で保持すべき、又は獲得していくべきものを事前に整理し共有することを目的にしています。
ガバナンスポリシーの核
起業家の価値観、意思、可塑性
最も根幹で確認すべきなのは起業家の価値観そのものです。深層心理も含め、下記のような価値基準に正しく向き合える準備があるか、意思があるか、又は向き合っていける可塑性があるか、を問い続ける必要があります。ガバナンスの根幹として継続的に確認が必要な最重要部分となります(FDの重要性)
- 価値観、意思
- 人生観において社会と共創したい、又はしなければという必然があるか
- PBFでマーケットリーダーになるような組織を創造することに確固たる動機があるか
- 心底、世代を繋いでいく形で成し遂げたいと思っているか
- 理解
- そもそも透明性/公正性/長期効率性を担保する仕組作りをしていくこと自体について障壁や疑義をもっていないか
- 可塑性
- 上記を実現しようとした際に、常に振り返るべきものは自分の弱さであるという理解があるか
正しい環境設定
起業家の価値観、意思等に疑いがない場合でも、正しい場所で事業展開を進めない限り、世代を超え持続的な成長発展をする組織は創造しえないことを理解する必要があります。
ケース3. 社会と共創するマスタリーにおける学習をするゼロイチ起業家のためのセールスハンドブック
執筆者:山田晃義、佐藤亮輔、田昇龍、岩野竜之介、並木大晟、楠田健太
*Contents of Next Generation Sales
https://docs.google.com/document/d/1eEFcUFnYOHR1zTtPPG4g4f1RU1mmvdESXRiWRvH473Y/edit
*Sales Support
https://docs.google.com/document/d/1RAU44mjVsCjo-EQLCu3dK_2K7r-zUD0VT1ohxHBPtxo/edit?ts=5f6d9cfd
*図示化資料
https://docs.google.com/presentation/d/1j40d4m10QhzsEosq5r6nTH7jN4Eo0PQs8pwflGb4_oA/edit#slide=id.p
はじめに
「起業すると全部自分でやらなきゃいけないんですね」
「こんなにやること・見ることが多いと思ってませんでした、、」
起業家がやらなくてはならないことは、自社のMVの構築や事業領域選定、製品・テクノロジーの開発、資金の調達、採用、集客、セールスなど多岐に渡ります。さらには会社を立ち上げたばかりの頃はリソース(人や資金など)も限られているため、それらを起業家一人で行わなくてはなりません。セールスはあくまでも事業運営をするにあたっての一つのファンクションに過ぎませんが、売上・利益を創出するためには欠かすことのできない重要な役割を担っています。
しかし、全ての起業家がセールスの経験があるわけではありませんし、商材やビジネスモデルの違い、会社・事業のフェーズの違いから過去の経験に頼ることができるとも限りません。
本節を執筆する山田のキャリアはこのセールスという仕事から始まりました。
2002年にセールスとして厳しい環境と言われる株式会社キーエンスに入社し3年半法人営業を経験してきました。また、2007年には株式会社エス・エム・エスにてセールスマネジャーや買収した事業のPMI、事業開発を経験しています。そして、2015年には独立し事業開発・セールスのコンサルを行い、そして現在はReapraにて投資先のセールス強化を行っております。
私の周りではキーエンスでのセールス経験があることから、卓越した営業マンであるという印象をもたれる方が多いようです。しかし、私は元々極度の人見知りで知らない人と話すと赤面してしまうなど、セールスという仕事とは程遠いタイプの人間でした。
そんな私が初めてセールスという仕事に触れたのが大学生時代のクレジットカードの勧誘のアルバイトでした。最初は道ゆく人に声をかけることもできないと言う惨憺たる有様でしたが、3年間このアルバイトを続ける中でだんだんと知らない人と話すことにも臆さないように変容してきました。
セールスと聞くと元々その人に備わっているコミュニケーション能力やバイタリティといった気質など先天的な要素の影響が大きいと感じられる方も多いかと思います。しかし、決してそんなことはなく、後天的にも身に付けられる技能であることを私は肌身をもって実感しています。
これまで、事業を行う上で最初の壁となるセールスに苦悩する多くの起業家を見てきました。彼らの多くはセールスのマインドセット・スキル・知識を十分に有していません。このドキュメントは、ゼロイチ起業家がセールスに対する理解を深めて、自身のビジネスフィールドで試行錯誤するための礎になることを目的としています。このドキュメントはセールスに関する教科書ではなく、あらゆる業界のセールスのソリューションになるわけではありませんが、皆さんのビジネスにおける「セールスのあり方とは何か?」を考えるきっかけになれば幸いです。
第1章:セールスとは
セールスとひとことで言っても、その範囲は人によって捉え方が様々である。言葉の通り「物を売ること」「売上をあげること」と、顧客と多面で折衝する販売行為、それよりも前工程のマーケティング(集客)のプロセスを含んだり、あと工程のサービス納品や代金回収までをセールスの範囲と捉えるなど、人・業界・立場によって様々な定義がなされている。また、会社の事業フェーズに応じて必要とされるセールスのあり方は動的に変容する。本書においてはセールスを「人を介して販売を行う利益貢献活動」と定義して主にゼロイチフェーズの起業家にフォーカスを当てて解説する。
本書が対象とするセールス対象範囲は、下記のような一般的なマーケティング・セールスプロセスに当てはめると2つめのフェーズに該当する。
1、集客:マーケティング
2、販売:セールスプロセス←本書の対象範囲
3、納品:カスタマーサクセス
図1
※マーケティングや納品/カスタマープロセスプロセスに関しては研究実践を劣後させている。
Reapraが対象とするフィールドにおけるセールス
本書ではReapraの定義する「社会と共創するマスタリー」「PBF」のコンセプトに沿ったセールスを対象とする。
社会と共創するマスタリーとは(リンク)
PBFとは(リンク)
PBFとは「世代をまたぐアジェンダ(社会課題)で、今はまだその複雑性からマーケットが顕在化しておらず社会的な役割も小さいが、将来においては大きく伸びゆくことが予見される領域」であり、複雑性が高い領域において時間軸を長く取ることを意味している。このような領域においては登り方を事前予測できず、予め大きな戦略を描くというやり方とは異なり、実践から得られた経験やフィードバックからマーケットの解像度を高め次の一手を思考していく(*エフェクチュエーション (リンク))。さらに、取り組むアジェンダは長期の時間軸となるため、創業者一代の時間軸に留められないことからも、人を巻き込み、システム(仕組み)にしていくことが必要となる。
一般的にセールスというと売上(利益)をあげることが大きな役割であると考えることが多い。一方で、PBFのようにマーケットが十分に顕在化していない環境においては、単一のプロダクトだけではインパクトが限定的となるため、複数のプロダクト(事業)を形成していくことで会社のミッションを実現しマーケットリーダーになっていくことが望まれる。このことからマーケットやクライアントと直接的な接点を持つ(事業の最前線に立つ)セールスという存在は、その実践をもって事業仮説を検証しながら、得られたフィードバックを基にオペレーション・プロダクト・事業・組織の作り込みと探索をも担う。
本書の構成
本書は図2のように構成されている。
https://docs.google.com/presentation/d/1j40d4m10QhzsEosq5r6nTH7jN4Eo0PQs8pwflGb4_oA/edit?usp=sharing
図2
第2章はセールスの全体像について、第3章はセールスをするにあたって前提として知っておきたい顧客の購買の意思決定構造について記述する。
第4,5,6,7章はセールスに必要となる4つの要素(柱)について、また第8章では個人・組織においてそれを学習する人材マネジメントについて記す。
そして第9章では筆者が考える次世代に必要とされるセールスのあり方について記述する。
第2章:知っておくべき<セールスの全体像>
はじめに
本資料の目的
- 本資料ではゼロイチ起業家が知っておくべきセールスの全体像について記す。セールスの全体像を知っておくことによって、自分の経験や癖により活動や行動が制限されることを防ぐ(*1)。また、予めセールスの全体プロセスを知っておくことで、各ファンクションをモジュールとして捉えるのではなくつなげて理解をすることで、事業活動の入り口(e.g.集客)から出口(e.g.受注、営業利益)までを一貫性を持って業務設計することができる。
セールスの全体像を把握しないと陥てしまうことは?
- 一貫性を持った業務設計ができない
- マーケティングはマーケティングだけ
- 例:CPAだけ見てしまう。
- マーケティングから受注まで繋がらなくなる。
- 利益が高まらない。
- マーケティングはマーケティングだけ
- ブラインドスポットにによって見えないポイントが発生する *1
- 得意なことに集中し、苦手なものを捨象してしまう
- マーケティングの方をやってきた。伝統的な営業が苦手。マーケティングに集中して見込み客を獲得することだけに打ち手が限られている。他の可能性を見逃してしまうことがあるかもしれない。
- 自分が今やろうとしたことと扱ってないことがあるのではないか
- 得意なことに集中し、苦手なものを捨象してしまう
- 一貫性を持った業務設計ができない
セールスの全体像
関与変数
- 戦略(営業戦略)
- 会社のMission,Visionを実現するための全社戦略、事業戦略に紐づくセールスファンクションにおける登り方
- 人材マネジメント(8章)
- (戦略に沿った)オペレーションを遂行することができる人材を創出(採用・育成・退職)する管理
- オペレーション
- 事業・戦略・プロダクトの仮説を検証し、事業・戦略・プロダクトにフィードバックをかける実行機能
- セールスプロセス *2下記の図を参照
- セールスに必要な4要素
- スキル(第4章)
- マインドセット(第5章)
- 思考(第6章)
- ナレッジ(第7章)
https://allabout.co.jp/gm/gc/292738/
※参照
セールスオペレーションの全体像 *2
- マーケティングファネル(セールスの広義)
- 広義のセールスプロセスを機能に分化したもの
セールスのアナロジー:魚釣り
営業のゴール:売上・利益を上げる、受注を取る=魚釣り:魚が釣れた状態
- 営業の活動を魚釣りに例えられる。魚が釣れるところまでどういうストーリーがあるのか説明する。
餌:自社のサービス・商品=海:マーケット
- 釣り竿があって、釣り糸が垂らされている。餌がついている。
- 餌は相手がほしいもの:ニーズを満たす自社のサービス
- 餌が魅力的だから餌に食いつく。
- 魚が食べたいものであれば、食べない。
- 餌(自社のサービス)に食いつかなくて釣れない。
- だから、いかに魅力的な餌がぶら下がっているのかによって、魚がそれに食いつくかどうかというのが決まる。
釣竿・テクニック:セールススキル
- 漁場選び:ターゲティング(STP)
思考、マインドセットを何かに例えられないか
トラディショナルな営業:広い海でとりあえず釣り竿をなげまくること
- 広い海(マーケット)に魚(顧客)がたくさんいる。
- どこに自分たちのサービス・商品に食いついてくれる魚(顧客)がいるのかというのは、海の中にいるので水面からは見えない状態
- 魚の糸を垂らし続けて、釣れるのを待つしかない。
- 古いトラディショナルな営業というのは、海に出てとりあえず釣り竿を投げまくるということをやっている。
- 飛び込み営業・テレアポガンガンかける営業など
- どこに顧客がいるのか分からないけど、魚群探知機も無い状態で無作為にやる。
- 効率が悪い。
- コストも高い
- 釣るのに人の時間を使っているため
撒き餌している状態:マーケティング(広告:DM,WEB MARKETING, SEOなど)活動
- マーケティングとは、自社のサービスを認知してもらい、そこに興味をもってもらい、アクセスしてもらうというのをつくろうとしていること。
広告を出して、あなたの餌に興味ありますという風になっている状態
- 餌を撒いたら魚が寄ってくる。
- でも、釣れるわけではない状態
- 美味しそうだといって食べて食いつく。
- 餌を撒いたら魚が寄ってくる。
海のあるところに撒いたものというのが遠くにあったら気づかない。
- 本当は自社のサービスに魅力を持ってもらえる人だとしても気づけない
- でも、近年でいうと、インターネットを使って広い海だが、そこに対して低コストでたくさんの認知を図ることができる
引き合いがある状態
- 撒いた餌に食いついて、顔を出しているような状態(ここに魚がいることを気づける状態)
- 顔を出した魚を海から自分たちが釣りやすいところまで魚をおびき寄せる
- そこに集まっている状態:自社の見込み客が分かっている状態
- インサイドセールスの役割
- 一部は、アポイントが取れてフィールドセールスに渡す
- アポイントが取れたらフィールドセールスのプールに引き渡す
- 一部は離脱するものが出る
- 拒絶されたらリサイクルのプールで確保する。
- 離脱するものに関しても魚としては一つプールとして確保しているので、また別の時期にアプローチができる。
- 拒絶されたらリサイクルのプールで確保する。
- 一部は、ナーチャリングする。 今まだ釣らない方がよくて、いっぱいご飯を食べさせて、大きくなって太らせてから釣った方が美味しく食べられるから、今はまだ釣らずに育てようという段階
- ※自分たちの漁場に入ってきた魚は一回は行ったら、出れない。
- 一部は、アポイントが取れてフィールドセールスに渡す
第3章:知っておくべき<顧客の購買構造>
はじめに
- なぜ顧客の<購買構造>を知る必要があるのか?
- 購買構造を理解することで、効率よく適切なセールス戦略を策定することができる。
- 数字が伸びていないときに、どういった視点が欠けていたのかを判断して適切な改善案を提供できる。
- 知らないと、、
- 非効率なセールスを行ってしまうことで、機会損失に繋がる。またどうして機会損失が起こっているのかわからなかったり、機会損失の存在にすら気付かない可能性がある。
- 全体の構造を理解できていないと、闇雲に改善しようとして非効率につながってしまったり、最悪の場合、改善どころか悪化してしまう可能性もある。
顧客の購買構造について
はじめに
近年はAIの進歩により、多くの職業が代替される恐れがあり、セールスもその波に飲まれると言われている。これからの時代に必要とされる新たなセールスの形とはどのようなものなのかを考えるために、合理・非合理の観点から、人間の購買における意思決定プロセスを理解する。
前提
- 人間とAIの大きな違い
- 人間は合理的な判断ができない生きもの
- AIは合理的に判断するもの
- AIは合理的でないゴールを予測することはできない
- AIの置き換えられる業務と置き換えられない業務とは
- AIとは脳を代替するものであり、心を代替することはできない
- 人間独自の感情を理解することで、代替されないセールスというのが可能になる
- 購買の意思決定には合理的意思決定のルートと情緒的(非合理的)意思決定のルートが存在し、その双方により意思決定がなされる
- 以下は参考イメージ図
法人と個人の違い
- 購買の基本的なレバー
- 法人
- 財務(儲かるかどうか)
- かっこいいから買うのような意思決定は少ない
- 「投資」として長期の時間軸において利益が出るかどうか
- ROI(投資利益率)が1.0を超えるか -(売上ー売上原価ー投資額)÷ 投資額
- 合理が強い
- 財務(儲かるかどうか)
- 個人(消費者)
- 消費
- 「支払ったお金以上に儲けが出る」という合理だけが消費の動機にはならない
- 洋服
- 可愛いから、かっこいいから、あの芸能人が持っているからなど
- 「投資」というよりは「浪費」
- 情緒が強い
- 消費においては投資よりも感情に引っ張られることが多い
- 結果的に非合理になりやすい
- 消費
- ※ただし上記は「基本」なので例外はあるし、デジタルではなくグラデーションである。あくまでも傾向であり、法人の方がかならずしも合理的になり、消費者は常に非合理というわけではない。それぞれにおいて、投資としての側面と消費としての側面の割合がグラデーションになっている。
- 投資的側面、消費的側面の割合具体例
- 法人:投資9割、消費1割
- 個人:投資1割、消費9割
- 投資的側面、消費的側面の割合具体例
- 法人
人間の欲求
- 人間の欲求と購買
- 人間はある欲求を抱き、その解消手段として購買を行う
- セールスにおいては、人間の欲求は合理的側面に寄与する部分と非合理的側面に寄与する側面がある
- 人が購買をする際には、その商品・サービスの購入を通じて得られる「効用」を購入していると言える
- 効用
- 自分の欲求が満たされると思えるモノあるいはコト
- 人は何かしらの効用が得られると感じるときに購買をする
- ゲームで得られる”達成感”や予備校に通うことで東大に入学できるかもしれないという”期待感”という効用を購入する
- 効用を満たす要素
- 合理的要素:これらの要素は合理的であるため単純比較がしやすい
- それぞれの効用を掛け合わせた上で期待値の大きい方を購入する
- 機能
- 価格
- 品質
- 非合理的要素:顧客それぞれの価値観に基づくため非合理になる
- 顧客自身の審美眼
- 顧客自身の充足感
- 他人からの承認欲求
- 会社における昇進欲求
- 危機回避欲求
- コンプリート欲求
- コレクションを最後まで集めようとする
- 後悔回避欲求
- 投資などにおいて早めに手を引いたほうがいいときも、損切りできずに続けてしまう
- 合理的効用を満たす具体例
- 居酒屋チェーン「鳥貴族」が人気な理由
- 美味しい(品質)
- 安い(価格)
- 店舗数(機能)
- 居酒屋チェーン「鳥貴族」が人気な理由
- 非合理的効用を満たす具体例
- スイスの高級機械時計
- 時間の正確性については1,000円のクオーツ時計の方がいい。しかし売れている。
- 顧客が高級時計に求めるのは「ブランド」や「高級感」
- その顧客の主観的な充足感、審美眼を満たす商品
- スイスの高級機械時計
合理
- 購買意思決定プロセス
- 1:課題が生じる
- 2:課題を解決する
- 今買うか
- 今すぐ?1年後?
- 緊急性による
- 空腹時には今すぐ食べ物を買うが、そうでないときは適切なタイミングを待つ
- 外から調達するか
- 自社?購買?
- 購買によるコストと便益、自社で調達するコストと便益を比較し決定する
- 誰から買うか
- A社?B社?
- どちらの方が値段がリーズナブルか
- 緊急性がある場合はどちらの方がより早く購入できるか
- ロケーション
- 価格帯
- 高級品か安い商品か
- 例:ハンバーガーを食べたいとき、普段はマックに行くが、お金に余裕があるときはモスバーガーに行く
- 今買うか
- 2':課題を解決しない
- 合理的意思決定のプロセス
- 課題解決のためにどのような選択肢があるかを考える
- 種々の費用と便益とを比較する
- 選択肢の優劣や適不適を考え選択する
- 購買する合理的な意思決定要素
- QCD
- quality:顧客の求める品質基準を満たす - cost:品質を保ったうえでできるだけコストを抑える
- Delivery:納期に遅れない
- QCD
非合理
- 信頼
- セールスの5ステップ
- Trust & rapport
- 信頼の構築
- Uncover needs
- 顧客の課題を発見する
- Present solution
- 解決策の提案
- Handle objections
- 顧客の反対意見を対処する
- Close the sale
- Trust & rapport
- このステップで一番大切なのがtrust & rapport
- 信頼というのは言葉にするのは難しいが、感情として脳が判断するもの
- 脳はどのように信頼という感情を生み出すのか?
- 信頼と不信というのは違う脳の部分により生まれる感情
- 信頼
- オキシトシンとドーパミン
- 不信
- コルチゾールとテストステロン
- 信頼を築く具体的ステップ
- Rev-up the oxytocin and dopamine
- 触れる
- 握手
- ハイタッチ
- スマイル
- 笑顔は実際に笑う人だけではなく、その受け手もドーパミンがでる
- Ask questions
- Who, how, whatなどの簡単に答えられる質問
- 顧客が自分自身について語るときドーパミンがでる
- セールスパーソンにとって大事なのは聞くこと
- 人は話を聞かれることでオキシトシンを分泌する
- 3:1(パーソナル:ビジネス)
- 話の内容はビジネスだけではだめ
- 触れる
- Reverse the conversation
- 常に顧客が話に集中できるとは限らない
- 集中させる一番の方法は思考させること
- 例:質問する
- Recognize their style
- コミュニケーションスタイルはそれぞれ違う
- 人によって違う
- 4タイプ
- ダイレクトで直感的
- 詳細は伝えずに直接話す
- 分析的で詳細を知りたがる論理的タイプ
- 数字などを盛り込んだより多くの情報とともに伝える
- 熱狂的で情緒的(雰囲気を大事にする)
- ざっくりと感情をこめてフレンドリーに
- 不安症なタイプ(安定を好む)
- 数字などを盛り込み安心させる一方で、あなたと付き添って一緒にやりますよなど心理的に寄り添う
- ダイレクトで直感的
- コミュニケーションスタイルはそれぞれ違う
- その他信頼を形成する要素:初対面での第一印象
- 見た目での判断
- メラビアンの法則
- 「7-38-55のルール」話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合であった。
- ※ただし前提としてこの実験は、「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」において「メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った」場合、「メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する」という事を言っているに過ぎない。よって単に事実のみを伝えたり要望をしたりするコミュニケーションの場合には触れておらず、コミュニケーション全般においてこの法則が適用されると言うような解釈はメラビアン本人が提唱したものとは異なるものである。
- メラビアンの法則
- 印象管理
- 服装・髪型
- 信頼感や安心感を演出できているか
- 表情
- オープンフェイスを心がける
- 眉をあげる
- 目を大きく見開く
- 笑顔、温かみのある表情
- オープンフェイスを心がける
- 姿勢
- ×腕組みは「防御の姿勢」
- 傾聴姿勢
- アイコンタクト、相手の目を見て話す
- うなずき
- 相槌
- リフレクティング(おうむ返し)
- 特に課題・ニーズなど重要なキーワードが出た時におうむ返しを行い、重要なものであるというコンセンサスをとる。
- おうむ返しを多用すると「本当に話を聞いてるのか?」「バカにしてるのか?」という気持ちになる。要約して自分の理解を伝えるなどの工夫を挟む必要もある。
- メモを取る
- 重要なキーワードを記録し、相手の話に耳を傾けていることを表現する
- ジェスチャー
- 手の動きは言葉・文脈の意味と合わせる
- 非合理を示す心理
- 類似性の法則
- 似ている人を好きになる
- テクニック:ペーシング
- 相手の話し方や状態、呼吸などのペースを合わせることで相手に話しやすい雰囲気や空気感を作り出すテクニック
- 効果
- 安心感を与える
- 信頼関係を構築できる
- 話や提案が受け入れられやすくなる
- バックトラッキング
- 否定されるのが嫌い
- 物事を否定的にとらえがち
- メリットを強調しすぎるとデメリットに関心が向いてしまう
- 類似性の法則
- 服装・髪型
- 見た目での判断
- セールスの5ステップ
損失回避
- 人間は損と得を同じ天秤にかけず、心理的に損の方を得より大きく感じて損失を回避する行動をとりがち
- 具体例:ニューヨークの雨の日のラッシュアワーにはタクシーがつかまりにくい。原因は雨の日は利用客が多くなり、短時間で売上げ目標額に達するためいつもより早めに仕事を切り上げる。目標額に達すると損が回避されたと感じて、それ以上長く働こうとしない
- 目に見えない利得よりも目に見える損失を気にするため保守的な意思決定をしがち
- 買い手の置ける非合理な選択
- ひき肉の内容表示で「赤身80%」と「脂肪分20%」では同じ内容でも前者を選ぶ
- 参考:フレーミング効果(プロスペクト理論)
- 行動経済学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーにより提唱された心理現象
- 同じ結果を伝える場合でも、得する情報と損する情報のどちらかに重点を置くかによって人の感情は変わる。人はより損失に敏感に反応する
- 利益を伝えるときは確実表現
- 成功率90%の手術
- 損失を伝えるならリスク表現
- 死亡率10%の手術
- 人間は損と得を同じ天秤にかけず、心理的に損の方を得より大きく感じて損失を回避する行動をとりがち
理性と本能
- 人は商品を購入するとき、感情により「ほしい」と感じて購入を考えることが多い。感情ののちに思考(理性)が生まれ、詳細な商品の仕様や価格などを加味して実際に購入を行う。
- アンケートの回答と行動の乖離
- 人は合理的に考えることができても、その場で突発的に非合理な購買をすることがある。
- アンケートによると健康のためにサラダが欲しいという要望がつねにあった。しかし、サラダマックの販売を開始すると売れ行きは振るわず終売になった
- その後、メガマックやクォーターパウンダーが大ヒット
- アンケートの回答中はひとは冷静でいるため「健康のためにサラダがあるといい」と回答するが、実際にマクドナルドに行く際には、ヘルシーなものよりもジャンクなものを食べたいと思う
- 他の例:バーゲンに行くと「安いから」、「今だけだから」と必要のないものを買う
- 観察と共感
- サラダマックのように顧客の声をそのまま受け入れるだけでは不十分
- 顧客を観察し、顧客に共感する
- インタビュー
- アンケートだけでは冷静で合理的な判断にしかたどり着けないため、対話をすることで相手の表面的な意味だけでなく、相手の表情・態度・言外の意味・その結論に至るまでの経緯などに気づくことができる
- 現場観察
- 顧客の立場に身を置き、身体で感じながら観察する
- インタビュー
- ニューロマーケティング
- 通常のアンケート調査では理性と本能の乖離により正確な情報がとれないため、直接脳に聞こうとする脳科学を用いた新技術
- 感情レベルで消費者の心を理解する
- その上で、理性を納得させるような購入すべき理由を提示する
ワークショップ
- Q1:対象としている顧客は法人ですか?個人ですか?また法人と個人における購買心理の違いは何ですか?
- Q2:効用とは何ですか?
- Q3:セールスにおける信頼というのは具体的にどのような行動を通して達成することができますか?
※参照
購買行動について
はじめに
前提
ゼロイチ起業家が自社の商品やサービスを提供する際に、顧客の購買行動を把握した上でセールスをすることでより効率的な活動ができるようになる。
この資料は顧客の購買行動について理解を促すため作成した資料である。自社の商品の特性・市場の特性などの状況に合わせて適応することが大事である。
意味
- 購買行動
- 購入者が商品を購入するときにとる行動のこと
- 一般的に、個人としての消費者の購買行動と、法人としての購買行動に分けて考えられる。
- 購入者が商品を購入するときにとる行動のこと
BtoCの購買行動モデル(顧客:個人)
マスメディア時代の消費者の購買行動モデル『AIDA』『AIDMA』
『AIDA』
- Attention(認知)
- 広告で消費者に商品を認知させる
- Interest(関心)
- 商品の魅力を消費者に訴求する
- Desire(欲求)
- 商品が満足をもたらすことを納得させる
- Action(行動)
- 購買行動を起こすための働きかけをする
- Attention(認知)
『AIDMA』
- Attention(認知)
- 広告で消費者に商品を認知させる
- Interest(関心)
- 商品の魅力を消費者に訴求する
- Desire(欲求)
- 商品が満足をもたらすことを納得させる
- Memory(記憶)
- DMや電話などでフォローする
- Action(行動)
- 購買行動を起こすための働きかけをする
- Attention(認知)
インターネット時代の購買行動モデル『AISAS』
- Attention(認知)
- 広告で消費者に商品を認知させる
- Interest(関心)
- 商品の魅力を消費者に訴求する
- Search(検索)
- 商品の情報をWEBサイトで提供する
- Action(行動)
- 購買行動を起こすための働きかけをする
- Share(共有)
- SNSなどで発信しやすい仕組みを作る
- Attention(認知)
コンテンツマーケティング時代の最新の購買行動モデル『DECAX』
- Discovery(発見)
- 商品を発見してもらえるコンテンツを用意する
- Engage(関係構築)
- 繰り返し触れられるだけの数の多様なコンテンツを用意する
- Check(確認)
- 商品や自社への信頼性を高め、商品の詳細情報を敵今日できる仕組みを作る
- Action(行動)
- 適切なタイミングで購入へ導く
- Experience(体験と共有)
- SNSなどで発信しやすい仕組みを作る
- Discovery(発見)
※参照
消費者行動の種類(購買前)
- 店内をうろうろするタイプ
- 衝動買いするタイプ
- 事前に情報取集するタイプ
- インターネットで事前に調べて、ネットでの価格であったり、レビューサイトで使用者の口コミを確認したりする。
- 交渉するタイプ
- 特売品を好むタイプ
- ブランドに忠実なタイプ
- 計画的な買い物をするタイプ
- 買い物リストを作成し、それだけ買うタイプ
- 予算の制約があるために、必要なことだけ買う可能性もある。
- 買い物リストを作成し、それだけ買うタイプ
- ウィンドウショッピングするタイプ
- 好きなインフルエンサーの影響で購買するタイプ
※参照
BtoBの購買行動モデル(顧客:法人)
- BtoBの購買行動モデル『ASICA』
- Assignment(課題)
- ターゲット企業の課題を洗い出し、提示する
- Solution(解決)
- 課題の解決策を提案する
- Inspection(検証)
- 解決策の有効性や、費用対効果、競合に対する優位性などを提示する
- Consent(承認)
- 決済者に向けたプレゼンテーション資料などを作成する
- Action(行動)
- さらなる取引を継続できる関係を構築する
- Assignment(課題)
※参照
BtoBの購買プロセス
1. 課題設定と社内案件化
情報収集
- 情報収集は担当者がインターネットやセミナー、関連する展示会に来訪、などを通じて行われる。
- この段階では、担当者が自分自身で情報収集できるかぎり、業者の営業と接触すること以外の方法で情報収集することが多い。
- 情報収集は担当者がインターネットやセミナー、関連する展示会に来訪、などを通じて行われる。
自社の課題の認識
- 自社・事業の(潜在・顕在化された)課題を認識し、課題解決のための製品やサービス購入の検討からスタートすることが一般的
社内の要求とりまとめ(要件の定義)
予算枠の取り押さえ
- 担当者が情報収集の中で自社の課題を認識し(自社の課題を認識し、情報収集するケースもあり)、同僚・上司に報告することを通じて、社内プロジェクトや予算の確保ができるようになる
- 候補業者の抽出
- 自社の要件を定義
- 課題を解決する商材を探す・絞り込む
- 提案を業者に依頼
- 候補業者リストの社内承認を得る。
- 候補業者の抽出
- 提案の評価と選定
- 提案を受け、価値を評価する
- さらなる要望を伝える
- 社内稟議をうる
- 決裁者が購買の意思決定をする
- 提案の評価と選定
※参照
BtoBの購買に影響を与える要素
購買予算の仕組み
- 余り予算
- 例:採用予算
- お金が尽きてしまうと打ち手が打てなくなる
- 基本的には無くならないように、計画的に使わないといけない
- 最後にピッタリゼロにはなってなくて、基本的には余るような計画で作っている
- 予算が余ってしまうとこんなに必要なかったと思われたら、翌年の予算が減ってしまう
- だから、使い切りたい
- 最後の時に予算が余ったから使おうとなって、無駄な使い方をするケースがある
- だから、使い切りたい
- この概念をうまく使うと、
- 決算がいつなのか理解し、どういう風にアプローチすればその余り予算を獲得できるかという活動ができるようになる \
- お金が尽きてしまうと打ち手が打てなくなる
- 例:採用予算
- 余り予算
商談の外側の顧客の購買意思決定構造
- 購買構造、プロセスを手厚く書
顧客の迷いのTOP
- T:タイミング(今買うべきか?)
- O:アウトソース(外注すべきか?)
- P:パートナー(誰から買うべきか?)
BtoBとBtoCの違い
BtoB | BtoC | |
①対象 | 企業 | 生活者 |
②顧客数 | 少ない(特定しやすい) | 多い(特定しにくい) |
③購入者と利用者 | 違う | 同じ |
④関与者 | 複数かつ多層 | 1人 |
⑤決定方法 | 協議 | 独断 |
⑥選定基準 | 経済合理性 | 好意・納得感 |
⑦目的 | 課題解決 | 所有、体験、課題解決 |
⑧思考の傾向 | 論理的 | 情緒的 |
⑨検討期間 | 長期 | 短期 |
⑩個別性 | 多いor オーターメイド | ないor少ない |
⑪購買単価 | 高額(数十万~数億円) | 少額(数百万~数万円)
※不動産など高額もある |
⑫スイッチ | 困難 | 用意 |
⑬決定要因 | 多い・複雑 | 少ない |
⑭情報量・判断 | 少ない・判断困難 | 多い・判断可能 |
⑮購入イメージ | 困難 | 容易 |
⑯ |
※参照
第4章:ゼロイチ起業家に必要な法人セールスの6つの商談力・戦略的営業
はじめに
- セールスが成功する関与変数は以下の通りである。
- 顧客ニーズの強さ×商品力(ブランド×提供価値の大きさ×価格の安さ)×営業力
- ゼロイチフェーズのプロダクトは(特に初期は)商品力が低い。この環境で成果(受注・成約)を出すためには、営業力(=オペレーション、セールススキル)を磨くことが欠かせない。
- ここではフィールドセールスに絞ったゼロイチフェーズのセールスに必要なスキルである6つの商談力と戦略的営業という考え方について述べる
- 本ドキュメントは永遠のβ版であり、また投資先各社によってカスタマイズされ活用されることを想定している
6つの商談力
①信頼関係構築力
- 顧客と信頼の土台を作るための3つの理解
- マーケット理解
- 顧客・競合の理解、顧客の課題の仮説立て
- 自己理解
- 販売プロダクトの理解、ソリューションの仮説立て
- 人間理解
- 人間心理を学び、営業活動に活かす(ラポール、ミラーリング etc.)
- マーケット理解
活用できる技術
雑談力・傾聴力
- 共通点を見つける
- 類似性の法則
- 相槌を入れる
- さしすせそ
- さすがです
- 知らなかったです
- すごいです
- センスいい
- そうなんですか
- あいうえお
- あー!
- いいですねー!
- うーん
- ええ!?
- おー!
- さしすせそ
- 上下関係を保って教えを請う
- 相手が話している内容について、知らないので教えてくださいというスタンスで、相手に気持ちよく話してもらう
- 相手の話したいことを聞く
- 感情をくむ
- 相手の話の中に出てくる感情をくみとり、受け止め・共感する
- 課題を解決しない
- 相手の話の中に出てくる課題を解決しにいこうとしない。とにかく受け止め・共感する
- 特に男性に多いが、上から目線に捉えられる可能性大
- 相手の話をとらない
- 相手の話がいったん終わってから自分の話を持ち込む
- 感情をくむ
相手の聞きたいことを話す
- 同じシチュエーションで同じ感情を持つ
- 相手の話に共感したら、自分の似たような体験を交えてその際の感情を共有する(類似性の法則)
※常に相手に興味を持って、「受け止め・共感・褒め」を意識する
- 同じシチュエーションで同じ感情を持つ
- 共通点を見つける
印象管理
- 服装
- 表情
- 立ち姿
- ジェスチャー
- コンセンサスをとる
- 商談後に相手が知りたい情報を得られているように進め方のコンセンサスをとる
- 商談中も随時、不明点はないか尋ねながら進行する
※参照
②仮説構築力
- 顧客の課題・ニーズ、商談のゴールに対する仮説を構築する力。主には商談前にあらゆる情報(会社のフェーズ、相手の役職 etc.)から仮説(課題・ニーズ)を構築する力を指す。
- 例:相手が決裁者の場合はその場での契約締結をゴールとする。非決裁者の場合は次回、決裁者との商談設定をゴールとする。
- ゴールを立てることによりヒアリング内容の決定や、商談全体の流れを事前にシュミレーションすることが可能になる。
③課題特定力
- SPIN
- SPINとは
- 高難度(高価格商材、複数の利害関係者、長期の意思決定期間を要する etc.)の商談に対するヒアリングモデル
- 課題特定力に必要な質問
- 状況質問(Situation)→顧客の現状を理解する
- 問題質問(Problem)→顧客のニーズを明確にし気付かせる
- SPINとは
- 流れ
- 全体像把握
- 相手の現状についてヒアリングし、顧客の現状を理解する
- 深掘りポイントの発見
- 深堀ると課題が出てきそうなポイントを見つける
- 困っている・こうしたいなどの顧客の感情に敏感になる
- 深堀ると課題が出てきそうなポイントを見つける
- 深堀り
- 深堀りのための問いは基本的に”Why?”
- 単純に「なぜ?」を何度も繰り返すと相手は詰められているように感じ不快になる。「なぜ?」の言い方はいろいろ変えてみる。
- 例、なぜですか、理由ってありますか?、どうしてですか?、どういうことですか?、もしかしてこういうことですか? など
- あの手この手で5回くらいWhyを重ねると本質的な課題・ニーズに近づく
- 全体像把握
- ヒアリング(傾聴)
- ヒアリングの意義
- 情報収集:相手の状況・課題・ニーズを知る
- 気づかせ:相手に課題・ニーズの重要さを理解してもらう
- 医者アナロジー(営業≒医者)
- 問診票=ヒアリング項目=状況質問(問診票から良いヒアリング項目が何か考える)
- レントゲン=示唆質問(商談相手はそもそも課題やニーズを理解していないことがほとんどなので、表面からは見えない潜在的なニーズを顕在化させる)
- オープンクエスチョンとクローズドクエスチョン
- オープンクエスチョン:二者択一で解答できる質問を避け、自由に発言できる聞き方
- メリット
- 相手への理解が深まる
- 相手の本音が聞きやすい
- 会話を発展させやすい
- デメリット
- 問い手の知識やスキルが問われる(どんな回答が返ってくるか分からない中、スムーズに会話を続けるのは難易度高い)
- 関係が深まっていない状態でのオープンクエスチョンは、相手になれなれしさや不信感を与えかねない
- メリット
- クローズドクエスチョン:AかB のどちらかを選択させるような回答範囲を限定する聞き方
- メリット
- 返答が予測しやすく、その後の話の展開が読みやすい
- デメリット
- 窮屈な会話になりがち、会話に広がりが出にくい
- 相手の本音を引き出しにくい
- メリット
- オープンクエスチョン:二者択一で解答できる質問を避け、自由に発言できる聞き方
- ヒアリングの意義
④ニーズ顕在化力
- SPIN
- ニーズ顕在化力に必要な質問
- 示唆質問(Implication)→問題の重要性を認識させる
- 例:このまま課題が解決されないとどうなりそうですか?
- 解決質問(Need payoff)→理想の状態をイメージさせる
- 示唆質問(Implication)→問題の重要性を認識させる
- ニーズ顕在化力に必要な質問
※特に示唆質問を通じて、潜在的なニーズを顕在化させる
※参照
⑤提案力
- ヒアリングで出てきたニーズにつながるように自社の提供するサービスの「メリット(利点・顧客にとっての利益)」を伝える
- ヒアリングで出てきた相手の課題やニーズが自社のサービスで解決可能であることとその理由を伝えた上で、不安点などを聞き出し解消しながら受注の方向へ持っていく
- メリットだけではなくデメリットも伝えることで信頼を醸成する。
- 伝えるべきデメリットはクリティカルなものであってはならない。メリットの方が大きくなるように注意を払う。
- サービスの魅力が伝わるような伝え方
- 興味喚起のプロ(オリエンタルラジオ中田敦彦、ジャパネットたかたの高田社長 etc.)が意識していることは、話の最初に相手の興味を引きつけること。セールスの提案に置き換えると、「ヒアリングで出てきた相手の課題やニーズが自社のサービスで解決可能であること」を提案の最初に伝えることによって、相手の興味・関心をひきつけられる
- 一方的なプレゼンテーションにならないようにインタラクティブに対話をし、相手の反応を伺いながら差し込むポイントを微修正する
- 間を活用する
- 大事な話をした後に少し黙って、内容が相手に浸透するまで待ってみる
- 大事なポイントを伝える前に間を取って期待感を抱かせる
- 費用の説明は、例を上げて具体的な金額でイメージしやすいように伝える
- 例:Aのパターンだといくら、Bのパターンだといくら
※参照
⑥クロージング力
クロージングですべきことYKK
- Y:約束(ネクストアクション、いつ誰が何をする)
- こちらが主導権を持って進めるために、スケジュールは相手の都合に確認しながらも必ずこちらが主導権を持って設定する
- K:解消(不安、不満の解消)
- QCD
- Quality =他社の類似サービスとの質の違い
- Cost=他社の類似サービスとの価格の違い
- Delivery=他社の類似サービスとの提供速度の違い
- QCD
K:確認(相手の意思やテンション、購買プロセス)
- このあとどうしたいかを顧客に問う
- BANTCH
- Budget(予算)
- Authority(決裁者)
- Needs(ニーズの抜け漏れや優先順位)
- Timing(検討や導入のスケジュール)
- Competitor(競合)
- Human Resources (お客様側の人員体制)
※参照
- Y:約束(ネクストアクション、いつ誰が何をする)
戦略的営業
- 定義
- セールスを成功に導くために、セールスの全体像を見渡して業務を設計・実践していくセールス活動。セールス活動を一つ上の構造で捉え、やりながら計画(仮説)をたて、実践・検証し続けるセールス活動。
- 目標設計
- いつまでに、どのくらい契約をとるのか
- 顧客のマネジメント
- ランクづけ(優先順位)
- 組織攻略
- Account Development Strategies(顧客開拓戦略)
- セールス活動を成功に導くために、事前に営業プロセス全体を見通した戦略設計力・遂行力を強化するプログラム \ ※パーソルラーニング株式会社(前身:株式会社富士ゼロックス総合教育研究所)の商標
- Account Development Strategies(顧客開拓戦略)
※以下、イメージ図。6つの商談力の①、②を土台として③〜⑥の力があり、全体を包括する形で戦略的営業の考え方が必要
※参照
- ADS一般化 ,
- BtoBセールス一般化(p34〜41)
ワークショップ
- Q1. 顧客の競合の理解や課題の仮説立てはできていますか?
- Q2. 自社プロダクトの理解と顧客へのソリューションの仮説立てはできていますか?
- Q3. 示唆質問について、意味や重要性を十分に理解できていますか?
- Q4.提案する際に結論ファーストで伝えられていますか?(結論=相手の課題やニーズが自社のサービスで解決可能であること)
第5章:セールスに必要とされる<マインドセット>
はじめに
- このドキュメントでは、実際のオペレーションでセールスパーソンが抱えがちな課題を、トップセールスが共通して有する、大きく分けて4つの「マインドセット」を提示することで解決する。
目次
- マインドセットとは
- 顧客志向
- 信じ力
- レジリエンス
- セールスの役割の拡張的理解
マインドセットとは
- マインドセットは人間の「考え方の基本的な枠組み」のことである。
- 人間は日々、意思決定しながら生きている。今日のランチに食べるものや、どこに旅行に行くか、さらには留学に挑戦するかどうか、どの会社に就職するかなど、その粒感は様々である。
- そして、そのような多様な意思決定に根源的に作用しているのはその人の「心構え」、つまり「マインドセット」である。
顧客志向
- セールスの大きな役割は顧客の問題解決
- セールスの役割を問われると「売上を上げる」「売ること」という返答が返ってくることが多い。しかし、これは間違いではないものの、「売る」の対面に存在する「買う」側の顧客のことが置き去りにされがちである。
- サービスが「売れる」のは「買う顧客」が存在するからである。セールスの大きな役割の一つはクライアントの問題解決であり、顧客志向はその追求に深く貢献する。
- これまでのセールス
- これまでのセールスは顧客志向を考える必要がなかった。
- モノが少なく、作れば売れるという時代で、顧客に視点を当てずとも「売り方」のみが卓越していればシェアを取れていた。(大量生産・大量消費の時代)
- 具体例
- 単に売り込みを行う
- 顧客に不利な情報は隠して売る
- 安いものを高く買わせる
- 狩猟型
- しかしモノや情報がコモディティ化した現代においては、商材ごとに差がなくなり、価格競争(安い方が売れる)に陥っている。顧客の視点に立ってセールスをする必要が出てきた。
- これからのセールス(現代の潮流)
- 農耕型
- 狩猟型から農耕型への移行
- 元々のセールスは狩猟型で成り立っていた
- 大量生産、大量消費の時代において、顧客の購買マインドは強く存在していた。
- 現代はモノや情報が溢れており、消費に関して慎重になっている顧客が増えている
- 供給が満たされれば需要も満たされるような世界観ではなくなってきている。
- 狩猟型のような瞬間的に目標を達成してすぐにゼロリセットを繰り返すセールスは、長期的に目標を達成できず、淘汰されつつある。
- 元々のセールスは狩猟型で成り立っていた
- 長期で顧客を育てるセールス
- 人口減少により新規顧客自体が減っているため、現代では既存顧客に長く継続して使ってもらうセールスが必要。
- 獲得し、一度関係性を持った顧客と継続して取引ができる状態。
- 継続して使ってもらえる人が誰なのかをターゲティングし、その人に自社の価値を正しく伝え、利用してもらい、感じ取ってもらうためのコミュニケーション。
- 狩猟型から農耕型への移行
- 顧客の価値創造を志向する
- クライアントの「その先のクライアント」への視点
- 質問型商談
- 一次情報の獲得
- ビジョンドリブン
- 支え合うセールス
- 農耕型
※参照
信じ力
- 信じ力(アファメーション)について
- 信じ力:根拠はないけど行けそうな気がする信じ込める力
- 定義実現することが難しい目標のため実現できると思い込むことが大切
- 信じ力:根拠はないけど行けそうな気がする信じ込める力
- トップセールスの信じ力
- 自分に対する強い信じ力
- 説明
- 売れていないセールスパーソンはよく「自信がない」と発言する。しかし自信がなく、おどおどしているセールスパーソンから勧められた商品やサービスには不安が残る。
- 自己肯定感の低い人の周りに、人は集まらない。顧客はそんな人から商品を買いたいと思わない。
- 自分に自信を持つための、自分への質問
- 過去に達成したことはどんなことか
- 小さなことでも数多くあげる
- 自分を愛してくれている人は誰か
- もし自分のセールスがなければ社会はどのように困るのか
- 大切な人に誇れるポイントはどこか
- セールスとはなんなのか
- 過去に達成したことはどんなことか
- 補足
- 自分に自信を持つ習慣
- 自分を愛する習慣を持つこと
- 売れない、苦しい時でも、毎日寝る前には自分を褒め、自分自身を思いやる
- 自分に自信を持つ習慣
- 説明
- 商品に対する強い信じ力
- 説明
- クライアントが損するようなものは自分の心も痛める上、リピートも取れない
- 自身が売る商品は単なる売り物ではなく、お客様の人生をいかに変える素晴らしいものなのか、深く理解し、信じる必要がある。
- 「自身が商品を好きで好きでたまらなくなって、それを誰かに伝えたくてしょうがない」という気持ちがあるからお客様にそれが伝わる。
- ただしゼロイチフェーズにおいては、100%のバリューで返せるか分からなくても売らなければならないフェーズもある。このような場合は今後バリューを高め続ける努力をすることで長期的に顧客に得をしていただくことを目指し、信じる。
- 商品理解を進めるための、自分への質問
- あなたの商品・サービスが、お客様のお困りごとや真のニーズをどのように解決できるか?
- ユーザー、リピーターは商品のどこが好きか?
- あなたは商品・サービスのどこが好きか?
- 商品はどのようにして生まれた?
- 商品開発者にはどんな熱い想いがあったか?
- 補足
- 自身のお客様に「どうして当社の製品をご購入いただいたのか」をヒアリングしても、理解が深まる。
- 説明
- 会社(ブランド)に対する強い信じ力
- 説明
- 自分の会社(ブランド)が嫌いなセールスパーソンから買いたいと思う客はいない。
- ブランドは自然に生まれるのではなく、セールスパーソンが必死になって作るものである。
- 自社ブランドに敬意を持つことでセールス活動のマインドにより良い変化が起こる。
- 自社ブランドを理解するための、自分への質問
- 経営理念は何か
- あなたの会社はなぜ選ばれるべきか/他社との差別化要因は何か
- あなたはなぜ入社したのか
- 創業時の社長の想いはなんなのか
- 説明
- 自分に対する強い信じ力
- セールスで売れない時期を乗り越える心理的基盤を築く
- 小さな積み重ねで高い目標が達成されることを知る
- 高すぎる・高い目標を持つことは、細分化することで解決される
- 高い目標や難しい問題が不可能に見えるのは、ゴールまでの道筋が見えないから
- 出来る人は問題を細分化して、1つ1つの小さい問題を目標を持って、努力して取り組んでいる
- 小さな成功を積み重ねることによって高い目標をクリアする
- 高い目標の達成への、天才と凡人の差は努力で埋めるしかない
- 才能や過去の生活環境により、人間はそれぞれ能力が違う
- 高い目標を持つのであればそれを達成するために小さな成功体験を積み重ねるしかない
- 成功は、努力とチャンスの交差点にある
- 漠然と高い目標に対して努力をするというだけではただの運任せである
- 努力を適切な方法(細分化の努力)で行ない、打席に立ち続けることで、目標が達成される可能性は確実に上がる
- 高すぎる・高い目標を持つことは、細分化することで解決される
- 小さな積み重ねで高い目標が達成されることを知る
- コラム:信じ力(アファメーション)の根拠
- RAS(Reticular Activating System):網様体賦活系
- 様々な情報の中からあなたにとって重要なことや関心ごとが優先的に選ばれて意識に上がってくる脳機能。
- 景色の中で赤色を意識すると、赤色だけが他の色より認知しやすくなる
- パートナーやメンターの出会いを意識すると、出会いだけではなく目標達成のためのアイディアや閃き、行動にも反応しやすくなる
- セールスへの活用
- 「私はできる」といったアファメーションを活用することによって、できる可能性を自然と見つけ出し、それに伴う閃きやアイディアだけでなく、実行するチャンス・タイミングに敏感に脳が反応するようになる。
- 様々な情報の中からあなたにとって重要なことや関心ごとが優先的に選ばれて意識に上がってくる脳機能。
- プラシーボ効果
- 医者が出す薬に有効成分が入っていなくても、患者が信じていれば症状が回復するという効果。
- 「この薬は私に効く」と思い込むことで、実際に患者が回復することがある。
- つまり、現実に反応しているのではなく、思い込みに反応している。
- セールスへの活用
- 「売上・利益目標は達成できる」という思い込みができれば、自ずとその実現に必要な思考や学習、行動を含むパフォーマンスを発揮できるようになる。
- 医者が出す薬に有効成分が入っていなくても、患者が信じていれば症状が回復するという効果。
- ピグマリオン効果
- この人は優秀だと思い込みながら接していけば、その人は優秀になるというもの。
- 逆に期待していない場合は、その通りの結果を出すゴーレム効果と呼ばれるものもある
- セールスへの活用
- 部下やメンバーの育成など、人との関係において、相手に対して期待を持って接し続けることで、良いパフォーマンスを生むようになる。
- この人は優秀だと思い込みながら接していけば、その人は優秀になるというもの。
- Growth Mindset
- “Fixed Mindset”と“Growth Mindset”
- “Fixed Mindset”と“Growth Mindset”は、能力の先天性と後天性に着目し、その成長に対する個人の捉え方に着眼した概念である。
- Fixed Mindset (硬直マインドセット:先天性重視)
- 自分の能力が固定的で変わらないと信じており、日常的に頑張ることに否定的なマインドセット
- Growth Mindset (しなやかマインドセット:後天性重視)
- 努力次第で自分の能力を成長させることができると信じており、日常的に頑張ることに肯定的なマインドセット
- Fixed Mindset (硬直マインドセット:先天性重視)
- Growth Mindsetがオペレーションを強化する
- 人間の持つ能力には「先天的なもの」と「後天的なもの」の二種類があり、これらの強弱について学術的に様々な議論がなされてきた。しかし、あくまでもその論点は「強弱」であり、「どちらを選ぶのか」という議論では無い。
- つまり、どれだけ先天的な遺伝や脳の骨格・大きさなどが能力に影響を与えようとも、後天的な「経験」について、これが人間の能力に無関係であると説明するものは無い。特に大人は経験の浅い子供と違い、長い人生の中で「どう生きてきたか」が能力に対して相対的に大きな影響を与える。
- →能力の後天性を信じる力を持つことで、Growth Mindsetを軸に人生を歩むことは、Fixed Mindsetに比べて明らかに大きな成長に貢献する。
- “Fixed Mindset”と“Growth Mindset”は、能力の先天性と後天性に着目し、その成長に対する個人の捉え方に着眼した概念である。
- “Fixed Mindset”と“Growth Mindset”
- RAS(Reticular Activating System):網様体賦活系
※参照
- トップセールスの7つの営業マインドセットとは?
- 売れる営業マンになるための成長ロードマップ
- マインドセット「やればできる!」の研究(書籍)
レジリエンス
- セールスパーソンが抱える、大きく3つのストレス
- ノルマによるストレス
- セールスの部署ではノルマが課され、定量的に成果が測られることが日常である。
- ファネルに落とし込む際に母数を増やしたり、CVRを向上させなければならないという圧迫感を常に感じる。
- セールス自体は個人的な業務でも、数字を落とすと他のセールスパーソンにしわ寄せがいってしまう。
- チームに迷惑をかけてはならないという責任感から焦燥・ストレスに繋がる。
- 上司や部下と、心理的安全性を保った関係性を築く中で、建設的に短期・長期のノルマを決める必要がある。
- セールスの部署ではノルマが課され、定量的に成果が測られることが日常である。
- 感情労働によるストレス
- セールスパーソンは企業の顔として、いつでも、誰に対しても物腰柔らかく対応し、前向きで、かつ冷静でいようとし続けることで、ストレスが蓄積する。
- 常に自分の感情をメタ認知し、自分が本当に挑むべきイシューを見極める必要がある。、
- 着眼点の誤認によるストレス
- 自分で解決できないことや自分でやるべき出ないものに着眼してしまう。そして、それに気づかずに深追いしてしまい、本丸のイシューに集中できなくなってしまう
- マクロ環境や商談相手の性格など
- できることとできないことを明確化する必要がある
- 自分がセールスパーソンとしてインパクトを与えられるかどうか
- 自分で解決できないことや自分でやるべき出ないものに着眼してしまう。そして、それに気づかずに深追いしてしまい、本丸のイシューに集中できなくなってしまう
- ノルマによるストレス
- レジリエンスの育みかた
- 自己認識スキル
- 自己認識スキルとは、その瞬間の自分の心の動きを正しく把握し、様々な状況での自分の傾向を理解する力。
- 自己を認識できていれば、自分に最も合ったチャンスを追いかけ、仕事に力を注ぐことができ、感情に足を引っ張られることがなくなる。
- 特定の出来事や問題、人に対して自分がよく取ってしまう対応をメタ的に知る力も包含される。
- 心の奥底にあるくらい秘密や無意識の動機を表に出す技能ではなく、自身が何に反応するのかを、ありのまま正直に理解する力。
- 自己認識スキルが高い人は、自分が何が得意か、何が自分を動かし何が自分を満足させるか、どんな人や状況が自分をやる気にさせるかをはっきりと知っている。
- 自己認識スキルを高めるテクニック
- 自分の感情を「良い」か「悪いか」で見ない
- 感情の波及効果を観察する
- 居心地の悪さに慣れる
- 感情を身体で感じる
- 自分の感情ボタンを押す人やものを知る
- 鷹の目で自分を見る
- 感情を日誌につける
- 悪い気分に左右されない
- 良い気分にも左右されない
- 立ち止まって「なぜそう感じるのか?」と自問する
- 自分の価値観に立ち返る
- 自分自身を振り返る
- 本や映画や音楽の中に自分の感情を見つける
- フィードバックを求める
- ストレスのかかった時の自分を知る
- 自己認識スキルとは、その瞬間の自分の心の動きを正しく把握し、様々な状況での自分の傾向を理解する力。
- 自己管理スキル
- 自己管理スキルとは、自分の心の動きを知ることによって、柔軟性を保ち行動を前向きな方向に変えられる力。状況や人に対する感情的な反応をコントロールする力。自己認識スキルに強く従属する。
- 人が行動を起こす時や、あえて行動を起こさない時に表に出る。
- 自制心が必要であることがはっきりしている場面では自分の感情を認識してコントロールしやすいが、大きな目標に照らし、諦めずに先を見通すことは難しい。
- 一時的な欲求を脇に置いて、いつも自分の傾向をコントロールできる人に、成功は訪れる。
- 自己管理スキルを高めるテクニック
- 正しく呼吸する
- 感情と理性のリストを作る
- 目標を公開する
- 10まで数える
- とりあえず放っておく
- 自己管理の達人と話す
- 笑顔や笑い声を増やす
- 毎日、問題解決の時間をとる
- 独り言をコントロールする
- 新しいスキルを身につけた自分の姿を思い描く
- いい睡眠をとる
- 制約より自由に目を向ける
- 行為に集中する
- 関係者でない人と話す
- あなたが出会う全ての人から学ぶ
- スケジュールの中に充電時間を入れる
- 変化がすぐそこまで来ていることを認める
- 自己管理スキルとは、自分の心の動きを知ることによって、柔軟性を保ち行動を前向きな方向に変えられる力。状況や人に対する感情的な反応をコントロールする力。自己認識スキルに強く従属する。
- 自己認識スキル
※参照
- トップセールスの7つの営業マインドセットとは?
- 売れる営業マンになるための成長ロードマップ
- EQ2.0: 「心の知能指数」を高める66のテクニック(書籍)
セールスの役割の拡張的理解
- セールスの役割とは
- 一般的に「セールス」を言葉通りに解釈すると、「売る」という意味にとどまることが多い。しかし、自社のサービス提供先である顧客との接点を持っているセールスパーソンが、単純に「売る」という役割のみを与えられるのは勿体無いのではなかろうか。
- 顧客の声などの既存プロダクトへのフィードバックをダイレクトに収集し、既存プロダクト・サービスのアップデート、ならびに新規プロダクト・サービスを拡張するための起源となる役割をセールスが担う、という心構えは、事業の創りこみと探索に強く貢献するだろう。
- また、戦略は机上で完結するものではなく、社会・顧客などのステークホルダーの声を聞き、マーケットの情報を反映した、動的なものが求められる。これについても、顧客と頻度高く接しているセールスが、全社的な戦略に現場のインプットを与えられるというという意味で、大きな役割を果たす。
- 上位戦略へのFB
- 戦略は打ち立てたものをある一定期間やり通すような静的なものではなく、実践しながら動的に変容させていくことが求められる。
- セールス自身が実践する中で、目的・目標に照らしてより良いアップデート案を顧客との接点から収集し、経営者・事業責任者にフィードバックを持ち帰ることで、動的な戦略が生み出される。
- プロダクトメイキングへの参加
- 顧客と直接接点を持つセールス
- セールスは字面だけで捉えると、「売る」という役割のみに見える。
- しかし、セールスはクライアントと最も近い立ち位置で接点を持つことができる唯一無二の存在であり、消費者の生の声をフィードバック頂く貴重な機会を持っている。
- この機会を通じて商品開発に跳ね返すという心構えを持っておくことが、企業の長期的成長を支える。
- 顧客と直接接点を持つセールス
- 営業利益起点オペレーション
- 足腰の強い企業カルチャーを創る営業利益起点ST
- 利益 = 売上 - コスト
- 複雑性・流動性の高いマクロ環境下において、利益目標を立てることで売上とコストの両側面からアイディア・施策を想起することができる。
- つまり、顧客に近いセールスパーソンが利益まで見ることが必要。
- また薄利多売なオペレーションが続くと、会社は利益がなくなりストックが底を突き、経営破綻を起こす。これを本質的に防ぐには売上拡大ではなく利益拡大を優先するべきである。
- よってストレッチターゲット(ST)を営業利益起点にしてオペレーションを行うことで、マクロ環境に左右されにくい、足腰の強い企業カルチャーをなじませることができる。
- 細分化されたKPIの作り方
- 目標を因数分解してKPIの土台を作る(実際の業務に落とし込みやすくなる)
- 例
- 売り上げ = 単価 x 販売数
- 単価 = 販売製品 x 売価
- 販売数 = 販売製品 x 顧客数 etc...
- 例
- 細分化した目標を元に、セールスを事例にKPIの立て方を学ぶ
- 例
- 単価を上げる方法
- 販売数を上げる方法
- 自分がセールスパーソンであれば、コントロールできるのは価格ではなく、販売製品を増やしたり変えたり、売る顧客数を増やしたり変えたりすることが現実的、など
- 目標金額を達成するために必要な項目を細分化し、実際の成功確率から、KPIの数字を割り出す
- 例
- KPIに未達だった場合
- どこがボトルネックだったのか、どこを改善すべきなのか、定量データから定性的な改善施策を見出す
- 目標を因数分解してKPIの土台を作る(実際の業務に落とし込みやすくなる)
- 足腰の強い企業カルチャーを創る営業利益起点ST
※参照
第6章:セールスにおいて必要な<思考>
はじめに
本章の目的
- ここでは、セールスをうまく行うための「思考」を記す。
- セールスに重要な柱である「マインドセット」「スキル」「ナレッジ」「思考」の内の一つであり、自分の性質やそれぞれの場面ごとで使用する思考法を見分けるための参考資料となることを目的としている。
- セールスにおいて必要な思考を活用できないと、直面した問題を構造的に解くことが出来ず、効果・効率面で損をすることがあるのではないかと考えられる。
相対的に活用度が高い「問題解決思考」
- セールスにおいては、様々な思考法が活用できる。その中でも相対的に活用度合いが高いのが「問題解決思考」である。なぜなら、セールスの本義は顧客の問題解決を進めていくためである。
- 上の図を説明すると、<問題解決→本質・構造→前提を疑うこと>は、右にいけばいくほど、よりメタ的に考えるようになっており、より抽象度合いが高い概念になってくる。
- 問題解決というのは具体度合い度が高く、顧客と折衝し、営業活動を推進していくのには、欠かせない思考にはなっている。
- 一般的にはセールスパーソン一人一人に問題解決思考が求められており、上司やマネージャーレイヤーになるにつれてより本質・構造を理解し、前提を疑うような思考力まで求められるケースが多い。(※各業界や会社の営業スタイル・状況などによって異なる)
- 起業家には幅広い思考が求められるが、特にセールスという観点では問題解決思考の能力は活用度合いが高いものとみなされる。
全体像
- 問題解決に特化した思考方式
- 問題解決思考
- 仮説思考
- 論点思考(イシュー思考)
- 論理的思考(ロジカルシンキング)
- 分析思考
- 問題解決に特化した思考方式
- 構造・本質を見抜く思考方式
- 概念化思考
- アナロジー思考
- 構造・本質を見抜く思考方式
- 前提を考え直す思考方式
- 批判的思考(クリティカルシンキング)
- 水平思考(ラテラルシンキング)
- コンテキスト思考
- 前提を考え直す思考方式
コラム. 行動・結果を生み出す思考方式
- エフェクチュエーション
- コーゼーション
~1. 問題解決に特化した思考方式~
問題解決思考について
- 意味
- 意味問題解決思考とは、「理想の姿」を実現するために「現実とのギャップ」を埋める思考プロセスのこと。
- 活かし方
- いきなりHowに飛びつかず、WhereやWhen、Whyに着目して課題の所在を明らかにしたのちに解決策を考える。
- どこに問題があるのか(Where/When)
- 問題の所在をMECEに切り出して思考する
- 例)ゴルフで球がまっすぐに飛ばないという問題に対して
- 心
- 技
- 体
- 例)ゴルフで球がまっすぐに飛ばないという問題に対して
- 問題の所在をMECEに切り出して思考する
- 問題の原因はどこにあるのか(Why)
- Where/Whenで発生した問題の根本原因を探ることで、Howに繋げやすくなる。(その原因を操作することで結果を動かすことができるから)
- 解決策は何があるか(How)
- 課題に対して適切な仮説を立てる
- 仮説を立証・反証するための適切なデータ収集、もしくは施策実行を通じ、結果を得る。
- どこに問題があるのか(Where/When)
- いきなりHowに飛びつかず、WhereやWhen、Whyに着目して課題の所在を明らかにしたのちに解決策を考える。
- 注意点
- 視野を広げて、問題全体を正しく捉えてから絞ること
- 問題の範囲をどこまで広げるのかを定義し、その範囲をモレなくダブりなく切り分けることによって、網羅的に問題を捉えることができるようになる。
- ゼロベース思考
- 目的に対して白紙の段階から考えようとすること。これにより既存の枠組みに囚われてしまい、思考の幅を狭くしてしまうことなく問題と向き合うことができるようになる。
- 視野を広げて、問題全体を正しく捉えてから絞ること
分析思考について
- 意味
- 分析思考とは、事実と関係性の実態を解明し、正しい意思決定やアクションに結びつける思考法のこと。
- 定義
- 分析思考=Analyze
- 感情に流されず、事実(事象やデータ)に基づいて、物事の根本原因を追求する考え方
- メリット
- 数値データや客観的事実など、白黒はっきりしたものを拠り所にするため、説得力が上がる。
- 曖昧さを好まないため、複雑な事象も細かな構成要素に分けて、筋道を立ててわかりやすくできる。
- デメリット
- 何事も筋を通したいため、理屈っぽくなる。
- 注意点
- 目的に対する仮説に基づき、その立証・反証をするために適切なデータを選択できているか。
- 理屈っぽくなり、対話の場面で相手が拒絶反応を起こしていないか。
- 活かし方
- データ分析作業
- あるデータを様々な角度から調べ、相関・規則性を発見し、重要なメッセージを得る。
- 対話
- 出来るだけ1次情報に近いデータに基づく伝え方をすることによって、正しい見解、状況を相手に伝える。
- データ分析作業
論理的思考について
- 意味
- 論理的思考(ロジカルシンキング)とは、物事を体系的に整理し、筋道たてて矛盾なく考える思考法のこと。
メリット
- 論理的思考によって論点を単純化することができる。例えば、物事の構造化によってMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exaustive)といった、モレなくダブりなく考えることが可能になる。
また、全てを因果関係で説明するため、論理性を伴った納得感を持たせることが出来る。これにより、具体的には以下のような効用が見込める。
①問題解決能力の向上
- 現状を整理して問題を発見したり、問題について論理的に考えたりすることで、問題解決能力の向上につながる。やみくもに何かをするのではなく「失敗の原因は何か」「現状改善のために何をどうすればよいか」などと探り続けることで、目標達成に向けて効率よく行動ができるようになる。
- 問題解決能力を鍛えることで、今後起こりうる問題を予測してトラブル防止のための対策を立てるスキルも身に付く。
- これ等により、より効果のある解決方法の創出が見込める。
②コミュニケーションの円滑化
- 顧客へのプレゼンテーションや対話をうまく進めるためには、複雑な問題を整理し筋道立てて説明することが大切である。
- 論理的思考力によって一貫性のある主張をすることで相手に伝えたいことがわかりやすくなり、説得力が向上する。
- 顧客へのプレゼンテーションや対話をうまく進めるためには、複雑な問題を整理し筋道立てて説明することが大切である。
デメリット
①物事を単純化することで現実や実践とかけ離れてしまう可能性がある。
- そのため、施策に伴う要素やタイミングをしっかり現実のものと見比べる必要がある。
②多様性に欠け画一的になる。
- 目標から逆算してトップダウンで考えるため、イノベーションが絡んだ柔軟な思考を苦手とする。
- そのため、論理的思考だけで新しいアイディアを創出することは難しいといえる。
③顧客を説得するのに圧迫してしまい反抗的な態度を招いてしまう可能性がある。
- 顧客はヒトなので、圧倒するような論理を披露するのではなく、顧客の気持ちや状況を推し量ったうえで顧客が納得できる問題解決方法を探る必要がある。
④手法に執着してしまう可能性がある
- 論理的思考を活用すると、短時間で仮説を導きだすことが出来るようになる。
- そして、その仮説を明確に説得力を待たせて説明することが出来るようになる。
- 従って、この便利さがゆえに執着してしまい、本来重要な考えるプロセスを軽視される事が多々ある。本来は問題解決のためのツールの1つにすぎないことを意識する必要がある。
活用方法
- 問題解決における論理的思考の活用方法を説明する。下記、ロジックツリーの例を添付する。
- 1.現状をロジックツリーを用いて構造化する
- 2.各項目で課題に感じる点について優先順位をつけ重要なものからその解決策を考える。
- 課題の順位付けに関しては、このドキュメントの「論点思考」を確認する。
- 問題解決における論理的思考の活用方法を説明する。下記、ロジックツリーの例を添付する。
例(受注率を改善するためには?)
※参照
論点思考について
- 前提
- 問題≒論点
- クライアント:問題を抱えている当事者
- セールスをする人の視点に立って記す
意味
- 論点思考(イシュー思考)とは、白黒つける価値がある解くべき問題が何かを見極める思考法のこと
全ての物事の問題解決において最も重要な最上流工程に関する思考法である。
※尚、仮説思考と相互に関連する思考法といえるため、セットで学習することが望ましい。
メリット
- 問題解決において適切な論点を洗い出すことで、解くべき問題が何かを見極め、より効果のある成果を生むことが出来るようになる。また、間違った問題を解こうとする非生産的な時間を回避する。
デメリット
- 論点を絞るのに時間をかけすぎると話が進まないことがあるため、2,3個の論点を洗い出したらそれに対する解決策を考えるフェーズに移行する必要がある。
- 論点の絞り方(イシュー同士の関係性の図示化)や確定のタイミングの精度は経験値に依存するため、初学者はすぐに効果が見られない可能性がある。
活用プロセス
以下の流れは順番が入れ替わることもあり、各ステップを無意識に行っている可能性もあり得る。
- 論点の設定
- 1.事象と論点を棲み分けて事象から論点候補をあげる
- 2.論点を絞り込む
- 当たりをつける
- 筋の良し悪しを決める
- 解決できるかできないか
- 解決できるとして実行可能か
- 解決したらどれだけの効果があるか
- 3.論点の確定
- 論点の整理や確認
- 4.全体の確認
- 論点の設定
活用方法 *上記活用プロセスに沿って記す。
- 1.事象と論点を棲み分けて事象から論点候補をあげる
- 現象と論点を棲み分ける
- 現象は他の場面でも当てはまる。しかし、論点は現象を踏まえたうえでクライアントと組織の特性や現状を加味する。
- 例)現象:営業成績が伸びない
- 例)論点:顧客を訪問するタイミングが最適でなかった。営業トークがクロージングまでの間で不十分な質であった。営業力は充分であったが、商品が相手のニーズとずれていた。
- 現象は他の場面でも当てはまる。しかし、論点は現象を踏まえたうえでクライアントと組織の特性や現状を加味する。
- 現象と論点を棲み分ける
2.論点を絞り込むとき
- 「何が問題なのか」「その問題は解けるのか」「解くとどれくらい営業成績につながるのか」を考える。
- 論点思考の初学者は、インプットと構造化を繰り返すだけになってしまう傾向にある。理想は提示された論点を疑い、それが「真の論点」なのかの検討を繰り返すことである。
- 次のように、論点は移動するため随時アップデートが必要である。
- 論点は人によって異なる
- 誰の論点を解いているのか、誰を満足させるための論点なのかを明確に認識する必要がある。
- 環境と共に変化する
- 時間の経過とともに環境が変わることで論点も変化する。時代の流れでインフラ設備が変化し、解くべき問題も変わってくるからだ。
- 問題解決を進めることによって論点は進化する
- 問題解決を進めていくうちに、真の論点に気づいて論点をアップデートしていく。自分がクライアントに営業をかけるときに、実際にクライアントの作業を対ア剣するか見学することで認識していた論点が違うことに気づくこともある。
- 論点は人によって異なる
- 当たりをつける
- 数ある論点候補の中から仮説思考を用いて当たりをつけていく。論点候補の中で決定的な差がないときは、全く別の視点から論点を洗い出す転調の必要がある。
- 筋の良し悪しを決める
- 簡単に解け、容易に実行でき、実行すると大きな効果が短時間で表れるのが筋の良い論点である。
- 解決できるか
- 手持ちの経営資源(ヒト、モノ、カネ)で実行可能か、解決までにどれくらいの時間がかかるか、本当に解決する気持ちがあるか、最後までやれるかを考える。
- 筋の良い人と悪い人の性質の違いの傾向
- 筋の良い人:長期的、大局的、広域的である。
- 筋の悪い人:時間的距離的に「目の前」のことのみを局部的に見ている。
- 実現可能か
- 高確率で答えが出そうであることが必要条件
- 解決したらどれだけの効果があるか
- 大きな成果が上がりそうであることが十分条件
- 分析方法から論点が導き出されるのではない。論点がある程度見え、構造化するときに、分析方法が使える。論点のあたりをつける精度はおおよそ経験によるものである。
4.全体像を確認し、3.論点を確定するとき
- 論点仮説を立てる方法(プロービング)
- 質問して相手の話を聞く
- 仮説をぶつけて反応を見る
- 問題を抱える当事者が解きたいと思っている問題を浮き彫りにしていく
- 現場を見る
- 相手の意見をじっくり聞いていく中で論点を設定していく
- 問題の肌感覚が得られ、信用できる一次情報をキャッチする
- クライアントの真意を探る
- クライアントの発言の真意、意図、バックグラウンドを考える
- クライアントに納得してもらえるような論点であることも重要である。また、「面白い、やってみよう」と思えるようなユニークな提案であれば、なお受け入れやすくなる。
- 例)
- 部長A「業績を上げたい」
- 純粋に会社が大きくなることを目指している。
- 部長B「業績を上げたい」
- 自身の昇進を目指している。
- この場合、Aの依頼主に対しては単純に最適な経済改善施策を講じればいい。一方で、Bは部署単位での業績向上のための施策を講じる必要があり、論点は昇進をすることになり得る。
- 部長A「業績を上げたい」
- 引き出しを参照する
- 相手の話を聞きながら、自分の頭の中にある、過去の経験、類似事例、似た感覚などを探す。
- 引き出しの活用の仕方
- アナロジー
- 似たような事例を持ち出す
- 顧客視点で見る
- 自分の中で過去のデータベースから異性の顧客視点に立てないのならば、過去のケース事例を調べてデータベースに蓄積しておくことも一つの方法である。
- 鳥の眼・虫の眼で考える
- 経営者や本社にいるスタッフは、大所高所(空を飛ぶ鳥の眼)からの視点でビジネスを見ることが多く、現場の眼(地を這う虫の眼)を忘れてしまいがちになる。現場の感覚を忘れて大きな絵を描いては問題は解決しない。
- 現場の人間は、日々の業務や根先のトラブル(虫の眼)に追われがちで、会社全体の視点(鳥の眼)を忘れてしまいがちになる。一歩下がって自分の業務を見直すことも必要である。
- アナロジー
- クライアントの発言の真意、意図、バックグラウンドを考える
- 論点仮説を立てる方法(プロービング)
- 1.事象と論点を棲み分けて事象から論点候補をあげる
- 使用例
- AさんとBさんの前にケーキが一つある。二人が納得するようにケーキを二つに分けたい。この時、論点を「ちょうど二等分する」に設定し二等分する方法をひたすら考える人が多い。しかし、論点思考を用いれば、論点をもう一つ「二人が納得するように二つに分ける」とすればもう一つの考え方が出てくる。それは、「Aさんが二つに分けるように切ってBさんがどちらを受け取るか選ぶ」というものだ。
※参照
仮説思考について
意味
仮説思考とは、今ある限られた情報だけで問題の本質や全体像・解決策をイメージし、現時点で最も妥当だと思える結論を導き出す思考のこと
※尚、論点思考と相互に関連する思考法といえるため、セットで学習することが望ましい。
流れ
- ①状況の理解と調査
- 何が課題で、課題を取り巻く状況はどのようになっているか、可能な限り調査をする。
- ②仮説の構築
- 調査結果から、課題の原因と対策について仮説を構築する。
- ③仮説の実行
- 仮説を実行する。
④仮説の検証・修正
仮説実行後の結果が仮説通りになっているか検証します。仮説通りの結果であった場合には、課題が解消される。
一方で、結果が仮説と異なっていた場合には仮説を修正し、再度仮説の実行・検証を行う。
- ①状況の理解と調査
メリット
- 完成形までの仮説を検証する中で、他の方法でのアプローチもも発見できる。仮説のどこからが間違いなのかがわかってくるため、一からやり直す必要がなく、行き当たりばったりで進めるよりも確実に効率よく課題解決のプロセスを進めることが出来る。
デメリット
- 仮説はある程度信憑性のあるものでないと効率的に機能しない可能性があるため、設定する目標によってはある程度人生経験のある人間でないと使いこなすことが難しい。
使用例
- 何か目標を立てたら、どのようにしたらそこにたどり着くのかを経験ベースで仮説立てる。同時に複数の仮説を立ててもいいのですぐにその仮説の検証に移る。手順としては、まず仮説を根拠づけるためのデータ収集である。そこから正しいとわかれば次に具体的な実行に移るといった流れである。この一連の流れの中で目標にたどり着くまでに仮説の間違いが発覚したらそこから新しい仮説を立て直していく。
※参照
~2. 構造・本質を見抜く思考方式~
概念化思考(コンセプチュアル思考)について
- 意味
- 概念化思考とは、様々な物事(=実体)を実体として捉えるのではなく、より大局的・全体的な視座から「概念」として捉える思考法。
- その物事が何であるのかを捉える思考
- ハンモックモデル(上の図)
- 抽象化と具体化という二本の樹が左右に立っていて、そこに概念化というハンモックがかかっている様子
- ハンモックという網で包まれるのが「コンセプト(concept)」。「コンセプト」のおおもとの意味は「つかむ・内に取り込む」こと。また、コンセプトは一応「概念」という訳語だが、よくよく考えていくと、観念や信念、理念とつながっている。
- 図の上下には地面と太陽を描かれている。「事象・経験・多」という地面では有象無象のことが起こっていて、ふと高く空を見上げれば「本質・理・一」ともいうべき太陽がさんさんと輝いている、そんな様子を示している。
※参照
アナロジー思考について
意味
- アナロジー(Analogy)は「類推」「類比」とも呼ばれ、特定の物事に関する情報を理解しやすくするために他の物事になぞらえること
- アナロジー思考とは、これまでの情報や経験から得た学びを法則化し、異なる分野に応用する思考法のこと
- 複雑な事象に潜む本質的構造を見抜き、それを別の分野に応用すること。
- 「知っている情報や経験」を「知らない分野」に当てはめて応用すること。
特徴
- 未経験の分野であっても、「1を聞いて10を知る」ことができる思考法
- 新しい事象や未経験の事象について取り組む際に、既に理解している事象や過去に経験した事象を<抽象化>する。
- そこから見出した<法則や本質的な構造>を新しい事象に何らかの類似に基づいて<適用、応用>することでわずかな知識であっても多くの情報を理解できる。
- 未経験の分野であっても、「1を聞いて10を知る」ことができる思考法
ステップ
- Step1.ターゲット(解決したい問題)を設定する
- Step2.ベース(ターゲット世界と似たような構造を持ち、かつある程度離れた世界の領域)を選ぶ
- Step3.ターゲットとベースを照らし合わせ、両者の共通点・相違点を洗い出す
- Step4.ベースの問題を解決したアイデアを探し、ターゲットの課題を解決するヒントとする
メリット
- ①新しい発想
- 構造を見抜くという本質理解を、別のことに当てはめることによって、新しい発想やアイデアを得られる
- アナロジー思考が効果を発揮するのは、具体的事象を抽象化した概念から、他の全く別のことに当てはめた時
- ②難解なことの理解
- 一見すると難しいことでも、すでに知っていることやフレームワークに当てはめて考えることによって、難解なことへの理解を助けてくれる
- ③人への説明
- 人に説明するときに、たとえ話というアナロジーを使うことによって、相手が理解しやすい説明ができる。
- コミュニケーションや情報共有がスムーズにできる
- ①新しい発想
例
- 営業成績がよくなくてどうすればいいか悩んでいるセールスマンがいる。
- そのうちに、高校生時代に高い目標を掲げてプロセスごと必ずやるべきを決めて勉強し続けたら、有名大学に合格できた経験が思いついた。
- それをビジネスに当てはめれば、高い目標を掲げて、自分がプロセスごとやるべきを決めてやり続けたら、営業成績が上位○%に入れるのではないかと考えた。
- その次の日から自分がセールスにおいて目標とプロセスごと必ずやるべきことを決めて毎日行っている。
- このように、アナロジー思考は、①問題を立てる→②参考となりそうな成功事例を探す→③成功事例を分析し、仮説を立てる→④仮説を使って問題を解くという順番で問題解決のためのアイデアを遠くから借りてくる思考方式である。詳細についてステップで語っていく。
※参照
- 簡単4ステップで誰でもアイデアマンに!? 「アナロジー思考」がシンプルだけど使える。 - STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア
- アナロジー思考とは?クリエイティブな発想を導き出す思考法 | MY FUTURE CAMPUS
- アナロジー思考で構造と関係性を見抜く。脳の中で異なるもの同士がつながった知的おもしろさ|多田 翼 - #ビジネスセンスを磨くノート|note
~3. 前提を考え直す思考方式~
批判的思考について
- 意味
- 批判的思考(クリティカルシンキング)とは、物事を鵜呑みにせずに吟味し、適切に疑う思考態度のこと。
- 日常で「批判的」といえば「否定的な評価」というニュアンスが伴う
- しかし本来の「批判」の定義とは「良い部分・悪い部分を意識的に見分け、評価・判定すること」であり、むしろ「先入観にとらわれず、中立的な姿勢を重視する」のがクリティカルシンキングのポイントである。
- 日常で「批判的」といえば「否定的な評価」というニュアンスが伴う
- 例えば、以下のような思い込みに対して適切に疑う態度を持ち「別の可能性はないのか?」を考え続ける
- 自分の考えは正しいはず
- 専門家が言ってることは正しいはず
- みんなが頷いているから正しいはず
- 論理的に筋が通っているのだから正しいはず
- 常識的に考えると正しいはず
- 批判的思考(クリティカルシンキング)とは、物事を鵜呑みにせずに吟味し、適切に疑う思考態度のこと。
特徴
- クリティカルシンキングがロジカルシンキングなどの「思考法」と大きく異なる点は、クリティカルシンキングが「物事を考える際の思考態度」である。つまり「思考技術」の話ではなく「思考態度」であるのがポイント
- ロジカルシンキング:目的があって、目的を達成できる手段へと分解していく。
- 「目的」を前提として受け入れて,その前提を元に論理の筋道を考えていく「思考技術」
- クリティカルシンキング:目的自体を疑うことから始まる。
- 「目的という前提」そのものを適切に疑い、別の可能性を探そうとする「思考態度」
- ロジカルシンキング:目的があって、目的を達成できる手段へと分解していく。
- クリティカルシンキングがロジカルシンキングなどの「思考法」と大きく異なる点は、クリティカルシンキングが「物事を考える際の思考態度」である。つまり「思考技術」の話ではなく「思考態度」であるのがポイント
強み
- 前提の置き方や推論の切り口を疑い、新しい価値を生み出せる
- 時に誰もが驚くような「別の可能性」を見出して、周囲を驚かせることがある。
- 前提の置き方や推論の切り口を疑い、新しい価値を生み出せる
弱み
- 批判的思考を多用しすぎると課題解決のフェーズにおいては前に進まなくなってしまう。他の課題解決方法に比べて時間を多く要する。
プロセス
前提:批判的思考を用いて現状を疑うことで、現在起こっている事象における改善点や課題点を見つけ出す。
⓪適切に疑う視点を持つ
- So What?(だから何?)
- 現在持っている情報から、主張や結論を導き出す際の問いかけ
- 結論・結果を導き出す問いかけ
- Why So?(なぜ、そう言えるのか?)
- 結論に対して、納得できる理由があるかを確認する問いかけ
- 原因・結果を導き出す問いかけ
- True?(本当か?)
- 例えば、これまで小売業界では「整然とした商品陳列と売れ筋把握」が成功要因とされてきたが、その常識を「True?(本当か?)」と問いかけたのがドン・キホーテである。
- Anything else?(他には?)
- 現在の視点に対して「Anything else?(他には?)」という視点を持てれば、より広い視野で、かつ精緻に物事を捉えることができるようになる。
- その結果、より確度の高い意思決定へとつながるはず
- So What?(だから何?)
①適切に疑う思考習慣を持つ
- 現状の在り方や方法を疑うことからしか、問題を発見することはできない。そして、問題を発見できなければ、問題を解決することもできない。
- まずは現状を適切に疑う(True?)ことから始めよう。そうすれば「時代に合わなくなった常識」「不合理なルール」が見えるようになり、問題解決のスタートラインに立てるようになるはずだ。
- 現状の在り方や方法を疑うことからしか、問題を発見することはできない。そして、問題を発見できなければ、問題を解決することもできない。
②問題を疑う
- 問題を発見した際には「その問題の捉え方は、本当に正しいのか?」と適切に疑う(True?)習慣をつけよう。そしてうまく問題を捉え直すことができれば、驚くほど簡単に問題解決に至る場合がある。
③思考の偏りに気づく
- 問題の解決策を考える際に、多くの人が陥りがちなのが心理バイアスだ。「バイアス」とは「偏り」のことであり、人が人である以上「価値観」や「性格」も含めて「心理的な偏り」は避けようがない。
- しかし、あらかじめ「人はどのような心理に偏りやすいのか?」を知っておけば、常に「この考えはバイアスがかかっていないか?」と疑えるようになりバイアスを避けやすくなる。
様々な心理バイアスに自覚的になり、常に「自分は心理バイアスに囚われていないか?」と疑う習慣を持ち続けよう。
多くの人が陥りやすい心理バイアス(例)
- 現状維持バイアス:
- 変化を避け、現状を維持したくなる心理バイアス
- リスク回避性向:
- 得られる利益の大きさより、失う損失の大きさを重視してしまう心理バイアス
- バンドワゴン効果:
- みんなが良いと評価しているものを高く評価してしまう心理バイアス
- ハロー効果:
- 目立ちやすい特徴に引っ張られ評価してしまう心理バイアス
- フレーミング効果:
- 知らないうちに視点や枠組みを固定してしまう心理バイアス
- 現状維持バイアス:
④別の可能性を考え続ける
- 問題解決策を立案する際には、自分に対して常に「True?」と問いかけることで前提を疑い、「Anything else?」と問いかけることで別の可能性を模索しつづけよう。
- 例
- 状況:会社のHPを制作はしたが、流入数が少なくて困っている会社。周りからは、SNSなどで広告を出した方がいいよ言われていいてどうすればいいか悩んでいる。
- クリティカルシンキング
- →流入数が少ないことは、そもそも広告を出してないからなのか?
- →広告を出さなくても流入数が多い企業はまったくないのか?
- ブログ記事やホワイトペーパーが多数ある
- SEO対策を一つ一つ丁寧に行っている。
- →莫大な広告費をかけることなく、今ある人員で改善することができた。
※参照
水平思考について
意味
- 水平思考(ラテラルシンキング)とは、どのような前提条件にも支配されない自由な思考法のこと。
- 論点をずらして考える思考方式
- 相手が言っていることに疑問を持つことが前提になっている。
- 水平思考(ラテラルシンキング)とは、どのような前提条件にも支配されない自由な思考法のこと。
メリット
自由な発想が生まれやすくなる
- 人は無意識に同じアプローチで物事を考える癖がある。このような癖を強制的に外し、新しいアプローチで物事をみることができるようになるため
会議をスムーズに進めることができる
- 違う意見同士でも統一した考えの元で、同じ方向性を持って議論を進行できる。
- いらないストレスや無駄な時間を無くせる効果がある。
- いろんな意見があるのはいいことだが、対立する意見が同時に飛び交うと平行線をたどってしまい、うまく会議が進まない場合もある。
鍛え方(水平思考に到達するための方法)
シックス・ハット法
- 水平思考(ラテラルシンキング)を提唱したエドワード・デ・ボノ氏によって、1985年に考案された手法。
- いろいろ視点を変えて、問題解決のために自由にアイデアを生み出す発想法
6つの視点(客観的・直感的・肯定的・否定的・革新的・俯瞰的)の帽子(ハット)のいずれか一つを被った状態でテーマについて考える発想法
- ①白色の帽子:客観的・中立的な視点
- 事実を確認したり、検討に必要なデータを求める時
- 自分の意見・判断・仮説は出さないようにする。
- 知りたい情報・データ、足りない情報・データについては語ってもいい。
- ②赤色の帽子:感覚的・直観的な視点
- 客観的なデータに隠れた感情的な要因を発見する時
- 理性ではなく、直観的な本能の部分で、論理的な話はしないようにする。
- 感情にはポジティブ・ネガティブな感情があるが、テーマについての長所・短所の話まで及ばないようにしておく。
- ③黄色の帽子:積極的・希望的な視点
- テーマの長所を考える時
- どんなに大げさでも楽観的に良い面を見つけ、出てきた意見には順位を付けてみる。
- ④黒色の帽子:批判的・消極的な視点
- テーマの欠点や危険な側面について考える時
- 失敗しそうな要因・不安材料やリスクを探し出す。
- ⑤緑色の帽子:核心的・創造的な視点
- クリエイティブにアイデアを出したい時
- 消極的になったり、事実やデータにとらわれないようにする。
⑥青色の帽子:分析的・俯瞰的な視点
- 次に何をするべきかを確認する時や結論を出す時
※注意点
- ①前提として「ブレスト4つの基本的ルール」で行う
- 出てきたアイデアを批判しない
- 自由に発言する
- 質よりも量を重視する
- アイデア同士を結合する
- ②現在の色以外の意見は言わない
- ③色の違いだけを指摘する。
- あくまで色が違うという色への指摘にして、意見への指摘だと感じさせないようにすることが大切
- ①前提として「ブレスト4つの基本的ルール」で行う
- ①白色の帽子:客観的・中立的な視点
- 別の人間の視点で考える
- 男性・女性・子供・赤ちゃん・社長・社員など・・
- 別の人間の視点で考える
- 別のモノの視点で考える
- 必ず人間である必要はない
- 犬・虫・木・テレビ・地面・太陽など・・
- 必ず人間である必要はない
- 別のモノの視点で考える
- 別の次元の視点で考える
- 数分前・数年前・数十年前・数分後・数年後・数十年後など・・
- 別の次元の視点で考える
例
セールスマンがお客様の目線に立って考える。
どうやったら買ってもらうのか考えられるようになる。
- なんでお客様がこの商品を買うのか?
- こういう課題が解決できたら、それが売り方になる。
- セールスマンの立場だと、その売り方が見えない可能性が高い
- なんでお客様がこの商品を買うのか?
お客様の課題の根本を考える。
- クリティカルシンキングの場合
- お客様に提示された論点に沿って、何が構成要素かをあぶり出して最適な解決策を生み出すようなアプローチの仕方
- ラテラルシンキング
- お客様に提示された論点の多面的な視点をもって、本質的な課題を見出し、解決するアプローチの仕方
- 得られる効用
- ヒアリングを通じて課題を深掘りできるようになる
- 商談のサイズを拡大(最大化)できる
- クリティカルシンキングの場合
※参照
- 水平思考とは|垂直思考と違う天才たちの斬新なアイデア発想法を解説 - Web活用術。
- 【シックス・ハット法】ひとりでもできる6つの視点でアイデアを出す発想法 - Web活用術
- ブレインストーミングとは?失敗しない進め方と7つの発想モデル - Web活用術。
コンテキスト思考(コンテキストデザイン)について
- 意味
- コンテキスト思考とは、物事の背景にある「見えない前提」を味方につけ、物事を文脈的に推測する思考法のこと。
- 「コンテンツ」は変わらなくても、「コンテクスト」が変わることで「コンテンツに対する解釈」が変わる
- コンテキスト思考とは、物事の背景にある「見えない前提」を味方につけ、物事を文脈的に推測する思考法のこと。
- コンテクストとは実態の背景にある見えない前提のこと
- 物体としてのリンゴは変化せずとも、そのコンテクストが変化することで、盗品とも高級品とも解釈できる
- 盗品のリンゴ
- 実体:物体としてのリンゴ
- コンテクスト:盗んだ
- 実体+コンテクスト=盗品のリンゴと解釈される
- 高級なリンゴ
- 実体:物体としてのリンゴ
- コンテクスト:高価(1000円)
- 実体+コンテクスト=高級なリンゴと解釈される
- 盗品のリンゴ
- 物体としてのリンゴは変化せずとも、そのコンテクストが変化することで、盗品とも高級品とも解釈できる
~コラム. 結果を生み出す思考方式~
Effectuationについて
意味
- エフェクチュエーションとは、インド人経営学者サラス・サラスバシー氏が提唱した優れた起業家に共通する意思決定プロセスや思考(考え方)を発見・体系化した市場創造の実行理論。
- 起業家の中でも特に連続して何度も新しい事業を立ち上げている優れた起業家には共通の思考プロセスがあり、それを抽出したものがエフェクチュエーションである。
- まず「手段」からスタートし、「これらの手段を使って何ができるか」を問い、可能な限りの結果をデザインしていく。未来は不確定なものだからこそ、自ら影響を与えて変えていこうとする。
- エフェクチュエーションでは手元にある手段・モノを基に新たなイノベーションを興すことに長けている。
- まず「手段」からスタートし、「これらの手段を使って何ができるか」を問い、可能な限りの結果をデザインしていく。未来は不確定なものだからこそ、自ら影響を与えて変えていこうとする。
- 「非予測的コントロール(non-predictive control)」のテクニックを具体化したものである。つまり、不確実な状況をコントロールするにあたり、「予測をもとにした戦略(predictive strategy)」の使用を減らすことを志向する。これらの原則は、総体として、「エフェクチュエーション」と呼ばれる行為の理論を示している。
5つの原則
- ①手中の鳥の原則
- 「目的主導(goal-driven)」ではなく、「手段主義(means-driven)」の行為の原則である。
- ここで強調されるのは、所要の目的を達成するために、新しい方法を発見することではなく、既存の手段で、何か新しいものを作ることである。
- ②許容可能な損失の原則
- プロジェクトからの期待利益を計算して投資するのではなく、どこまで損失を許容する気があるか、あらかじめコミットすることである。
- ③クレイジーキルトの原則
- 機会コストを気にかけたり、精緻な競合分析を行ったりすることなしに、(コミットする意思を持つ)全ての関与者と交渉をしていくことにかかわる。
- さらに、経営に参画するメンバーが、企業の目的を決めるのであり、その逆ではない。
- 機会コストを気にかけたり、精緻な競合分析を行ったりすることなしに、(コミットする意思を持つ)全ての関与者と交渉をしていくことにかかわる。
④レモネードの原則
- 不確実な状況を避け、克服し、適応するのではなく、むしろ予期せぬ事態をテコとして活用することで、不確実な状況を認め、適切に対応していくことを示している。
⑤飛行機の中のパイロットの原則
- 技術トラジェクトリーや社会経済学的トレンドのような外的要因を活用することに起業家の努力を限定するのではなく、エージェンシーとしての人間に働きかけることを、事業機会創造の主たる原動力とすることを示している。
- ①手中の鳥の原則
メリット
- 目の前にあることから始めることができるので、一歩目の行動がしやすい
- できることを順番にこなしていくので、様子を見ながら進めることができ、柔軟性がある納得がいった段階で達成とみなすので、そこで満足感を得ることもできる
- デメリット
- 進めながら、自分で「ここで達成」と達成地点決める為、高い目標設定がしにくい
エフェクチュエーションへの注目が高まる背景
①起業家メソッドの確立
- これまで起業家の意思決定プロセスや思考(考え方)は、起業家の資質や生まれ育った環境、性格、さらには時代背景が大きく影響しており、そもそも体系化・一般化できないと考えられていた
- しかし、起業家の共通した思考プロセスをはじめて体系化・一般化した理論であり、一般社会人たちでも学習可能なメソッドを確立した点でも大きく評価されている。
②目標設定型アプローチの限界
- グローバル競争の激化と将来の不確実性が高まるなか、ある程度未来予測が可能な領域に有効で、大企業を中心に採用されている「目標設定型アプローチ」は機能を失いつつある。
- 一方、起業家の共通思考であり、今あるものから新しいものを想像する「問題解決型アプローチ」は求められるようになっている。
- そのため、現場の社員から経営層まですべてを巻き込んだアプローチ方法の見直しが必要となっており、起業家の意思決定プロセスが学べるエフェクチュエーションに注目が集まっている
③STPマーケティングの限界
- STPマーケティングとは、マーケティング・プロセスの基本戦略であるセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを中心にしたマーケティング論
- 競争優位性の確立や営業活動の省略化、企業価値の向上が期待できる一方、顧客の細分化、ターゲット層の明確化、自社の立ち位置の確認など、多大な調査時間と費用が必要
- VUCA時代と呼ばれ変化のスピードが速まっている現代では、STP分析のために調査を行っても、調査後には既に市場環境が変わっている可能性がある。
- エフェクチュエーションは「小さく試しながら、市場に適合させていく」手法を採用するため、変化の激しい市場環境に効果的であると考えられている。
エフェクチュエーションの活用方法
①従来の競争戦略への見直し
- エフェクチュエーションの5つの原則は、緻密な予測や目標設定に基づいたアプローチではなく、行動を重視した問題解決型アプローチを重視
- そのため、競合分析を徹底するのではなく、競合企業や否定的な顧客も含めたすべての関与者と交渉して、パートナーシップを築いていく(※「クレイジーキルトの原則」を参照)
- 近年の競争戦略では、築き上げたパートナーシップ(仕組みやシステム)を重視する傾向が強いため企業単体で競争優位性を確立することは難しく、新たな事業の立ち上げには「リフレーミング(今までの枠組みや見方から変えること)」を重視した競争戦略が最適
- しかし、一定以上の成長を遂げた事業は他社との差別化が重視され、従来の競争戦略は今日でも一定の成果が出ているのが現状。
- そのため、新規事業立ち上げの競争戦略と、既存事業の競争戦略とは分けて考える必要がある。
- エフェクチュエーションの5つの原則は、緻密な予測や目標設定に基づいたアプローチではなく、行動を重視した問題解決型アプローチを重視
②現場レベルでの行動規範の提示
- 優れた起業家の意思決定プロセスや思考(考え方)、行動を身近な業務内容に取り組めば、実際に収益を得る現場で新たな発想やアイデアが生まれやすい組織環境の構築が可能
- 中でも「クレイジーキルトの原則」はあらゆるステークホルダー(株主、顧客、経営陣を含む全従業員)に関与し、未来予測が難しい領域に新たなビジネスチャンスを見出せる。
③課題解決能力の向上
- エフェクチュエーションは、目標設定や未来予測ではなく、課題解決型アプローチを提唱しており、社員の課題解決能力を向上できる。
- 現在のビジネス環境では、常に数値や現状を把握しつつ、手元にある手段を用いて解決方法を探索する能力が重視されている。
- エフェクチュエーションの原則は行動力を基にしており、行動力・実践力が発揮しやすい現場社員にも活用しやすい理論といえる。 ※参照
- エフェクチュエーションとは?起業家メソッドや原則、活用方法をご紹介 | BizHint(ビズヒント)- クラウド活用と生産性向上の専門サイト
- 起業家メソッドを学習できる「エフェクチュエーション」とは?〈前編〉
- 「エフェクチュエーション」
Causationについて
意味
- コーゼーションでは、まず求める「目的(結果)」からスタートし、「これを達成するには何をすればいいか」を考え、特定の結果を生み出すための手段を選ぶ。
コーゼーション(Caution)は、「cause」が「原因」「理由」という意味通り、原因の推測からスタートする考え方
最初に目標(ゴール)を具体的にイメージして、そこから現在へさかのぼって、その目標に到達するための手段、方法、スケジュールを考えるという思考方法
- 先にゴールを設定し、そのゴールから逆算して必要なプロセスを計画し、その計画通りに行動することで、最短距離でゴールにたどり着くための思考方法
- ゴール(目標)を先に想定し、到達するために今やるべきことはなにか、どのように進めて行くかを逆算してプランを考える方法のこと
- 思考の起点が未来のゴールである。
前提
- 未来は不確定なものであるが、できるだけ予測して進めていく。
特徴
- コーゼーションでは「目的」を果たすために「自分は何をすべきか?~What should I do~」とまず考える
- サラスの研究によると、経験の浅い起業家の81%がコーゼーションのアプローチを選んだという。
- But, サラス自身、イノベーションの創造過程で「コーゼーション」と「エフェクチュエーション」の2つの思考プロセスを効果的に用いることが大切だと著書で説いている。
流れ
- ゴールを設定する
- ゴールに到達するため必要なプロセスを計画する
- 設定したゴールに到達するための要素を、段階やステップ別に細かく時間軸の上で設定する(期限、スケジュールの設定など)
- ゴールに到達するため必要なプロセスを計画する
- 計画通りにアクションを起こすこと
- ゴールまで最短距離・最短時間で業務が遂行する
- 計画通りにアクションを起こすこと
メリット
- 計画や行動を先延ばしにすることなく、最小限の工程で効率よく目標を達成できる
- ゴールを達成するために自分が何をやるべきなのか」といった具体的なタスクレベルで計画する。
- 逆算思考では最初に到達したいゴールがあるため、目標がはっきりして、目標達成までの工程が明らかであることが、モチベーションと生産性の向上に役立つ
- 現時点からゴールまでの道のりが明確なため、現時点とゴール、2つの距離感が掴みやすい
- 計画や行動を先延ばしにすることなく、最小限の工程で効率よく目標を達成できる
デメリット
- 明確な目標がある分、ちょっとやそっとではそれが変えられない
- 予定よりも進みが遅かったとしても、ハードルを下げにくい
例
- 1000万円の売上を達成するためには、○○件の受注をしないといけなくて、そのためには○○件稟議にもっていき、そのために○○件商談機会をつくる。そのためには○○件テレアポする。
- 行動量とともに時間軸も考慮して行動を起こすことも大事である。
- <最終ゴールを達成すべき期限>と<各プロセス所要する期間>など
- 行動量とともに時間軸も考慮して行動を起こすことも大事である。
- 1000万円の売上を達成するためには、○○件の受注をしないといけなくて、そのためには○○件稟議にもっていき、そのために○○件商談機会をつくる。そのためには○○件テレアポする。
注意点
- 目標が大きい場合には、中間目標を立てる
- 一度に最終ゴールを目指すのではなく、中間地点に小目標をいくつか設け、細かく目標管理を行うほうが効果的
- 例:1カ月後や3カ月後に小目標、半年後に中目標
- 一度に最終ゴールを目指すのではなく、中間地点に小目標をいくつか設け、細かく目標管理を行うほうが効果的
- 目標が大きい場合には、中間目標を立てる
※参照
エフェクチュエーションとコーゼーションの違い
- 前提
- コーゼーションの論理の前提は、「未来を予測できる範囲において、われわれは未来をコントロール(制御)することができる」というものである。
- エフェクチュエーションの論理の前提は、「未来をコントロール(制御)」範囲において、われわれはそれを予測する必要がない」というものである。
- 前提
モデル
コーゼーションに基づくモデルは、「作り出される効果(effect to be created)」からスタートする。
- そして、あらかじめ選択した目的を所与とし、その効果を実現するために、既存の手段の中から選択するか、新しい手段を創り出すか、を決定する。
エフェクチュエーションに基づくモデルは、逆に、「所与の手段」からスタートする。
- 予測をもとにしない戦略を用いて、新しい目的を創り出そうとする。
- 有効性の側面
- 企業規模
- 例えば、ソニーや松下などの創業の段階ではエフェクチュエーション的な理論で事業展開をしてきたはずですが、大企業へと成長すると、コーゼーション的な考え方も必要となる
- 有効性の側面
- 企業のライフサイクル
- イノベーションを起こす0→1のフェーズにはエフェクチュエーションが、マネジメントしていく1→10のフェーズにはコーゼーションが有効である場合が多い。
※参照
- 起業家メソッドを学習できる「エフェクチュエーション」とは?〈後編〉 | MANA-Biz マナビズ
- 「エフェクチュエーション」
Appendix
第7章:セールスに必要な<ナレッジ>
はじめに
- 本章の目的
- セールスを実践するにあたり、知っておくべきナレッジが存在する。特に自社の商材(プロダクト・サービス)が誰にどのような価値を提供するのかを知らない・整理されていないが故に提案で損をしているケースが多々見受けられる。また顧客のPL/BSなど財務に関する知識を有することで、一般的なセールスとは大きな差をつけることも可能となる。本章ではセールスに必要とされるナレッジについて記す。
ナレッジの種類
- セールスが知っておくべきナレッジの種類には以下の3つがある。
自社
- 自社(会社)
- 自分たちの会社の強みは?
- 自社のポジション?
- 商材(プロダクト・サービス)
- 商材の特徴は何か?
- 誰に何を提供しようとしているのか?
販売方法
- ハイパフォーマーのやっていることの中で汎用性が高い行いを仕組み化する。そして、型化された自社のベストプラクティスをハイパフォーマー以外のプレイヤーにも浸透させる。
- 型の内容
- セールスにおける各プロセスごと必要な行動
- スキル など
- 型の内容
顧客
- マーケット(全体的)
- 業界の抱えている課題
- 例:建設業のマーケットの理解、大手3位、中小PL、自社の商品はそのマーケットの中で誰に何を提供するのかについて
- 顧客(一社)
- アポ獲得した目の前のお客さんのことを知る。PLの構造、何に困っているのかについて
顧客の購買構造(第3章)
業界・顧客の財務理解
- BS / PL
- 自社の商材が顧客のどこの部分にヒットするのか分かるようになる。
- BS / PL
- マーケット(全体的)
- 競合
- マーケット
- その事業によって、存在する競合の数や強さが異なる
- 自分が戦おうとしているフィールドで誰がいて、誰と戦うべきか?
- スタートアップ企業か、零細企業なのか、大手なのか?
- 競合一社一社とその商材で、どんな販売をしているのか、ターゲットはどこなのか、知識として知っておくと、孫子の兵法(彼を知り己を知れば百戦殆からず)
- マーケット
- 競合
- ハイパフォーマーのやっていることの中で汎用性が高い行いを仕組み化する。そして、型化された自社のベストプラクティスをハイパフォーマー以外のプレイヤーにも浸透させる。
- 自社(会社)
ワークショップ
- Q1. 対象としているマーケットの抱えている課題はなんですか?
- Q2. 自社の提供するサービスは「誰に」「何を提供」していますか?
- Q3. 自社の提供するサービスは顧客の財務にどのような影響を及ぼしますか?
第8章:組織・人材マネジメント
はじめに
定義
- 人材マネジメントとは企業のミッション・ビジョンや戦略を達成するための人材活用の仕組みの事である。人材とは個人だけでなく、個人の集合体である組織も対象としている。
セールスにおける人材マネジメントの重要性
- 人材マネジメントは会社のミッション・ビジョン(なりたい姿)に近づくために必要な人的リソース、能力、仕組みを構築していくことであり、戦略に基づきオペレーションを実践するために欠かすことのできない要素である。
- 人材は経験を積ませることで価値が高まるという特殊な性質を持っている。人材マネジメントではそのような人材の性質に基づき、適切なトレーニングの実施や管理を行うことで個々の営業パフォーマンスを最大化することを目的とする。
- 適切な人材マネジメントは単に各社員のセールスパフォーマンスを上げるだけではなく、社員のモチベーションの向上にもつながり結果的に定着率や労働生産性の向上などにも効果が期待できるため、企業経営において欠かせないものである。
人材マネジメントを適切に行わないと、、
- 育成・学習
- 正しい育成設定プロセスがわからずに、闇雲にトレーニングを重ねるだけになり期待されるような効果が出ない。
- 個々の特徴や現状を踏まえた適切なトレーニング設計ができずにポテンシャルを最大限は引き出すことができなくなる。
- 人材マネジメントの管理
- 営業マンの行動量が把握できず、成果の障害になっているボトルネックが見つけられない
- 案件の進捗が不明確となり、売り上げ見込みが立てられない。受注につながらない理由がわからず、毎回なんとなくダメだったで終わってしまう
- 顧客のステータスが分からず、個々人に合った適切なアプローチができない。確度が低い顧客にアプローチし続けるなど、非効率な営業活動が生まれコストが増大する
- 育成・学習
育成・学習
目次
- 前提
- 定義
- 人材育成の抱える課題
- 育成のやり方・プロセスが分からない人もいる
セールス育成学習のプロセス
トレーニング(差分を埋めるための行動)
- スキル
- ロープレ
- 営業同行
- 外報
- マインドセット
- ワンオンワン
- 学習の観点からのトレーニング
- スキル
参考
- 学習者・育成者の心構え
- 参考:育成・学習(学習モデル)の種類
- 学習移転モデル
- 経験学習モデル
- 学習者・育成者の心構え
前提
- 多くの場合適切にトレーニングができていない
- 例:目的を理解せずにロープレの回数を重ねる
- 闇雲にトレーニングするのではなく、現在地を把握することで適切な育成やトレーニングにつなげる
- なりたい姿(tobe)の設計と現在地(asis)の把握をすることでそのギャップを埋めるためのトレーニングを実施する
定義
- 育成:第三者が対象者を育て上げること、対象者がなりたい姿に近づくよう伴走すること、また学習プロセスを支援すること
- 学習:(自分自信があるいは共通の目標をもった複数人が主体となって)なりたい姿に近づいていくこと。個人や組織の行動や考え方が変化するプロセスのこと
- ※参考:勉強と学びの違い
人材育成の抱える課題
- 経営者の人材育成に対する価値観
- 人は自分で自立的に育つものと思い、会社は人を育てられないとする経営者もいる
- なぜこのような価値観をもち、人材の教育を行わない人もいるのか?
- 育成と学習を同じものと思っている
- プロセスを理解していない
- どのようなプロセスがあるのかを知らない
- 上記の価値観だと損すること
セールスの育成・学習のプロセス
- 以下の4つのプロセスに分けられる
- なりたい姿(tobe)を描く
- 現在地(asis)を知る
- ギャップをあぶり出す
- トレーニングメニューを設計し、実践する
- 現在地(asis)を知る
- tobeと同じく、これまでに扱ったセールスの4要素から現状把握をすることができる
- 現在地(asis)を知る
- ギャップをあぶり出す
- asisとtobeからその両者のギャップを適切に把握し、ギャップを埋めるための適したトレーニングを設計する
- ギャップをあぶり出す
- トレーニングメニューを設計し、実践する
- 実際のトレーニングでは以下のトレーニングを参考にすることができる
トレーニング
- ギャップを埋めるための取り組みには様々な手段がある。下記には代表的なセールスにまつわるトレーニングを記載する。
スキル
- ロープレ
- 顧客役と営業役に分かれ、様々な状況を想定して役を演じることで営業の疑似体験をして現実に起きる事態に適切な対応ができるようにする訓練
- 種類
- アポイント獲得ロープレ
- 顧客に商談の場をもらいに行くトーク力を磨くのが目的になる
- 電話での提案になるため名乗る瞬間から電話を切るまでのフレーズ・声にトーンなども重要
- ヒアリングロープレ
- 実際に顧客と商談する際に必要なロープレ
- 事前に提案するうえで確認したい内容や成約してもらうために必要なヒアリングをトークの中で行い、どれだけ情報を引き出せるかを培う
- ポイント:顧客の課題やBANTの有無を、SPIN話法などを駆使してヒアリングすること
- 商談提案ロープレ
- 現場を想定した提案型のロープレ
- 自社や自社プロダクトサービスの紹介と顧客の課題を踏まえた具体的な解決方法を説明するロープレ
- クロージングロープレ
- 成約する目の前のフェーズを想定したロープレ
- ネック返し
- 金額や時期、顧客のリソースなど課題として出てくる懸念点を発見しその懸念点について回答する
- ネックを丁寧に返すことで契約の高騰エビデンスをもらう点をゴールとする
- ロープレにおいては提案される側の評価基準をしっかり定め適切にfeedbackすることが求められる
- アポイント獲得ロープレ
- 期待できるメリット
- 現場イメージを使む
- 自分の強みを取り入れた営業手法を作ることができる
- 商談の質を高める
- 個々人の課題が明確になる
- 参考:セールス_ロープレ
営業同行
- 期待される効果
- 得意先の現状認識
- セールスの現状認識
- 得意先との信頼感アップ
- ホット情報、ニーズ情報のキャッチ
- セールスのパワーアップ
- 社員の過去と現在のギャップを把握
同行のポイント
- 同行時の改善すべき点、注意すべき点はその場で行う現地現場主義をとる
- 同行のチェックポイントの判断資料を用意して効果的・効率的同行を実施する
- 対象者別の同行ポイント
- 新人セールス
- 頻度:月三回以上
- 狙い:商品知識の向上、基本の体得
- 成績の良いセールス
- 頻度:月1階
- 狙い:やり方を実地に確かめる(ノウハウの蓄積)
- 成績の悪いセールス
- 頻度:月2回
- 狙い:実地指導、同行による原因究明
- 新人セールス
- 帰社後、同行セールスマンとの意見交換のうえ、現地にて指導した点を今一度フォローアップする
- 同行のチェック、フォローアップの内容を記録し、今後の動向をチェック、指導する
同行営業の準備
- 上司
- 部下と訪問先とのやり取りの場面をメモする
- メモ内容
- 訪問先での活動の目的:何を売ろうとしているか
- 営業の内容:訪問活動でのありのままの内容を具体的に
- コメント:自分の判断を交えていい点、悪い点
- 本人への確認指導事項
- フォローすべき点
- 上司
- 上手くいかないケース
- 管理職がその進め方自体を理解していない
- あくまで部下が主役であることを理解して役割を見極める必要がある
- 例
- クレーム処理
- 上司が積極的に展開し、部下はそれを補佐する
- 相手が発注先に迷っているとき
- 上司・部下ともに積極的に働きかけ、営業活動を進展させる
- 相手の会社になかなか入り込めないとき
- 顧客に発言を促し、情報収集・把握をする
- キーマンを登場させたいとき
- 部下が積極的に展開し、上司は援助的役割を演じる
- クレーム処理
- 実戦へのフィードバック
- 期待される効果
- 外報
- 参考:OJT
マインドセット
- ワン・オン・ワン
- ヤフーなどで実践されている経験学習を促進させる目的のミーティング
- 経験学習においては経験の後に内省を行いマイセオリーを作り上げることが最も大事になるが、一人で行うのは困難。その内省をサポートするものとしてワンオンワンでのミーティングを行う
- 批判的学習モデルの促進
- 手段探求
- XXを習得するためにはどうすればいいのか
- 目的合意
- 本当に目的達成にXXは必要なのか?
- 背景批判
- そもそもXXは妥当なのか?
- 手段探求
- 仕組みとして振り返りの時間をもうける
- 上司との1on1ミーティング
- 上司が指示をしたり、解決策を示すことはなく、部下が自ら話し、現在の状況を整理しながら何らかの気付きを得るように仕向ける。
- コーチングのスタイル
- 上司は自分で考えない
- 予測や推察はしない
- 部下をリードしない
学習の観点からのトレーニング
- 本を読む
- 現場での学びを深める
- 現場から学ぶためにも営業の前提となる知識や言葉が必要
- セミナーに参加する
- 研修会に参加する
- 上司や顧客に直接ヒアリングをする
- ハイパフォーマー(自社・他社問わず)のやり方を真似する
- 営業を受けてみる(お客様を味わう)
- 新たな発見、気づきを得られる
学習者・育成者の心構え
- 学習者の心構え
- 森羅万象から学ぶ姿勢
- 上司、同僚、部下、顧客から学ぶ
- 営業の課題は顧客の課題を解決することであることを心がけ、現場の人から悩みや課題を聞き取ることが重要
- 顧客に直接尋ねることもできる
- 日々の経験から学ぶことができるという姿勢でバイアスをかけずに様々なことから学ぶ
- 永遠の初学者
- ある点に到達したら学ぶものがなくなるというものではなく、常にどのような対象からも学ぶ姿勢でいる
- 「この人から学ぶ」というのはその人の自我に基づいた判断である可能性が高い
- ある特定の上司や同期、著名人を尊敬していてその人から主に学ぼうとすると、そもそも尊敬する対象選ぶさいにその人個人の自我や囚われからバイアスがかかっている可能性が高いため、あくまで全てのものから学ぶことができることを忘れない
- アウトプットを意識する
- アクション量を増やす
- 経験学習サイクルを意識して学びを具体的アクションに落とし込むことを意識する
- 現場で学ぶ
- 分からないことは聞く
- 学びを深めるコツは気付きと質問
- その場で分かったつもりにならずに質問できるかどうかで学びの深さが変わる
- 森羅万象から学ぶ姿勢
育成者の心構え
- 自らから考えさせるコンテンツを提供する
- 日々の業務や会社の未来にために何ができるか、どのように学習できるかを対象者に自主的に考えさせるようにする
- 学習者が経験学習サイクルを強化できるように、育成者はあれこれ指示をしすぎない
- 内容に一貫性を持たせる
- 教育する内容には一貫性を持たせて効率的な学習を加速させる
- 育成者だけではなく、セールスチーム全体でどのような研修・育成が行われているかを情報共有できるようにして上司も状況を把握すること
- 自己の成功体験や既存の育成方法に囚われない
- 育成者も同時に学習者であるため自信の囚われや自我から一方的にならないように注意する
- 顧客理解力と提案力の2点の重要性を理解させる
- 顧客を正しく理解しないと新しい商談機会を得ることはできない
- その機会をものにするのは提案力
- フィードバックを充実させる
- 早い段階で成功体験をつめるように実際の現場でのサポートや親身な姿勢が大切になる
- 成功という体験からモチベーションを引き出せるように意欲を後押しする教育を心がける
- 上司による部下の状況の把握
- 性格や能力もバラバラの新人をどのように教育するかは、上司による部下の理解が必要
- 部下の特徴を理解したうえで、どの期間でどこをどのように伸ばすのかを考え適切なトレーニングが提供できる
- 良いフィードバックを提供する前提条件となる
- ※育成の対象者の性格や特徴が異なるからといって目指すべきゴールが異なるわけではない。それぞれの性格やステータスに合わせた画一的なトレーニングがあるわけではないため、本書を通して各個人に合わせた適切なトレーニングをカスタマイズする必要がある。
- 向かうところは同じだがそのスタート地点やゴールへの向かい方が異なってくる
- 例:営業経験のない新卒と営業経験が10年ある中途の人材ではスタート地点が大きく異なり、適切なトレーニングも異なる
- 例2:性格の違い
- 自分ひとりで売上げを作っていきたい一匹狼タイプと自分でわからないことを人にたくさん聞きながら学びたいタイプの人では適切なトレーニングが異なる
- 一匹狼タイプ
- 第三者から学ぶようなロープレなどは不適切
- まずは第三者から学ぶ重要性を対話などを通して気付いてもらう
- 人から学びたいタイプ
- 主体的に学べるようなトレーニングを施す
参考
- 主体的に学べるようなトレーニングを施す
- 自らから考えさせるコンテンツを提供する
育成・学習(モデル)の種類
学習移転モデル
- 1:研究者が知識を創造する
- 2:講師がそれを伝達する
- 3:学習者がそれを習得する
- 4:学習者が習得した知識を現場で応用する
学習移転モデルの難点
- 4の段階で上司が適切に教育を行うのが困難
- なぜ?
- 部下が研修でどのような研修を受けたのかを把握して連携するのが難しい
- 教育の場で教えられる「知識」だけではなく、実際に現場から経験することにより得られる「経験知」もある
- 4の段階で上司が適切に教育を行うのが困難
- 経験学習モデル
- ジョン・デューイ
- 人の教育は経験から生まれる
- 具体的経験
- 内生的反省
- 抽象的概念化
- 能動的実験
- 以上のプロセスを繰り返す
- ジョン・デューイ
- 具体的な経験学習の実践
- 人材育成会議
- 人材を育成するものが集まり一人ひとりにどのように経験を積ませるのかを会議する(ヤフー・東京海上日動など)
- 目的:育成したい人材に対して適切な経験を積ませる、また直属の上司にも部下育成において自分が把握できていなかった側面に気づくことになる。
- 方法:関係のある上司などを招き強みや弱みをさぐる
- 人材育成会議
※参照
育成の設計方法
- 適切な研修プログラムを設計するには?
- トレーニング実施状況の現状把握
- トレーニング状況の管理方法
- 現状を反映した適切なプログラム設計
- 現状を把握する
- 次の要素について把握する
- 1:トレーニングの履歴
- 実際に行われているトレーニング
- 今までに何が行われて何が行われていないかを把握する
- 2:立ち上がり状況の可視化
- Tips
- 信号機や天気表示などビジュアライズするとわかりやすい。例えば○なら「🔵」「☀️」、×は「🔴」「☂️」
- 信号のように赤青黄でトレーニングの進捗状況をグラデーションで一目でわかるようにする
- Tips
- 3:詳細項目のアセスメント(客観的評価?)
- 立ち上がり状況の<良い/悪い/普通>などの評価をどのようにしているのかについての詳細
- トレーニング状況の管理
- ハイパフォーマーの実践項目を反映したダッシュボードの作成
- ManagerとSales Enablement機能(セールスサポート、営業企画)で各項目の実践度合いを評価
- 各項目において何%ほど達成できているかを評価する
- 実践できていない場合、ネクストステップを設定して管理
- ManagerとSales Enablement機能(セールスサポート、営業企画)で各項目の実践度合いを評価
- ハイパフォーマーの実践項目を反映したダッシュボードの作成
- 適切な育成プログラム設計
- 1:トレーニングの受講状況と売上実績の相関から各教育プログラムと営業達成率の関係を図示する
- 1:トレーニング受講状況
- トレーニング名と対象者名の図を作り、誰が何のトレーニングを受講しているかを把握
- 2:トレーニングの達成率と実際の営業の達成率を図にプロットする
- 1:トレーニング受講状況
- 2:「1」での分析を参考に育成プログラムを設計する
- 1:トレーニングの受講状況と売上実績の相関から各教育プログラムと営業達成率の関係を図示する
人材マネジメントの管理
前提
- これまでの営業活動は、行動量・案件管理・顧客管理の全てが個々の営業マンの感覚や経験で行われていた場合が多く、業務が属人化し、営業成績にばらつきが出がちであった。これでは組織として再現性のある営業活動を継続することが難しく、トップセールスがいる会社しか勝てないという理論に陥り、創業期のスタートアップに勝ち目はないということになってしまう
- このドキュメントでは、セールス初心者が多い組織でも意識して取り組めば、効率的かつ再現性のある営業活動ができるような考え方や取り組みを紹介する
- 近年のテクノロジーの発展により、営業活動を定量化・可視化することが容易になってきた(スプレッドシート、SFA、CRMなど)ため、それらを活用し日々の営業活動を適切に管理することが望まれる
定義
- セールスマネジメントとは、セールスにおける人材マネジメントの一種であり、日々の営業活動を定量化・可視化し、個人間の成果のばらつきをなくし、組織の営業活動を最適化するための手法である。主に、営業マンの行動を管理するプロセスマネジメント、案件を管理する案件マネジメント、顧客を管理する顧客マネジメントに分けられる。
プロセスマネジメント
- 定義・意義
- ダッシュボードを用いて営業マンの行動をプロセス数値に基づいて管理・分析する
- 定量で客観的に分析することで、成果の障害となっているボトルネックを発見し打ち手を打つことができる
- 取り組み方
- 目標はトップダウンに設計する
- 例:売上=件数×単価(定数)において目標売上に到達するために件数が40件/月必要な場合
- 訪問(商談)→受注の歩留まりが50%であれば必要訪問件数は80件/月
- 架電→訪問(商談)の歩留まりが10%であれば必要架電件数は800件/月
- 月の出社日が20日なら必要架電件数は40件/日
- 電話が3分/回とすると一日に最低でも2時間は架電をしなければ売上達成できない
- 例:売上=件数×単価(定数)において目標売上に到達するために件数が40件/月必要な場合
- コール数、コールコンタクト数(率)、コンタクトアポ数(率)、コールアポ数(率)、新規訪問数(率)、有効商談数(率)、 訪問受注数(率)etc.などの、営業プロセスにおける主な指標を数値化しダッシュボードに落とし込む
- 社内での各指標に対する基準を明確にすることで、各メンバーのできていることとできていないことをマネージャーが把握でき、改善のアドバイスができる
- SFAなどの営業支援ツールを導入すると、各メンバーの指標を容易に把握できる
- 目標はトップダウンに設計する
AとBを比較すると、Aはキーマンコンタクト率が高い割にアポイント率が低いので商談の進め方に問題があるか、そもそもコールの際にキーマン特定が不明確である可能性があるので、マネージャーはそこに対してなんらかのアドバイスができる
案件マネジメント
- 定義・意義
- 営業マンが商談を実施して見込化(有効商談・案件)した企業を受注に向けて進捗させるためのマネジメント
- 商談を受注に導くために、営業活動のボトルネックを排除することで、買わない理由を失くす
- 取り組み方
- 案件ステータス(確度)の設定・管理
- 例:人材サービスのセールスにおいて
- ステータス1➡︎8ヶ月以内に受注予定、受注確率20%(人事担当・決裁者以外に話が通っており上長に伝えてもらう予定である)
- ステータス2➡︎5ヶ月以内に受注予定、受注確率50%(人事担当に話が通っており決裁者に伝えてもらう予定である)
- ステータス3➡︎2ヶ月以内に受注予定、受注確率80%(決裁者に話が通っており、購入意思がある)
- 例えば10万円の商材がステータス3に10件あるとすると、10万×10件×0.8=80万となり、2ヶ月以内に80万円の売り上げが見込めると言える
- 例:人材サービスのセールスにおいて
- 営業アドバイス
- マネージャーがメンバーに同行したり、話をききながら共に案件化を進めていく
- 「どんな仮説で、いつ、誰に、何を聞いて、どんな提案をし、何を顧客と確認・共有したのか?」などの観点をもとに、商談のボトルネックを特定する
- 案件管理アドバイス
- マネージャーが、メンバーが個々に多数抱えている営業案件をどう管理するかについて助言を与える
- 「どの段階の案件がどれだけあるのか?、各案件のリードタイム・および受注確度はどのくらいか?、潜在案件の仕込み(=新規アポ、新規訪問)はどのくらい行なっているのか?」などの観点をもとに、案件の全体最適化を図る
- SFAなどのプロセスマネジメントツールを導入すると容易に把握できる
顧客マネジメント
- 定義・意義
- 蓄積した顧客データもとに顧客とのコミュニケーション設計を行い、実践していくこと
- 簡単に情報が得られるようになったが故に顧客のニーズが多様化し各人が複雑なニーズを抱えているため、同一なマーケティング手法によるアプローチには限界が出てきた
- 顧客との良好な関係を維持することで離脱を防ぎ、長く取引を続けてもらうことができる
- 正しいターゲットに、正しい回数、高いクオリティで接点を持つ
- 蓄積した顧客データもとに顧客とのコミュニケーション設計を行い、実践していくこと
- 取り組み方
- 顧客リストの形成・管理
- 潜在顧客
- 見込み顧客
- 新規顧客
- 既存顧客
- 離脱顧客 etc.
- CRM(顧客管理支援ツール)を導入する
- 導入の目的を明確にし、メンバー全員が重要性をわかっている状態にする
- メンバー全員が日々の業務の中でもれなく入力できるような仕組み作りを行う
- 顧客リストの形成・管理
ワークショップ
- Q1.一日の行動量を、月次の目標からトップダウンに設定できていますか?
- Q2. 案件ステータスの設定と、社内での共通認識は持てていますか?
- Q3.自社にCRM(顧客管理支援ツール)を導入する目的は何ですか?
参考:
採用
退職マネジメント
コラム(Sales Enablementについて)
はじめに
- 前提
- BtoBビジネスで注目されている「セールスイネーブルメント」という概念についての理解を促すために作成した資料である。
背景
営業活動は個人に任される部分が多い為、営業プロセスが属人化しがちである。これでは、営業組織として再現性のある取り組みを継続することが難しい。
- こうした背景から、セールスイネーブルメントのような、あらゆる改善施策をトータルに設計し、目標の達成状況および各施策の成果への貢献度などを数値化することが注目されている。
- 米国ではすでにセールスで欠かせないものとなっており、日本でも少しずつ広まりはじめている。
MAなどによるマーケティング活動の加速
- アメリカでセールスイネーブルメントが広まった背景は、MAの普及などによるマーケティングの活性化にあると言われている。
- MAの普及などによって、BtoB企業はマーケティングを主軸においたインバウンド営業に取り組むことが増えている
- MAツール等の活用によって、企業は膨大な数の見込み客を手に入れることができるようになってきている
- 見込み客の数が膨大になることで、営業は業務の効率化や生産性向上に努める必要が出てくる。
- 見込み客が増えるということは、あらゆるモチベーション(ニーズ層:ただの情報収集、競合と比較して検討レベルの段階、契約する前提にしている段階等)の顧客との接点が生まれるため、商談のバリエーションも増える。
- このような背景によって、マーケティング活動を理解した上で、営業活動を最適化していく必要が出てきた。
意味
Sales Enablement:営業を効率的にできるようにする仕組みづくりのこと
- Sales:販売(業務)、販売部門、セールス
- Enablement:the process of making someone able to do something, or making something possible(誰かに何かできるようにする、あるいは何かを可能にするプロセス)
セールス・イネーブルメントとは、営業活動において売り上げの最大化を目的とした、営業活動の強化・改善・最適化するための総括的な取り組み
- ①全体を見る
- 営業チームがより速く、効率的に販売するのに役立つ<テクノロジー、プロセス、コンテンツなどを活用しながら、営業組織を強化・改善するための取り組み全般を指す。
- 営業部署だけの最適化を図るのではなく、会社全体の施策を練ることで、その他の人事部やシステム部、マーケティング部など会社全体の流れを通して営業活動を強化・改善していく
- 営業チームがより速く、効率的に販売するのに役立つ<テクノロジー、プロセス、コンテンツなどを活用しながら、営業組織を強化・改善するための取り組み全般を指す。
②ノウハウの共有
- 成果を出す営業社員を輩出し続ける人材育成の仕組み
- 営業の成果を起点にして人材育成プログラムを計画・実行し、成果で検証する取り組み
- 例
- 汎用営業資料の作成・更新。
- ベストプラクティス情報の収集・体系化・共有。
- 営業に有用なコンテンツの定期的な収集。
- 社内ハイパフォーマーを中心としたメンバーから成功事例・コンテンツを集約し、他のメンバーでも利活用できるように体系化して情報流通させる。
③数値化
- 売り上げなどだけでなく、様々な営業活動に関する活動を数値化していく。数値化することで、営業に関して分析を行うことができる。
- ①全体を見る
※参照
- 「世界最先端の営業組織の作り方 Sales Enablement」
- セールスイネーブルメントとは?注目の営業力強化メソッドを解説! - 起業ログ
- Enablement に取り組んだ1年間の取り組みとこれから|kudo keisuke|note
具体的な手法(例)
- セールスとして入社したメンバーが立ち上がるまでに必要な研修や教育
- 定義・定量化:立ち上がっている状態の定義を明確にする
- 研修・教育:現在地と立ち上がっている状態の間の差分を埋めるための施策
- セールスマネジャーとして必要なスキル向上のための研修や教育
- チームメンバーの商談を前に進めるスキル
- チームメンバーの活動・プロセスを管理するスキル
- 売上予測を正確に把握するスキルなど
- ナレッジ・ノウハウ→コンテンツ化→展開→インプット
- ミナー形式の勉強会・ディスカッション形式の勉強会
- ドキュメント化
- マネージャーからチームに展開
- 営業時に使用する会社案内や製品カタログ
- Webサイトのコンテンツ
- オウンドメディアの記事
- ホワイトペーパーなど
営業ツール(セールス・テック)の活用
MA(Marketing Automation)
- 顧客の「見込み度合い」を可視化し営業にバトンタッチできるようになる
- 自社に興味があるお客様は誰なのか
- そのお客様は自社の何に興味があるのか
- そのお客様は過去どのくらい自社のホームページを訪れているのか
- そのお客様の温度感はホットなのかコールドなのか
- 顧客の「見込み度合い」を可視化し営業にバトンタッチできるようになる
SFA(Sales Force Automation)
- 営業支援システム
- 企業の営業部門における情報や業務のプロセスを自動化・可視化し、あらゆる情報をデータ化して蓄積・分析することができる
- 自社のコンタクトが始まってから受注に至るまでの流れが記録され、部門横断的に社内で情報が共有される。
- 誰が/いつ/どんなメールをお客様に送ったのか
- 誰が商談を持って行って、どんな活動をしているのか
- 最終的に受注に至ったのか失注になったのか
CRM(Customer Relationship Management)
- 顧客関係管理
- 顧客の氏名・年齢・性別といった基本的な情報から、興味のあるものや行動履歴など、顧客に関する情報を管理する
※参照
- 「世界最先端の営業組織の作り方 Sales Enablement」
特徴
セールス・イネーブルメントとは、トレーニングから行動の変化、結果としての成果の達成まで、営業成果に向けて一気通貫した育成の仕組みのこと。
- 営業成果(データ)が起点
- 体系化された実戦的なコンテンツあり
- トレーニングと現場フォローが「地続き」
- ITを活用した育成進捗の可視化
イネーブルメントでないもの(※イネーブルメントと混同しないように!)
- 単発のトレーニング
- 実戦的ではないコンテンツ
- トレーニング後フォローがなし
- ITが活用されてない
- KPIはトレーニングサーベイのみ
※参照
- 「世界最先端の営業組織の作り方 Sales Enablement」
期待できる効果
- 営業スキルの向上と平準化
- 営業成績が特に優秀なトップセールスマンの営業ノウハウを体系化して共有することで、企業全体の営業スキルを強化する
- 社内のハイパフォーマーの知識・経験や他のチームでうまくいった事例をベースに体系化していく。
- ハイパフォーマー暗黙知が言語化され、売れる理由が本人にとっても明確になるから本人にとってもメリットがある。
- スキルのバラツキをできる限り無くし、営業全体のスキル向上を実現することで、売上の最大化を図る。
- 例:マトリックスを使って、個々の成長と成果を可視化
- ①の場合:理想状態(研修を受けて目標達成)
- 模範的営業。組織全員がこの領域に到達することが望ましい
- ②の場合:実践力強化(研修は受けたが目標未達)
- 研修が受けっぱなしになっているか、行動量がたりていないか。上長と必要に応じて面談しボトルネックを特定する
- ③の場合:天才orまぐれ(研修を受けずに目標達成)
- 引き続き目標を達成できるのかトラックする。必要に応じて対応する研修を受講させる
④の場合:まずは研修受講(研修を受けずに目標未達)
- 研修を受けずに目標未達はある意味当たり前であるので、焦らずにまずは段階を踏んで研修を受講させ、その後実際の商談などを通して実践力を強化していく
数値の可視化(=営業プロセスと結果の見える化)
数値化による適切なアクション管理により、組織の営業力を高めることができる
- 数値の可視化において、セールスイネーブルメントの取り組みでは、営業に関するさまざまな活動を数値化し最適化するためのSFAやCRMを活用することが必要不可欠 \
アクションを定量的かつ適切に管理(数値化・可視化)することで、営業マンそれぞれへの改善指示が具体的になる
- テレアポ→商談の数→稟議→受注までのプロセス・結果を数値化・可視化することによって、より的確なアドバイスができるようになる。
※参照
- 「世界最先端の営業組織の作り方 Sales Enablement」
- セールスフォース・ドットコム オンラインセミナー
企業規模別の進め方
ベンチャー企業
想定される状況(企業の特性によって差はあり)
- 営業活動のやり方も個々人バラバラ
- 営業データはエクセルで管理しているが、結果管理となり、振り返りが難しい当然育成リソースもなく、「習うより慣れろ」の個人学習文化が蔓延
- いかに企業規模を大きくするため、積極的に人材を採用する
イネーブルメントに関わるアクション
- ①SFAなどを導入してセールス活動データを収集し、それらのデータを使って活動管理する
- 会社として求める期待行動を標準化し、フェーズ・商談項目に落とし込む。
- ②ハイパフォーマーの動き方を分析し、会社として期待する動き方を新入社員や他の営業に共有していく
- ③定期的な営業会議や、半年・一年を振り返るオフサイトミーティングなどで、営業フェーズや営業管理項目を顧客視点で見直すといった議論も効果的である。
- ①SFAなどを導入してセールス活動データを収集し、それらのデータを使って活動管理する
中堅企業
想定される状況(企業の特性によって差はあり)
- 営業活動データは溜まっているが、育成施策への展開はできていない
- 育成の社内リソースは限定的で、営業マネージャーも自身の経験をベースとしたコーチングに留まる
- マネージャー間の育成スキルのバラつきも大きい
イネーブルメントに関わるアクション
- 経営補佐的な人が軸となって、ハイパフォーマーのやっていることをうまく抽出して、そのノウハウをマネージャーを伝えたり、部分的にトレーニングで展開したりするなど、イネーブルメントの原型のようなものをつくれるといい
- 兼務でもいいので、イネーブルメントの役割に人的リソースをアサインするという経営層の意思決定が必要になる。
- ハイパフォーマーのベストプラクティスから抽出した要素を状況に合わせて、営業マネージャーのコーチングやオンボーディングトレーニングにまとめ展開する。
- 経営補佐的な人が軸となって、ハイパフォーマーのやっていることをうまく抽出して、そのノウハウをマネージャーを伝えたり、部分的にトレーニングで展開したりするなど、イネーブルメントの原型のようなものをつくれるといい
大手企業
想定される状況(企業の特性によって差はあり)
- 人材育成リソースは確保されており、営業データも溜まっている
- トレーニングプログラムや営業ツールは多く存在するが、各部署バラバラ
日々変わるビジネス状況に合わせて最適な育成プログラムを展開できる仕組みにはなっていない。
イネーブルメントに関わるアクション
- イネーブルメントの専任チームを設置する
- 溜まってきているセールスデータに基づいて的確な育成プログラムを展開していく
- セールス活動データを分析し、自社のビジネスに影響が大きい育成課題を特定する。イネーブルメントプログラムを開発していく。
- セールス活動データだけでなく、イネーブルメントのデータを意識して溜める。
- 学習履歴(イネーブルメントプログラム)などのイネーブルメントデータの蓄積を同時に開始する。
- 施策に連動するデータ、効果検証ができるデータを収集する必要がある
- トレーニング履歴があるといっても、管理体制が足りなかったり、管理していないケースもあるため
※参照
- セールスイネーブルメントの事例 | BtoBマーケティングラボ
- 日本でも重要視されはじめた「セールスイネーブルメント」とは? | 営業ラボ
- 「世界最先端の営業組織の作り方 Sales Enablement」
メリット・デメリット
- 企業戦略面での導入
- 営業部門やマーケティング部門だけでなく、人材開発部門や経営陣も巻き込んだものになる
- メリット
- 営業部門だけでなく、企業全体が受注や売上の向上に向けて営業チームを支援するため、成約率や売上向上が期待できる
- デメリット
- 異なる部署が相互に関連してくるため、コンセプトを浸透させることが難しい
- 意識変革に抵抗する社員が現れる可能性がある
- メリット
- 営業部門やマーケティング部門だけでなく、人材開発部門や経営陣も巻き込んだものになる
販売プロセスに導入するセールスイネーブルメント
- 各顧客がカスタマーパスの「認識」「購買」「導入」のどの段階にあるのかの分析と評価を行う
- 各顧客の段階にふさわしい顧客向けコンテンツやセールスイネーブルメントコンテンツを活用する
- メリット
- 顧客が各段階で必要とする情報を多面的に提供することができる
- カスタマーパスの前進を促すためのディレクションを適切に行える
- デメリット
- 顧客や販売時期により変化するカスタマーパスに合わせて営業部門をサポートするために、コンテンツを作成する人や管理・運営する人など、営業とは異なる立場から顧客に対応する人材を確保する必要がある
- メリット
コンテンツの運営・管理に導入するセールスイネーブルメント
- Webサイトでの顧客向けコンテンツを整理・分類して、それぞれの顧客のニーズに即座に対応できるようにする
- 製品情報や競合情報、リード情報や顧客管理情報、営業記録などの分散していた情報を一元管理し運営する
- メリット
- 顧客が求める情報をいつでもどこでも知ることができる
- 顧客が購入後のビジョンを描けるように、コンテンツを活用しながらのコーチングが可能になる
- デメリット
- 常に最新の情報を参照するために、絶えず研究、レビュー、再構築する必要がある
- 膨大なコンテンツが必要となるため、誰がコンテンツを作成し管理・運営するかというタスク振り分けの問題がある
- メリット
人材育成とトレーニングに導入するセールスイネーブルメント
- トレーニングの内容は、競合や業界の情報、ケーススタディ、法律や規制、知識を活用するための方法論、営業現場で実践できるスキルなど、多岐に渡るため、知識・方法論・スキルを備えているさまざまな部署のマネジャーも、必要に応じて育成とトレーニングに加わる
- プレイブック(経験や英知に基づく定石が書かれた戦略集)などの作成も必要
- メリット
- 営業チームのスキルが底上げされることにより、販売実績の上昇が期待できる
- デメリット
- 営業チームは一般的に離職率が高いため、新規採用者が十分な生産性を示せるようになる前に、離職によってトレーニングが無駄になる可能性がある
- 育成を行うためのコンテンツ作りやカリキュラム作りを行う部門に負担がかかる。
- メリット
テクノロジーを活用するセールスイネーブルメント
- セールスイネーブルメントは、重要なコンテンツやデータに営業担当者がモバイル機器を通じていつでもどこでもアクセスできるテクノロジーの存在に支えられているため、CRMなどのツール使用が必要不可欠。
- リソースの投資が必要であるため、実際に導入する場合はできるだけ小さく始める
- メリット
- テクノロジーの導入によって、営業チームはデータやコンテンツにどこからでもアクセスできるようになる。
- 専用のソフトをモバイル機器に搭載することで、顧客の求めに応じて簡単に費用見積もりができたり、必要事項を入力しておおまかなROI(投資収益率)を算出することも可能
- デメリット
- 導入時は従来のコンテンツを整理し管理した上で新たに多くのコンテンツを加えていく必要があるため、リソースの投資が必要
- メリット
※参照
セールスイネーブルメントを実現するためのポイント
1. CRM/SFAツールを用いてセールスデータを蓄積・整備する
- セールスイネーブルメントでは、売上額や受注率、案件数などのほか、顧客情報や商談の履歴内容、あるいは営業スタッフに対する教育実施の履歴など、さまざまな情報をデータとして蓄積していく必要がある。
- その際には、CRM/SFAツールを用いることで、データを効率的に蓄積することができる。
2. 専門部署や担当者を配置する
- セールスイネーブルメントを実現させるのであれば、それを専門とする部署や担当者を設けた方が一番いい。
- セールスイネーブルメントは営業のみならず、人材育成という観点から人事、あるいはツール開発などでは開発などの様々な部門にも関わる。
- 各部門で連携を取ることもできるが、部門を切り分けず管理・設計できる部門を設けた方が効果的である。
- セールスイネーブルメント担当部署は、部門を超えてその概念を組織に波及させ、科学された営業を実行するためのテクノロジーなどを活用できるようにサポートし、急速に発展する未来に対して組織を備えさせる存在であるべき。
- イネーブルメントはすごく良さそうなので、やってみようと決めてはいいが、役割があいまいであったり、十分なよさんや権限が付与されず社内で動けなくなったりして、途中で取り組みが終わってしまうこともある。
3. 体系化された育成プログラムで営業ノウハウを共有し、属人化を防ぐ
- 営業活動は各個人に任されることが多く、そのため、営業プロセスは属人化する傾向がある。
- しかし、成果に繋がるノウハウを個人のみで保有していることは、組織全体としてはバラツキがあり、損している部分が大きいということを意味している。
- つまり、営業ノウハウを組織全体で共有し、誰もがそれを再現できる体制を整えることが大事。
- ハイパフォーマーのデータを分析して、他の人も使える形にしたトレーニングプログラムをつくり、運用して、徐々に仕組みとして回し始める。
- 営業活動は各個人に任されることが多く、そのため、営業プロセスは属人化する傾向がある。
4. イネーブルメントデータの蓄積と営業成果による検証
- 体系的な育成プログラムが提供されて、営業活動データだけでなく、学習履歴やコーチング履歴などのデータも蓄積され、営業チームの育成状況が可視化されている段階。
- 教育研修や営業プロセスの改善、ツールの開発・導入などの営業施策について、それぞれ成果にどれだけ貢献しているのか、その度合いを把握する必要がある。
- また、最終的に見据えた目標に対する進捗状況も適宜チェックし、場合によって施策の見直しを行う必要もある。
- 営業実績データとイネーブルメント施策の有効性を検証するデータ基盤が整っている。
5. 経営層とのイネーブルメント結果レビューサイクルの確立
- 営業の成果とイネーブルメントのデータをつき合わせて、イネーブルメントの効果検証をしたものを経営層に報告・共有して、そこから改善策が生まれ、実施すると言う、イネーブルメントのPDCAサイクルが回る状態
- どのプログラムがどこに効果があったのか情報を経営層と共有して、「この数値が弱いので、こういったプログラムをやったらどうか」というようなマネジメントとの連携が可能になる。
- このようにデータを数値化することで改善の余地を図り、営業プロセスを標準化することで、営業力の均質化やマネジメントの効率化につなげることができる。
- こうした営業力を定量的に把握することはセールスアセスメントと呼ばれる。
- 売上につながる「行動」や「スキル」を定義し、それを測定して改善に活かしていくことで、組織的に営業力を高めることができる。
- このようにデータを数値化することで改善の余地を図り、営業プロセスを標準化することで、営業力の均質化やマネジメントの効率化につなげることができる。
※参照
- 「世界最先端の営業組織の作り方 Sales Enablement」
注意点、補足
施策は小さく回す
- セールスイネーブルメントは有用な取り組みだが、全ての組織があれもこれもやるだけの充分なスタッフやリソースを持っているわけではないので、初めから全てをやる必要はない。
- 全体的な目標に基づき、まずは具体的な利益につながる小さなプロジェクトで付加価値を証明した方が、リスクも小さく次に繋がりやすい。
求められるセールス人材像の変化(アートから科学へ)
- これまで
- 人当たりが良い
- EQが高い
- これから
- 分析性がある
- ITリテラシーがある
- これまで
セールス支援ツール
MA(Marketing Automation)
- マーケティング活動の自動化ツール
- リードの属性情報
- Webサイトへのアクセス頻度
- 閲覧ページの履歴
- etc.
- マーケティング活動の自動化ツール
SFA(Sales Force Automation)
- 営業担当者を支援するツール
- 見込み顧客の属性情報
- これまでの営業活動
- その際の見込み顧客の反応
- etc.
- 営業担当者を支援するツール
CRM(Customer Relationship Management)
- 顧客との関係構築ツール
- アプローチ履歴
- 他の商品の購入履歴
- 意見・苦情・要望
- etc.
- 顧客との関係構築ツール
※参照
第9章:支え合うセールスシステム
目次
次世代の支え合うセールスとは
- 定義
- 既存のセールスとの違い
- 社会と共創するマスタリーとの繋がり
コミュニケーション
建設的合意**(≒ネゴシエーション)
- 支え合うセールスに必要とされる相手との建設的なコミュニケーションを通して納得を紡ぎ出す。
- 批判的な内容の議論をするときでも、感情的にならず、現状をより良くし、ミッション・ビジョンを達成しようという前向きな姿勢で議論すること
- 人巻き込み
- マインドセット
- スキル
- 思考
- ファンになってもらうための思考
- ナレッジ
- 人材マネジメント
- 組織カルチャー
- SOの活用?(tobeに近づく自己変容)
- ファン作り
- コラム
はじめに
- 前提
- 山田さんが一生をかけて研究・実践するマスタリーテーマである<支えあうセールスシステム>の概念についてセールスチームメンバーの理解を促し、解像度を上げるための資料である。
次世代の支え合うセールスについて
セールス
- セールス:人を介して販売し、利益に貢献する機能。
現在のセールス
- 今の世の中のセールスのイメージ:顧客の欲求や購買の意思決定に照らして、自社の販売したいサービスを説得によってはめ込む
- 社外
- 自社の利益を高めるために、他社を勝たねばならない風潮
- 社内
- 結構キツイ、ノルマ、バイタリティーがある、ストレスフル
- 数字で目標を持つ、結構明確な基準がある。
- 社内で競争させやすい、比べやすい職種でもある
- 相対比較がされやすい
- 自分がうまくいっていることを相手と共有する、コラボレートすることがうまく進まない
- お互いを高め合って、結果組織全体が高くなるというのが築かれにくい環境にあるかなと思う
- 社外
- 今の世の中のセールスのイメージ:顧客の欲求や購買の意思決定に照らして、自社の販売したいサービスを説得によってはめ込む
次世代セールス=支えあうセールス
- 支え合うセールス:コミュニケーションを通じて、顧客のロイヤリティが高まり且つサービス提供価値が最大化(例:カスタマーサクセス等)し、顧客と応援しあえる(=支え合う、ファンになってもらう)関係を構築するセールス。
- 応援・ファン:顧客との関係が売り買いに閉じずに、顧客が得られたサービスについて、ロイヤリティーが高い状態。それを他社にも薦めたくなる状態。セールスが介在し販売した結果、顧客がサービスの伝道師になっている。
- 実現したい世界や大事にしている想いを表明し、共感する人を巻き込み、プロダクトを作り、お客さんの支持を得る
- 物質ではなく思想を売る
- ファンがある場合、支え合える。自分に閉じず、顧客に販売を任せる。それがつながることを仕組み。顧客をセールスマンにしていく。
- イメージの事例:オンラインサロン
- 主がいて、メンバーがいる
- メンバーはお金を払っている。
- その人に対して貢献していることが価値になっている。
- 働いてお金をもらう。
- お金を払って、価値を感じている。
- その人がやりたいことがあって、巻き込まれている状態
- →サービス提供するというより、やりたいことに人を巻き込む。巻き込まれた人もハッピー。
- 次世代の支え合うセールスも同じようなイメージかある。
- 主がいて、メンバーがいる
- イメージの事例:オンラインサロン
競争ではなく、共創ができるようなセールス
- 例(イメージ)
- 社内でいう人と支えあうセールス
- 顧客に価値を提供するというのがセールスの役割であれば、自社でできることは自社でやりながら、自社でできないことは他社に頼るということができると顧客の価値は最大化すると思う
- 自社だけではなく、競合他社ともクリエイトする状態
- このようなことがある方がいがみ合って、競争しあう世界よりもパワーフルでいいと思う
- 例(イメージ)
セールスの対価は、お金(利益・売上)だけに閉じない
- 現在のセールスは利益・売り上げをKGIとして設定されることが多く、文字通り「売る」というイメージが先行する
- 稼ぐのは金だけと限らない(信頼、ブランド、未来など)
- 価値を提供した時に返ってくるものはお金だけでない \
- 現在のセールスは利益・売り上げをKGIとして設定されることが多く、文字通り「売る」というイメージが先行する
- 支え合うセールス:コミュニケーションを通じて、顧客のロイヤリティが高まり且つサービス提供価値が最大化(例:カスタマーサクセス等)し、顧客と応援しあえる(=支え合う、ファンになってもらう)関係を構築するセールス。
支えあうセールスシステムの理想像 ~Influenceの側面~
- Salesman:仕事楽しくてしょうがないと思っている状態
- 自分たちができることに閉じなくていいんだというので、顧客が真に困っていることにちゃんと耳を傾けて、それをクリエイトしにいって、価値が実際提供できていて、こんな新しい価値提供できたという状態
- Salesman:仕事楽しくてしょうがないと思っている状態
支えあうセールスシステムのビジョン
空間軸
- REAPRAの投資先だけで閉じてやっているのではなくて、それがすごくいいものだから、「うちも活用したいから教えてくれ」というふうに来ている状態
時間軸
10年後には世の中のスタンダードまではいかないが、先端のセールスの一つの概念になっている状態
- 今(2019,2020年)でいうThe modelとかSales Enablementみたいな、今トレンドだから勉強しておかないといけないというが概念にしていきたい
営業の世界の中での一つの選択肢/カテゴリー
- 今でいう「うちはTeal組織を目指してます」というのと同じように、「うちは支えあうセールスシステムを構築してます」という感じの立ち位置
Memo
薬局にビオフェルミンを買いに行った時に店員さんに勧められて強ミヤリサンという少し高い整腸薬を買った時があった。その薬は紹介されるまで知らなかったのですが、その店員さん薬の知識が凄くて買ったのだと思った。
- ①お客さんが買わないといけない状況→②いろんな選択肢があって、選択しないといけない→③購入済み→④リピートする
- 金額と共に、「②のプロセス」にセールスが介在できる余地があるのかも大事なポイントになる。
- スーパーマーケットなどはここに介在する余地が少なく、薬局などはいろんな薬の中で自分の症状にあった薬を選びたいニーズがあるため、人が介在できるポイントが発生するのかと思った。
amazon goとセールス(人・コミュニケーションの付加価値)
- きっかけ:AG→小売り
- 無人のコンビニサービス(レジ作業x)
- 省人化
- 人が介在せずに、テクノロジーで販売する方式
- 支え合うセールスシステムと方式が違うと気づいた
- 支え合うセールスシステム
- 人が介在すること、コミュニケーションをすることで商品に価値が付加されている状態になること
- セールスは付加価値
- 会社・商品にどれだけ価値を付け加えられるか
- 価値の最大化
- 商品の価値が上がる方法をシェアするとか
- 例:果物の食べ方など
- 商品の価値が上がる方法をシェアするとか
- ファンになり、それを伝播していくこと
- きっかけ:AG→小売り
セールスフォースのトレイルブレイザー
- SFはセールスを科学化している。
トレイルブレイザー
- 近い概念を作れたら?
- どうやって集めてどうやって動機付けしているのか?
- ファンになってもらうプロセスを研究したら?
SaaS以外での適応
- SFというSaaSをしていているが、SaaS以外にも適用できるのではないか?
- ※参照:セールスフォースの研究
次世代の支え合うセールスのコミュニケーション
相手(顧客、社内メンバーなど)を否定しない
既存のセールス
- ①顧客にこびへつらう
- 力関係:顧客>営業マン
- ②顧客に対して権威を示す
- Power Balance:顧客<営業マン
- 顧客が営業マンに従うようになっている。
- 顧客を否定する場合もある。
- Power Balance:顧客<営業マン
- ①顧客にこびへつらう
お互い尊重し合うことを前提にするセールスをつくりたい
- 相手を否定することなく、相手の主張を受け止めながら、よりよい建設的な方針を見つけ出す。
相手を否定しないコミュニケーションが非常に重要だと考えている。
- 相手を否定して、こっちが正しいと主張することは意味がない
- 相手が心理的なバリヤーを張ってしまって、ディフェンスの立場になるため。
- 相手を否定して、こっちが正しいと主張することは意味がない
なぜ支え合うセールスに否定しないコミュニケーションが必要なのか?
- 最初のコミュニケーションの段階で躓くため
- ※支え合うセールスの構成:コミュニケーションによって、ロイヤリティを高めていく→ファンになってもらって、伝播してもらう。
批判的と否定的の違い
- 「尊重」⇔否定
批判的な対話はあれど、否定的な対話はx
- ①否定的にしてはいけない
- ②批判的はあり得る。
批判:物事に検討を加えて、判定・評価する
- 相手の主張を受け止めた上で、否定することはなく、その物事の<よしあし>を評価する。
- 否定:否定:頭ごなしに否定すること、相手の言動にバツをつける。
- 最初のコミュニケーションの段階で躓くため
2.フラットコミュニケーション
伝え方
- 次世代の支え合うセールスにおける伝え方
どういうやり方でやると次世代のコミュニケーション(ロイヤリティを上げてファンになってもらうか)ができるのか?
- 理屈だけでは伝わらない。共感してもらうことが大事(共感プレゼンという本から得られた気づき)
セールス(パーソン)のSNS活用
- マーケ目的だけではなく、好きになってもらう・ファンになってもらうためのSNS活用(自己ブランディングのため)
聴き方
- 次世代の支え合うセールスにおける聴き方
- どういう態勢で聴くのか?
- どういう態勢が次世代のコミュニケーション
- 支え合いコミュニケーションtips
- 相手目線で考える
- 「アンケートにご回答」という言い方ではなく「アンケートにご協力」という言い方の方が回答が得やすい
- 相手目線で考える
- 支え合いコミュニケーションtips
- 次世代の支え合うセールスにおける聴き方
次世代の支え合うセールスの人巻き込み
個に閉じないセールス
①ひとりひとりは尖って、みんなで丸くなる
- 自分のマスタリー領域で伸ばしていったらいい。
- 全部等しくなるのではない。
- 一人一人は尖っていてよくて、それがひとつになったら丸くなる。
②支え合うセールス:セールスは一人、個人に閉じる必要はない
- お客さんにセールスする時も、応援してくれてお客さんと一緒にセールスする。
- セールス側に複数の人間がいる
- お客さんがセールスになるような、ファンになってお客さんを連れてきてくれる姿
- お客さん(Fan)xSalesが新しいお客さんをセールスするイメージ
発達段階
- 相対主義的段階(4.5)以上の自我であること、またそのようなコミュニケーション*1 がより大きなインパクトを発揮するのではないか
- 現代(2020年)の優れたセールスの自我重心は自己主導的段階(4.0-4.4)が多いのではないか
- よりビジネスにおいて高いインパクトを出しているケースが多いため
- 自己主導的段階がマネージャーや経営者に多い層である。
- よりビジネスにおいて高いインパクトを出しているケースが多いため
- 4.5である相対主義的段階のセールスは、短期的には大きな成果を出せないかもしれないが、巻き込んでいる人の多さから中長期的には大きなインパクトを残せる。
- 優れた個よりも優れた人を巻き込める個の方がインパクトが大きい
- 現代(2020年)の優れたセールスの自我重心は自己主導的段階(4.0-4.4)が多いのではないか
- *1相対主義的段階のコミュニケーションとは
Memo
背景
- 支え合うセールスシステムは、お客さんとのコミュニケーションを通してファンになってもらい、お客さんがセールスパーソンになってもらう。
- 自発的にやってもらう。
- WEBの口コミと似ている概念
- 自発的にやってもらう。
人とのコミュニケーションを通じてやろうと思った時、お客さんを巻き込む
- 巻き込み力は外せない。
- 例:オンラインサロンのような感じで、参加者がお金を払って、参加して、そこに対して貢献している構図がある。
- お金を払っているのに働いている。
- 例:オンラインサロンのような感じで、参加者がお金を払って、参加して、そこに対して貢献している構図がある。
- 会社・プロダクト・MVをいかに伝播していくのか
- そこに共感してくれる人を巻き込むこと
- 巻き込み力は外せない。
相対主義的段階以上の巻き込みの振る舞いができることが大事
- 自分から主張を強くするだけでなく、自分の主張しながら相手の意見を受け入れられる
- 相手を否定しないが、相手の言いなりにならない
- 3.0:お客さんが正しい、自分は従う(世の中のセールス)
- A,Bをお客さんに聞く
- 4.0:お客さんに教えてあげる。強く主張する。
- こうしたらダメですよー
- A,Bの中でAがいいですよ
- 自分から主張を強くするだけでなく、自分の主張しながら相手の意見を受け入れられる
- 支え合うセールスシステムは、お客さんとのコミュニケーションを通してファンになってもらい、お客さんがセールスパーソンになってもらう。
- 相対主義的段階(4.5)以上の自我であること、またそのようなコミュニケーション*1 がより大きなインパクトを発揮するのではないか
マインドセット
脳科学・心理学を人をだますのではなく、Win-Win関係に構築するために導いていくのではなく
win-win #フェアネス
お客様を好きになる、お客様のファンになる、give
- まずは自分が好きになる。与え続けていく(Give Give Give・・・)
- 前提として上記があり、自分に返ってくる(Give Give Give・・Take)
★★「憑依するレベル」で相手の立場に立つ(※新しい概念を作る)
- 相手の立場に立って深い粒度で、考え行動する→相手になりきるレベル
スキル
前提
- 購買する際に影響を与える要素
- ①会社力
- ②商品力(スペック、価格など)
- ③営業力(提供する情報、ストーリーなど)
- 購買する際に影響を与える要素
③ストーリーで売る を一般化する(ゼロイチ)
- 共感を作る
- 価格、機能を超えたセールス
- 情緒や感情も扱う
セールス×包容力
- 包容力が高まれば、あらゆる型のセールスも包み込める
- 一方でそれにいたるまでは<単純→複雑への段階>がある
- 複雑に対応できるからといって単純に対応できるとは限らない
- ADTの3を飛ばして4に張り付いているようなもの
- 包容力が高まればいきいきできるのではないか。
- プロダクト商材の販売 ↓
- ソリューションセールス
- 包容力が高まればいきいきできるのではないか。
- ADTの3を飛ばして4に張り付いているようなもの
- 包容力が高まれば、あらゆる型のセールスも包み込める
人材マネジメント
セールスにおける学習(仮)(セールスアセスメント)
- 指標が良い人がノウハウを共有し周囲も実践することにより、支え合うセールスが実現可能
- 営業手法が属人化し、トップセールスマンが会社を去った時に営業成績が著しく悪化することを防ぐ
- 架電や商談、ロープレの音源をもらう
- 取れているのには訳があるので、うまくいってる人の真似をしてみる
- 直接質問してノウハウを取り入れる
- 複数人で一つの音源を聞き、良い点と改善点を出し合う
- 学びを共有・一般化する
- 自分が実践して効果があったことは組織に共有する
- 良い手法は一般化する(例えば、架電スクリプトAより架電スクリプトBの方がガチャ切りが減ったなら、架電スクリプトBを使うことを推奨するなど)
- 学びの一般化により新人もキャッチアップしやすく、個人間の営業成績のギャップが小さくなる
- 指標が良い人がノウハウを共有し周囲も実践することにより、支え合うセールスが実現可能
セールストレーナー(言葉は変わるかも)の育成・輩出
- 属人化を防止し、横展開していきたい。
- 山田さん:現在、営業を強くする伴走をやっている。
- ロープレ
- ドキュメントを作る人
- ・・・
- 山田さん:現在、営業を強くする伴走をやっている。
- 属人化を防止し、横展開していきたい。
セールスタイプ
- 剛腕タイプ・自信家タイプではない、
- 内省タイプ・建設的不安タイプのセールス
- 自分に自信があるわけでなくて、前もって準備したり、計画立てたりする。
- 不安だから、もっと準備するという生産的な不安
- 自分に自信があるわけでなくて、前もって準備したり、計画立てたりする。
支え合うセールスにおけるファン作り
- ナーチャリング
- 顧客をいかに育成するか
- やずや:サプリメントの会社、健康食品、リピートしていく
- 元気になった気がしたら、リピートする
- 無料で送って終わりだったら、赤字
- 健康食品はナーチャリングに力入れている。 -
- やずや:サプリメントの会社、健康食品、リピートしていく
- 既存の後も優良化
- 顧客をいかに育成するか
コラム
-
セールステックを使うことに早い段階で慣れておくべき
- アポどりをした後ではなく、マーケティングの方に重心が置かれている。
- セールスの研究実践がされているところでの話
- **支え合うセールスとは違う領域
支え合うセールス
- フィールドセールス:人とのコミュニケーションが発生する場面
- **サービスに付加価値を付けて、顧客のロイヤリティと価値提供の最大化を行う。
- セールステックは否定しない
- フィールドセールス:人とのコミュニケーションが発生する場面
話し合う予定のアジェンダ
- ビジネスアナロジー:類推を使って今のビジネス領域に活用できるように引っ張ってくること
- テーマ:建設的合意・交渉、顧客との建設的関係創造、ファンづくり、リファラルセールス、セールスの歴史、セールスサポート、セールス全般
- アクション:企業分析、セールス歴史整理
↓具体的に
- 次世代に必要とされる支え合うセールス
- キーエンス、Sales Forceを分析しながら、実践に移していきたい。
- セールスの歴史(海外・日本)
- 高額のものを複雑性をもって売れる
- 高い報酬
- セールスの重心が変わりつつある。(強いセールスの重心移動)
- Car→保険→コンサルティング営業
- M&A
- インターン生を巻き込みながら進めていきたい
- 動機・To Beと繫げながら
- 方法(例)
- 会社分析
- セールス歴史整理
支え合うセールス活用
- ダイナミックプライシング
- 定価の概念のアップデート
今苦手意識があるから、支え合うセールスをつくろうとしている。
- 支え合うセールスの新概念をつくろうとしている人になりたい。
ファン
- スタッフスタート:https://www.staff-start.com/
- 販売員にファンがついて購入
- インセンティブもつく
- ファンベース
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